BPO導入時の経理部門での課題、うちにもあるある話 パート2

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前回に引き続いて、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の相談を受ける際に、経理部門でよくありがちな現場で課題について見ていきましょう。

うちにもあるある話のパート2ですが、うちの会社にもありそうだなあと感じた方は、経理部門のカイゼンのきっかけにしていただければと思います。

自社の経理部門にも当てはまるケースがあるかもしれませんので、カイゼンして、今後のより良い経理部門作りの参考になれば幸いです。

社内フォーマットが増殖中

経理業務で時間のかかるひとつに、申請部門が提出した書類の内容がわかりにくく、確認をするというプロセスがあります。

確認をせずにいい加減に処理をしてしまえば余計な時間がかからなくて済みますが、正確に数字をお届けするというミッションがある経理部門なので、どうしても不明点を確認して、解決した上で処理をするということが当たり前になっています。

このような確認や手戻りの要因のひとつに、社内に申請書類が多く存在するということがあると考えます。

申請書類が多くなってしまう原因ですが、次のようなことが挙げられます。

  • エクセルで申請書を作っている会社の場合、自由にひな型を変えることが出来てしまう
  • 各部で自由にフォーマットを変えることができる環境である場合、部門の数に応じて申請書の形式が増えてくる
  • エクセルの場合、古い申請書類をコピーして使っていると新しいものを使わずに古いものを使うメンバーもいて新旧が混在する

フォーマットが多いと何が問題なのか

申請のフォーマットが多いと何が問題になるのでしょう。

経理部門は、それぞれの申請書類を見て必要な情報を収集する必要があります。しかしフォーマットが違えばその情報が記載されている場所が書類ごとに違う可能性があるので、注意深く確認する必要が出てくるでしょう。

同じ部門から出てくる申請書でも、古いフォーマットのまま提出がされると、新しく追加となった情報を収集できず、その情報を収集するために、申請部門に聞くという手間が生じることもあります。

最近では、RPA(ロボティクスプロセスオートメーション)を活用する会社も多くありますが、申請書の種類が多いとRPAのシナリオも増えることとなり、管理面で負担が増加することになります。

また、フォーマットの多さとは直接関係はありませんが、エクセルでは必要事項が入力されていない場合でも申請が可能なものもあり、その場合は、やはり必要情報を経理部門が取りにいかなければなりません。

申請書にそもそも必要な情報が記載されるように仕組んでおくということも重要です。

ワークフローや経費精算のシステムで統一化をはかる

たかが申請書のように思う方もいるかもしれませんが、現場では標準化されていないフォーマットが経理のムダな時間を増長させている面は否めません。

そのような課題を解決するために、エクセルではなく、ワークフローシステムを入れたり、経費精算システムの申請機能を使って標準化を図る会社も多くなってきています。

これらのシステムを入れることで、フォーマットは常に最新のものになっていますし、部門ごとで独自の進化を遂げていってしまうという課題も解決されます。

ワークフローや経費精算のシステムもクラウドシステムであれば、遠隔でもスムーズに作業が出来ますので、最近のようにリモートワークが多くなっている就労環境にも適合すると思います。

美しいファイリングの会社はミスが少ない

ペーパーレスが進んでいる昨今は、紙の書類の出力を極力なくしていこうという会社も多くありますが、入手する書類は紙のものが多いこともあり、まだまだ紙のファイリングも経理部門の重要な業務の一つと言えると思います。

経理の現場で感じることは、ファイリングを適切に行っている会社とそうでない会社の特徴は次のように区分されます。

Noファイリングが美しい会社の特徴ファイリングが汚い会社の特徴
社内のコミュニケーションが良い風土社内コミュニケーションが悪い風土
業務の進捗管理が可視化されている誰が何をしているのかわかりづらい
引継ぎが容易引継ぎが難航する

 

①について、例えば決算ファイルなどは各自が自分の担当を自分でファイリングをしているケースなどがあります。このようなケースはたいてい部内のコミュニケーションが悪いです。

一方、1冊のファイルに関係者が綴っていくようにしている会社の場合は、ファイルの場所も皆が認識していますし、綴る際に声をかけあったりするので、柔和な雰囲気の部門が多いように思います。

②について、ファイリングのラベル等がきちんと付いている場合は、ラベルの状況で進捗状況がわかったり、都度ファイリングをしている場合は、去年の同じ内容のファイリングと比較して、紙の厚みで進捗状況を確認することもできるでしょう。

都度ファイリングをしないで机にしまいっぱなしであれば周りのメンバーは進捗を把握することが出来ないですものね。

③に関しては、見るべき書類がきちんと内容別であったり、時系列に保管されているようであれば、引継ぎを受けるメンバーは、そのファイルを見るだけでかなりの部分の引継ぎを受けることが可能となります。

このように美しくファイリングをしていると、コミュニケーションや進捗管理の面でプラス面が多いので結果としてミスの少ない経理部門となることが出来るのです。

今回は、紙の書類を中心にお話をしましたが、機会があればクラウドを活用してペーパーレスを実現しながら適切なファイル保管を実践している例をお伝えしたいと思います。

今回は“経理部門での課題、うちにもあるある話”のパート2ということで、申請書が標準化されていないケースやファイリングが美しくないケースについて見て参りました。

より良い経理部門を構築していこうと考えている皆様の参考になれば幸いです。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:中尾 篤史(公認会計士/税理士)

CSアカウンティング株式会社 /代表取締役社長 日本公認会計士協会 租税調査会 租税政策検討専門部会・専門委員 著書に『DX時代の経理部門の働き方改革のススメ』、『瞬殺!法人税申告書の見方』(税務研究会出版局)、 『正確な決算を早くラクに実現する経理の技30』、 『BPOの導入で会社の経理は軽くて強くなる』(共著)、 『対話式で気がついたら決算書が作れるようになる本』(共著)、 『経理・財務お仕事マニュアル入門編』(以上、税務経理協会)、 『たった3つの公式で「決算書」がスッキリわかる』(宝島社)、 『経理・財務スキル検定[FASS]テキスト&問題集』(日本能率協会マネジメントセンター)、 『明快図解 節約法人税のしくみ』(共著、千舷社)など多数。

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