<つぶれない会社の負けない経理戦略> 第10回 良い税理士事務所の見つけ方

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良い税理士事務所の特徴

前回は、税理士の重要性について触れましたが、経営者の方から「どのような税理士の先生が良いのかがわからない」と言われることも実に多いです。経理社員の方たちも、経営者の方から「どのような先生がいいのか、教えて、探して」と言われることもあるかもしれません。

今回は、良い税理士の先生の特徴に触れていきたいと思います。

はじめにお伝えしておくと、残念ながら、実際には契約して稼働をしていただいてから初めてどのような税理士事務所なのかがわかる、ということが多いです。これは社員の方も同じで、面接して入社してからしか本当にその人が良かったかどうかはわからないでしょうから仕方がないことです。

ただし、社員と違って税理士事務所は相性が合わないと思ったら変えることができます。この先生なら、という先生が見つかるまで探し続けてもいいと思います。次のような特徴を持った税理士事務所であれば、良い事務所、良い税理士先生です。

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・会社の数字を把握してくれている

・経営者や経理社員を見下さない

・クライアントからの相談にすぐ反応してくださる

・経営者や経理社員に悪いことは悪いと言える

・節税だけでなく、会社全体のアドバイスもできる

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以下で、ひとつずつお話ししていきます。

会社の数字を把握してくれている

「数字を把握していない税理士が逆にいるんですか」と聞こえてきそうですが、います。私もフリーランスになってそのようなことがあるということを初めて知りました。

税理士事務所の大小もあるでしょうが、大きな税理士事務所であれば、スタッフが月に1回巡回業務として来社しデータをチェック、帰社後、日報や会議などで税理士事務所の代表や幹部などに、数字やその他何か問題点などはなかったかなどの報告をしているはずです。そして深刻な状況が分かった場合は、代表の税理士などがクライアントの社長に連絡をすぐ入れますし、そこまででないレベルであれば、次月にチェックしておくことや経営者への伝言を訪問するスタッフにことづけることでしょう。

小規模の税理士事務所であれば、クライアント先の規模(仕訳量など)によって、巡回頻度を月1回や数カ月に1回などと決めて巡回されていることでしょうが、どの先生もおそらく自分のクライアント先の数字は直感的に頭に入っていることでしょう。

このような形に近い対応をしてくれている事務所や税理士先生であれば良いですが、顧問税理士が自社の会社の数字の状況を何も知らないような場合は、顧問契約をしている意義も薄れますので、他の税理士事務所への変更を検討してもいいかもしれません。

経営者や経理社員を見下さない

良い税理士の先生や事務所のスタッフの方たちは、経営者や経理社員を「クライアント」として接してくれます。基本的に敬語ですし、経営者や経理社員が経理知識のない場合でも、そのために私たちがいるのですから、と、親切に説明などをしてくださいます。

一方で、そうでない税理士の中には高圧的で経営者にタメ口、スタッフに対しては小馬鹿にする税理士もいます。そうすると、何かわからないことがあっても経営者や経理スタッフは税理士が怖くて相談しづらくなります。結果、会社の危機的な状況にも誰にも助けを求められない状態に陥ります

実は経営破綻寸前の会社の多くの顧問税理士はこのような税理士でした。経営者やスタッフも、「税理士は国家資格の偉い先生だから、それが当たり前だと思っていた」と言うのです。このような税理士事務所とお付き合いをしていた場合は、すぐに懇切丁寧な対応をしてくれる事務所に変えた方が良いです。

クライアントからの相談にすぐ反応してくださる

経営者や経理スタッフからの相談にすぐ折り返し連絡をくれたり、丁寧に対応してくださる税理士事務所でしたら、まず良い税理士事務所だと思います。

経理の皆さんならご存知でしょうが、税理士の通常の顧問料は他の顧問料と比べてもそれほど高額ではありません。つまり最低でも数十社は顧問契約をとれないと事務所として経営していけません。そうすると、たとえばある税理士事務所が50社クライアントを持っている場合、1社1社の経営者や経理スタッフに懇切丁寧に対応していくことは負荷がかかることです。また、決算処理や税務調査、確定申告時など繁忙なときも多々あります。

そのような場合にちょっとした質問なら後回しにしたいところを、面倒がらずすぐ反応して答えてくれたり、今日は税務調査が入っているので明日の朝の対応でも大丈夫ですか、とすぐ連絡をくださる先生は、信頼がおけます。

経営者や経理社員に悪いことは悪いと言える

ここまでは税理士先生に厳しく書いてきましたが、会社側に問題がある場合もあります。経営者がお金の管理にいい加減であったり、経理スタッフがいい加減な管理をしていたりしたときに、悪いものは悪い、間違っていることは間違っていると厳しく指導をしてくれる、そのような税理士こそ会社を赤字にさせない良い税理士です。

会社というのは経営者やスタッフの風紀の乱れから数字がどんどん悪化します。そのことを、良い税理士の先生はわかっておられます。

会社(経営者)からお金を頂く側の税理士から、相手に厳しい指摘をするということは本来したくないことです。経営者が「こっちがお金を払っているのに、なんでそんなに厳しく言われなければいけないんだ」と怒って顧問契約を打ち切ってしまうかもしれないからです。それでも、言うべきことは言うという先生は、ご自身の「ポリシー」をしっかり持っていらっしゃるということです。このような税理士についていけば、会社は安心です。

節税だけでなく、会社全体のアドバイスもできる

税理士の先生は、数多くのクライアントを抱えています。つまり抱えているクライアントの中で、各社がどれくらいの順位の優秀さか、あるいは課題を抱えているかということがわかっています。そうした観点から、税理士の本業である税務についてだけでなく、会社全体についてのアドバイスもできる先生は、社外取締役や経営コンサルタントと同等の役割を果たして下さいます

そのような方たちの報酬に比べたら税理士の通常の顧問料は格安です。経理など管理部門の体制が薄い会社は、それくらい懇切丁寧な事務所にはむしろ少し金額を上乗せして経営アドバイスをいただいても良いかもしれません。

良い税理士事務所はクライアントをつぶさない

もちろん経営者や経理社員が上から目線で税理士の先生やスタッフの方たちを品定めするという態度は言語道断ですが、このような点を参考に、自分たちの会社に合う税理士の先生を探すということも、会社の経営にとっては非常に大切です。良い税理士の先生は、クライアント先をつぶさないからです。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

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執筆:前田 康二郎 (まえだ こうじろう)

フリーランステレワーカー。数社の民間企業で経理総務・IPO業務等を行い、海外での駐在業務を経て独立。現在はフリーランスでのコンサルタント活動、講演・執筆活動の他、節約アプリ『節約ウオッチ』(iOS版)を運営している。 著書に『スーパー経理部長が実践する50の習慣』『AI経理 良い合理化 最悪の自動化』『職場がヤバい!不正に走る普通の人たち』『伸びる会社の経理が大切にしたい50の習慣』(以上 日本経済新聞出版社)、『スピード経理で会社が儲かる』(ダイヤモンド社)、『ムダな仕事をなくす数字をよむ技術』『自分らしくはたらく手帳』(以上 クロスメディア・パブリッシング)、『経営を強くする戦略経理』(日本能率協会マネジメントセンター)など。最新刊は『つぶれない会社のリアルな経営経理戦略』(クロスメディア・パブリッシング)

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