オフィスの移転計画している会社が多い中、経理部門が考えるべきことは

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新型コロナウイルスの感染が拡大した以降、リモートワークの定着などの影響もあって、オフィスの移転を実施した企業や移転を計画している企業が増えています。

帝国データバンクの調査結果でも、2021年に首都圏から地方に本社を移した企業の数が過去最多となったようです。

今回は、そのような背景のなか、オフィス移転を計画している企業の経理部門が考えておくべき点についてまとめてみました。

オフィスの地方移転のメリットは何か

ニュースで大企業が地方に本社を移転した、あるいは移転を計画しているといった内容を見る機会が増えました。本社移転のケースのほかに面積の縮小といったケースもあります。

本社移転や面積縮小の直接的な効果としては、コスト削減がなされるということでしょう。地方に移転をすれば家賃が引き下がることが多く、コストを削減して、削減分を他の投資やコスト等に振り向けられるメリットは大きいです。

また、坪単価の安いエリアにオフィスを構えることで、一人当たりの面積を拡大することも可能となります。

自分の専用部分のスペースが広くなれば作業効率が上がることにもつながるでしょうし、コミュニケーションの活発化を意図した共用スペースを作ることで、社内の活性化が実現する可能性もあります。

直接的な効果であるコスト削減以外にも、働く場所の自由度を高めることとの親和性もオフィス移転にはあります。

リモートワークが定着した会社であれば、出社の頻度も減りますし、本社移転に合わせて物価の安い地方に自宅を移すことで住環境を良くすることも可能となります。フルリモートが可能な会社では、従業員は全国さまざまな場所に住んで、本社は最小限にしているといったケースもあるようです。

経理部門もオフィス移転では主導的役割を担う

オフィス移転というと、企業の総務部門が中心となって行うイメージが強いかもしれませんが、昨今の移転においては経理部門の役割も大きくなっています。

移転に伴って大量に発生する書類の保管をどうするのかという課題解決において、経理部門の英知が求められる場面が増えているのです。

紙での保存を前提としている場合は、移転の際に新しいオフィスに書類を送るか、外部倉庫に保管するという二択の判断のみとなります。ただ、そこにペーパーレス化という視点を持ち合わせると、オフィス移転のメリットがより多く生まれることになります。

具体的には、紙で保管している書類を、クラウドシステム等を活用して保管する方法に切り替えていくのです。

経理に関する紙の証憑であれば、スキャナ保存制度を適用してスキャンしたうえで、クラウド上に保管をすることで、紙の廃棄が可能となります。もちろん電子データとして受領した資料であれば、その電子データをクラウド会計システムに保管しておけば、紙を出力する必要もありません。

紙の保管場所が不要になると、オフィス内のキャビネットの本数も減らすことができますし、その分オフィスのスペースを別の目的で使うことが可能になります。

さらに、紙の保管の場合は原本紛失リスクがありますが、データ保管に変更して、データをセキュアな場所に保管すれば紛失リスクも低下させることできます。

オフィス移転を機会にペーパーレス化の推進を経理部門が中心となって行って進めることで、移転の効果がさらに創出されることになるのです。

スタートアップ企業などでは採用面でプラスも

労働人口が減少していく中で、企業によって優秀な人材を採用することは、非常に重要な経営課題です。

IPOを目指すスタートアップ企業などにおいても、給料といった待遇面以外にも働きやすさを打ち出して採用を加速させているケースも増えています。

リモートワークが可能な職場かどうかを重視している求職者が増えているという傾向も反映させてか、働く場所の自由度を高めている企業は多く、IPOを目指すスタートアップ企業などはその傾向は顕著です。

スタートアップ企業ならではの過去のしがらみが少ないこと、意思決定が速いことなどが要因と考えられますが、新しいことを取り入れることに前向きな企業も多いです。

リモートワークを取り入れることが採用面でプラスになると判断して積極的に導入して、その結果採用で良い結果となったケースもあるようです。

当然経理部門でリモートワークを導入しようすると、クラウド型の会計システムを採用する、ペーパーレスを実現するといった固有の問題はありますので、それらの課題に取り組むという点は大企業が本社移転を考える際に検討すべき事項と共通しています。

未来のオフィス移転に備えて今から準備を

オフィスの移転は、新型コロナウイルスの感染やリモートワークの導入がなくとも、企業の人員の増減やオフィスの賃料相場の変動によって定期的に検討する事項です。

どの企業においてもいつ何時オフィス移転の話が出てもおかしくはありません。話が出たときにスムーズに対応するためにも、クラウド型システムの導入やペーパーレスといった事項について、未対応の場合は検討しておくと未来への備えとなります。

今まで経理部門がオフィス移転時に中心的な役割を果たしてきたケースは少なかったかと思われますが、実は重要な役割を担っているのです。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:中尾 篤史(公認会計士/税理士)

CSアカウンティング株式会社 /代表取締役社長 日本公認会計士協会 租税調査会 租税政策検討専門部会・専門委員 著書に『DX時代の経理部門の働き方改革のススメ』、『瞬殺!法人税申告書の見方』(税務研究会出版局)、 『正確な決算を早くラクに実現する経理の技30』、 『BPOの導入で会社の経理は軽くて強くなる』(共著)、 『対話式で気がついたら決算書が作れるようになる本』(共著)、 『経理・財務お仕事マニュアル入門編』(以上、税務経理協会)、 『たった3つの公式で「決算書」がスッキリわかる』(宝島社)、 『経理・財務スキル検定[FASS]テキスト&問題集』(日本能率協会マネジメントセンター)、 『明快図解 節約法人税のしくみ』(共著、千舷社)など多数。

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