「成長する会社の経理が大切にする3つの原則」 MF Expense expo 2018イベントレポートvol.6

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前田康二郎氏

9月7日、「経理から始める働き方改革」をテーマに開催された「MF Expense expo 2018」。法人企業の管理・経理部門、経営層などを対象に、自社のバックオフィス業務の効率化に有益な講演やサービスにまつわる多様なセッションが実施されました。

その中から、経理と経営のエキスパートである前田康二郎氏による講演をレポートします。前田氏は民間企業で経理総務、IPO業務などを経て2011年に独立し、現在は“フリーランスの経理”として各企業の経理業務や組織改善の提案を行っています。そんな前田氏の講演内容は、「経理を通して会社の利益を伸ばす方法」です。経理の自動化で生まれた時間で、人にしかできないことをするという、現代の経理のあり方を提言する45分間の講演をダイジェストでお届けします。

会社の利益を押し下げる要因を取り除く

まずは前提として、会社の中で経理ができることについて。主に営業や経営者が会社の利益を伸ばすことに注力する一方で、経理は“会社の利益を押し下げる要因を取り除く”という視点から話が展開されました。

前田氏 「会社の利益を伸ばすために、経理社員は何ができるでしょう? 売り上げを伸ばすことに関しては、やはり経営者や営業社員が主体となってきます。それに対し経理社員は、会社の利益を押し下げている要因を探し、改善する。そんなふうに、それぞれが得意な部分で会社の利益を伸ばしていくというのが、成長する会社に共通する姿だと思います。

前田康二郎氏

しかしながら経理が1日の多くをルーティン作業に費やしていては、とてもそこにまで手がまわりません。だからこそマネーフォワード クラウド経費などによるクラウド化や自動化を進め、利益を伸ばす業務にまわす時間を作る。そうした考え方が一つ大きなポイントになると思います」。

プロジェクトに立案段階から参加する

見落とされがちな“会社の利益を押し下げる要因”と、それを経理が阻止し、改善する方法について深掘りしていきます。

前田氏 「では、会社の利益を押し下げる要因とは何でしょうか。実はこれまで私がいろいろな会社を見てきた中で、赤字の会社、あるいは赤字までいかなくても伸び悩んでいる会社の多くに共通する要因が3つあります。経理がそれをどう改善すればいいかとあわせ、一つずつ見ていきましょう。

1つ目の要因は“ビジネスモデルの立て付けが悪い”ことです。これはどういうことかというと、新規事業の立て付けを経理担当者抜きで行ってしまうことで、コスト面の問題が発生することです。たとえば必要なコストが計画書から抜けていて、事業開始後に想定外のコストが発生する。あるいは想定外の手作業やクレームなど例外事項が多く発生し、人件費コストが増大する。要は一番大事なお金の“実務”の視点が抜けてしまっているのです。これだと、たとえ売り上げは出たとしても利益があまり出ないということになりがちです。

では、これをどうすればいいのでしょう。やはり新規事業のプランニングの段階から経理担当者が参加することが肝心です。そうすれば最初から例外ありきのワークフローが作れ、経理的視点から確認不足もチェックでき、はじめから生産性の高い事業計画を作れます。またビジネスモデルまでいかずとも、経費精算のルールや請求管理のルール、締めのルールなど、経理が効率的なルールを作るだけでも、生産性はかなり上がります」。

経理部発信で社員の計数感覚を高める

続いては、会社の利益を押し下げる2つ目の要因です。

前田氏 「経理が処理業務をしているだけで、社員教育や提案をしていないというのも、利益が伸びていない会社の共通項です。会社が伸びるには、やはり社員が優秀であることが重要です。では優秀な社員とはどんな人か。それは人間性、実務能力、そして計数感覚を兼ね備えた人だと思います。人間性と実務能力に関しては経営者や現場の上長が啓蒙していけますが、計数感覚、要は数字やお金を扱う能力に関しては、社の誰もコントロールしていないことが少なくありません。現場の上長ではそこまで手が回らなかったり、そもそも計数に強くなかったりするからです。そこで計数を得意とする経理が、その部分の教育を担うというわけです。実際、伸びている会社は不思議とそれができています」。

経理部発信で社員の計数感覚を高める

計数感覚を養うための教育を経理が担うべき、と提言した後、具体的な方法について述べられます。

前田氏 「では、どうやって教育すればいいでしょう。その際に絶好のツールとなるのが“経費精算”です。なぜなら、経費精算のやりとりを通じて、たとえば“費用対効果をあまり気にしないんだな”、“期限を守るのが苦手なんだな”、“細かい数字に固執するきらいがあるな”といった各社員の計数感覚や弱点が如実に見えてくるからです。経費精算以外に、請求書や見積書を通しても同様です。

そうして社員の計数感覚を把握したら、経費精算や締め日などのやり取りを利用して経理が“締め切りが近いけど、進んでる?”、“あの見積書の□□の数字、大丈夫?”などとさらっと声を掛けるようにします。こうして経理がさりげなく計数についてのコントロールや教育をすることで、会社全体の数字的な統制がとれ、経費の締めも早くなります。

その際は部長には部長から、新人には新人からと、相手と同列の階層・役職の人から話をするのが基本となります。下の立場の人からの提案を素直に受け入れられる人は少数だからです。目上の人に話をしたい場合は、たとえば経理部内の定例ミーティングなどを利用して、まずは経理部内の上役に伝え、そこから目的の人に話をしてもらう、といった方法が有効です」。

「けん制」によって不正を未然に防ぐ

会社の利益を押し下げる3つ目の要因は、「不正による資金の流出、信用力の低下」にあるといいます。

前田康二郎氏

前田氏 「社内の不正も、やはり会社の利益が伸びない要因となります。不正の何がいけないのかというと、一番は誤った経営判断を招くことです。たとえば粗利35%のところを、裏でキックバックが起こって33%になってしまった。経営者はその2%のために材料費や人件費、経費の削減を指示する。これにより商品の質が下がり、社員や取引先のモチベーションも下がり、より利益が下がる…。こんなふうに正確ではない数字を発端に、さらなる経営状態の悪化を招きかねません。こうした状態を防ぐことが、ロボットではない人間の経理社員が担う、重要な仕事の一つだと思います」。

前田氏は、こうした社内の不正を防ぐために最大の予防となるのが“けん制”である、と話した上で、すぐにでもできるいくつかのけん制パターンについても紹介。

前田氏 「まずは経理担当社が社員たちに“チェックがゆるい”、“経理初心者”などと思われないようにすることです。どうしても人間は、ついよこしまなことが思い浮かびがちなものです。ですから、経理社員はたとえ自信がなくても、他部署の人にできるだけ毅然とした態度で接するようにしましょう。場合によっては多少の演技も必要です。

それから、経理業務をできるだけ2人以上で担当することも重要です。昨今の不正案件を見ると、多くがワンオペ(1人体制)のところで起こっています。ワンオペであることでダブルチェックができなくなるうえ、帳簿のつじつま合わせを目的とした不正も起こりやすくなります。

経理によるチェックがどうしても甘くなりがちなのが、業務委託料などの毎月決まって発生する費用です。半年に1回かせめて年に1回くらいは、毎月固定で発生している費用をしっかり定期チェックする機会を設けるようにしましょう。

そしてもう一つ重要なのが、けん制をしていることを現場にさりげなく伝え、経営者にも報告することです。それにより、社員からやましい気持ちが自然と生まれにくくなります。不正が発覚すると、不正をした本人だけでなく、関わる人すべてが不幸になります。会社の信用力も落ちます。ですから、会社からそんな人を出さないよう未然に防ぐのが、経理社員の大きな役割の一つといえます」。

まとめ

最後に前田氏からはこんな話がありました。「経理がここまでする必要があるのか?と思う方もいるかもしれません。ただ、私がこれまで在籍した“伸びている会社”には、まるで社員たちの兄や姉、お父さんやお母さんというように、善意でそういう役割を担う経理社員がいました。実際に彼らによって会社の利益は確実に伸びるので、そういう気が利く経理社員は“招き猫”のような存在だと思っています」。

経理がプロジェクトの立案段階から参加することで利益の出にくい立て付けを阻止すること、社員の計数感覚を高めることで会社全体の数字的統制を図ること、不正を未然に防ぎ会社の信用を失わないこと━━。一般的にイメージされること以上に、経理が会社の利益に貢献する手段は数多く存在する。そんなことを教えてくれる講演となりました。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:田嶋 章博 (たじま あきひろ)

ライター、編集者。ファッション誌編集を経てフリーに。ビジネスまわり、カレーまわり、インタビューものを中心に執筆。モットーは「心が動くライティングを」。https://www.muchbako.com/



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