月給10万円台→2倍以上に。フリーランス美容師TAKUOが明かす収入事情

読了まで約 9

美容業界では組織に縛られず働く「フリーランス美容師」が存在します。自分の売上がダイレクトに収入につながるため、美容師の新しい働き方として注目されています。

今回はフリーランス美容師として活躍する傍ら、イラストレーターとしても活動の幅を広げるTAKUOさんにインタビュー。Instagramで約3万人のフォロワーを有する人気美容師の収入事情や働き方に迫ります。

【プロフィール】TAKUO(@takuo_illustrator
フリーランス美容師/イラストレーター
1989年生まれ、福島県出身。山野美容専門学校卒業後、都内の有名美容室を経てフリーランスの美容師に。2018年4月に開始したInstagram「美容師あるある」のイラストが共感を呼び、1年も経たずに3万人近いフォロワー数を獲得。イラスト制作以外にも、美容師向けのセミナーを開催するなどマルチな才能を発揮している。美容師としては現在、既存顧客のみ対応しており、予約は紹介のみ。

今より稼げる? 成長と自由とお金を求めてフリーの道へ

――青山の有名美容室に新卒入社したTAKUOさん。なぜ有名美容室を辞めてまでフリーランス美容師になろうと思ったのですか?

きっかけは、仲のいい先輩から「フリーランスのほうが稼げるよ」と聞いたことでした。当時、勤めていた美容室の月給は10数万円。「フリーになれば30万円以上は稼げる」と聞いて興味を持ちました。

もともと組織に縛られるのが好きではなかったことや、当時、僕はアシスタントだったのですが、スタイリストの先輩たちを見ていても組織の中でキャリアアップするには時間が掛かりすぎるとも思いました。

でも一番大きかったのは、スタイリストになってもなかなか新規のお客さまを担当できないことでしたね。有名店なので、お客さまは先輩を指名するリピーターがほとんどです。これが何年も続くとなかなか成長できないと思い、独立しました。

――フリーランス美容師と社員として働く美容師とでは、働き方はどう違うのですか?

フリーランス美容師の働き方は「業務委託」と「面貸し」の2つのタイプがあります。僕が最初に働いたのは業務委託の美容室です。そこで4年働き、現在は面貸しの美容室で働いています。

業務委託の場合、社員として働く美容師と業務内容はほとんど変わりません。福利厚生がないぐらいです。僕がいた業務委託の店では、売上の40~50%が自分の取り分になっていました。残りはお店の取り分で、場所代やカラーなどの薬剤代がまるっと含まれていました。また、フリー(指名なし)のお客さまも来店するため、自分を指名してくれる顧客がいなくても稼ぐことができます。

一方で、面貸しは「完全にフリーランス」な働き方。美容室内の施術スペースを借り、薬剤は自分で管理することが多いです。もしお店の薬剤を使う場合は使用料をお店に支払います。僕が現在働いている面貸し美容室では、売上の60%が僕の取り分となり、残りの40%は美容室へ支払っています。僕の場合はお店の薬剤を使用しているので、この40%に場所代のほか薬剤の使用料などの経費が含まれています。業務委託と違って、フリーのお客さまの来店がないため、自分を指名してくれる顧客がいないと、収入を得るのは難しいです。

――実際にフリーランス美容師になり、収入は増えましたか?

僕は、社員時代の10数万円から40万円程度になりました。僕の周りで収入が減ったフリーランス美容師はいません。ある程度顧客が付いていれば、少なくても25万円前後にはなるので、独立すれば雇われているよりも収入は増えると思います。

とはいえ、僕はお金よりもやりがいに関心が移りました。僕が勤めていた業務委託の店は来客数が多く、自分を求めてきてくれる方や感度の高いお客さまも多かったんです。だから、自分が提案したい髪型をたくさんできたし、スキルが上がったことがとても嬉しかったですね。

――課題を感じていた美容師としての成長にもつながったんですね。ちなみに社員として働いている方は、最高どのくらい稼いでいるのですか?

僕が働いていたような都内にある有名美容室のトップの人は月に100万円くらいです。役職手当などが付けば、その分給料が上がります。ただし、お客さまを月に150〜200人ほど担当することになります。

どう顧客を増やす? フリーランス美容師に必要な集客力

――顧客を増やすためには集客も必要です。フリーランス美容師はどう集客するんですか?

業務委託の頃は、美容室の予約サービス「minimo」にサロンスタッフとして登録していました。自分のページにスタイル写真などをアップして集客していました。そういったサービスを使っている人が多いと思います。

――TAKUOさんは集客力をどう身に着けましたか?

僕が集客力を身に着けたのはアシスタント時代の経験からです。美容師は、仕事終わりや休みの日に街に出て、カットモデルを探さなければならないのですが、僕は人に話し掛けるのが大の苦手で……。朝から晩まで1人も声を掛けられずに終わる日もありました。

それで当時流行っていた「mixi」のコミュニティを活用し、カットモデルを募集することにしたんです。どんなキャッチコピーなら刺さるか、どんな画像が好まれるか、研究を重ねると1日100件くらいの問い合わせがくるようになりました。今もその経験が活きていますね。

フリーランスになるなら、最初からある程度指名してくれるお客さまがいる状態で独立するか、自力でアプリやサイトなどを使って集客ができるスキルがないと厳しいですね。

――集客に発生する経費以外に美容師さんはどんなところにお金を掛けるんですか?

美容師はとにかく服を買います。自分も毎月10数万円は使いますし、ファッションが好きな美容師は多いです。美容室によっては、洋服の手当が出ることもあるくらい。それほどファッションと美容師は深い結び付きがありますし、接客業なのでこだわりもあります。

ただ、仕事では薬剤を使っているのでおろしたての服でも速攻で汚れるんですよ。ちょっとシミが付いただけで立ち直れなくなるほどへこみます(笑)。

美容師のあるあるイラスト。わずか3週間で人気に

――TAKUOさんがInstagramに投稿している「#美容師あるある」。美容師の共感を呼び、現在は3万フォロワーを抱えます。イラスト制作はいつから始めましたか?

インスタの投稿を始めたのは、2018年4月です。昔からイラストを描くことが好きで、授業中に先生の似顔絵を描いて、クラスメイトに回しては笑いを取っていたんです。

ただ、イラストを描く余裕ができたのは、面貸しの美容室で働き始めてから。ちょうどその頃にイラストレーターのパントビスコさん(@pantovisco)の投稿をインスタで見て、自分もやりたいと思ってイラストをアップし始めました。

――最初から美容師に関わるイラストを描いていたのですか?

最初は関係ないものを描いていました。試行錯誤していくうちに「同業者である美容師に見てもらいたい」と思うようになって「美容師あるある」を描き始めたんです。そうしたら3週間ほどでフォロワー数が右肩上がりになっていきました。

――美容師とイラストレーターの両方をこなすのはとても大変そうです。

今は、週4日は美容師として働き、残りはそれ以外の活動をしているので、完全にオフの日はありません。でも、美容師以外の仕事は新鮮で、新たな知見を得られるので苦にならないんですよね。

最近は美容師向けセミナーも開催しました。僕を含め3人の美容師で「技術力」「接客力」「発信力」について講義しました。

チケットは一瞬で売切れ、北は青森から南は沖縄まで80名の方が集まってくれたんです。セミナーの企画は初めてだったので大変なこともありましたが、その甲斐あってかセミナー終了後のアンケートでは100%の方が「満足した」と言ってくれて、大成功だったので苦ではなかったです。

――活動の場も広がっているんですね。イラストレーターとしての収入も多いのでは?

イラストの単価も上がってきて、収入の軸として生活ができるレベルにまで稼げています。イラストを描いているのは、主に美容系WebメディアやシェアサロンのPRなど。あとは、LINEスタンプも販売しています。

僕はフリーランス美容師にならなかったら、社会やほかの業界について知らずにいました。それぐらい美容業界は専門的な世界なんです。しかし、フリーランスになってから、決して狭い世界だったわけでなく、「自分次第でここにキャッシュポイントがある」と初めて学びました。

お金だけでは幸せにはなれない。将来を見据えて考えよう

――TAKUOさんはほかの美容師さんにフリーランスという働き方を勧めますか?

うーん、なんとも言えないですね。なぜフリーランスになりたいのか、お金以外の理由が言えるならいいと思います。

僕がフリーランスになったのは、収入面の魅力だけではなく「成長したい」という思いもあったからこそ。社員として美容室に所属していれば集客も経理も誰かがやってくれますが、フリーランスは全部自分でやらなければいけません。そういうものを含めて成長意欲がないとフリーランスの美容師にはなれないと思います。

とはいえ、会社がずっと面倒を見てくれるわけではありませんし、美容師は体力勝負の面もありますから、年を取ると現場に立つことが大変になる。将来を見据えてキャリアを考える必要はあると感じます。

――美容師兼イラストレーターとして、今後の目標はありますか?

今はまだ決まっていません。何をやったら成功するのかは誰にも分かりませんから。これからも人に喜んでもらうことを根底に置きながらいろいろとやっていくだけです。セミナーだってもともと目標にしていたわけではなく、たまたま先輩と話しているうちに話が盛り上がり実現しただけ。

自分は、人は生まれた瞬間に、運命が決まっていると思っているんです。だから、半年先は何をやっているかは分からないし、そのレールに乗って楽しみたい。

ただ、僕のカットを求めてくれる人が一人でもいるならば、美容師として現場に立ち続けます。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

Bizpedia編集部

「Money Forward Bizpedia」は株式会社マネーフォワードが運営している公式メディアです。
マネーフォワード クラウドに関係する会計や経理などのバックオフィス業務をはじめとしたビジネスに役立つ情報を更新しています。



「マネーフォワード クラウド」シリーズのサービス資料