高橋知道氏×瀧俊雄氏「RPA・AIが管理部門へもたらす未来」 MF Expense expo2018 イベントレポート vol.1

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高橋知道氏×瀧俊雄氏 「RPA・AIが管理部門へもたらす未来」

9月7日、マネーフォワード主催のイベント『MF Expense expo2018』が開催されました。こちらは経理部門の方々に最新の事例やツールなどの情報を共有していただこうという趣旨のイベントで、経理という一つの部門に絞った大規模イベントはマネーフォワード史上初の試みとなります。

マネーフォワードマネーフォワード クラウド経費本部 本部長・今井義人氏が宣言したイベント全体のテーマは、「経理、躍動。」。経理部門、管理部門が経営の中心的存在となって活躍してほしいこと、それを全面的に応援したいという意図が込められています。朝10時半の開演と同時に数百名の席がともに満席となり、盛況のなか終演の16時半まで、計14人の登壇者による全9講演が行われました。

その冒頭に行われたのが、本記事でご紹介する基調講演です。壇上ではRPAホールディングスの代表取締役・高橋知道氏と、マネーフォワード取締役・瀧俊雄氏によるパネルディスカッションが行われました。RPAホールディングスはRPAに関するツールやサービスを提供する、日本のRPAのリーディングカンパニーです。RPAによって管理部門の仕事はどうなるか。そんなテーマにダイナミックに迫ったセッションをハイライトでまとめました。

社内の34業務に既にRPAを導入

まずはじめに瀧氏が壇上に上がり、日本は韓国などと比べるとキャッシュレス化の余地が大いに残されていて、経理の世界でも情報が電子化されていけば、強烈なRPA化が進むであろうという話が出ました。そしてRPA導入により人間の仕事は今後、「人の行動をどう変えるか」という業務にシフトしていくだろうという視点も紹介されました。

マネーフォワード取締役・瀧俊雄氏

続いて壇上に高橋氏が登場。まずは、自社内の34業務で徹底的なRPA導入が進められていて、生産性が大きく向上したという事例が紹介されました。これにより時短勤務で子育てにあてる時間が大きく増えたり、自宅でのリモートワークに切り替えたり、他の部署の業務も兼任したりと、今までにはない多様な働き方が実現していることもあわせて紹介されました。

RPAホールディングス代表取締役・高橋知道氏

そして、いよいよパネルディスカッションの開始です。

1社だったRPA事業者が、1年で300社超に

まずテーマとなったのが、昨今のRPAの加熱ぶりです。

高橋氏 「RPAという言葉が一気に浸透してきたのが、メガバンクがRPAを使った効率化をするという記事がマスコミに出始めた2017年11月頃からです。そこから大手大衆メディアがこぞって取り上げるようになりました。だからまだ1年経っておりません。

そもそもRPAとはどういう意味かというと、ご存じ“ロボティック・プロセス・オートメーション”の略で、要はロボットを使って業務を自動化すること。つまりRPAとは特定のシステムを作るツールとかではなく、ただの“コンセプト”や“概念”なんです。

RPAに関するサービスを提供している会社に関しては、2016年時点ではほぼ弊社1社と言い切れるような状態でしたが、2017年にはそれが三百数十社にもなりました。こうして過熱することで注目を集め、導入にもつながっていくので、そういう意味では非常にすばらしい状況かなと思います」。

RPAホールディングス代表取締役・高橋知道氏

瀧氏 「実は私もフィンテックという言葉をがんばって過熱させていたりするんですが、やっぱり過熱することってすごく重要ですよね。それにより会社の決定権を持つ人が、ちゃんと予算を確保しようと思うようになるわけなので」。

マネーフォワード取締役・瀧俊雄氏

高橋氏 「特にいまRPA導入が真っ先に進んでいるのが、ルール化しやすい金融機関の事務処理業務や、さまざまな事務処理センターの業務などです。もちろん経理業務もルールベースの作業なので相性がよく、RPAの導入が進んでいます」。

作業はなくなるが、仕事はなくならない

続いてのテーマは「5年後、15年後の仕事はどう変わるか?」です。
瀧氏 「このさき仕事はあるのか?という話もよく出ますが、RPA導入などが進む中で仕事はどうなると思いますか?」

高橋氏 「おそらく仕事がなくなるとか、すべて機械に置き換わるというのは、ほとんどが「作業」のことを言っています。たとえば私はかつてインターネットがない時代にコンサルティング会社に勤めていました。その時は1日かけて国会図書館で調べ物をしてコピーを取り、それをまとめてOHPのシートに記入してお客さまに渡していました。今そうした作業は完全にインターネットに置き換わっています。でも、お客さまの経営的課題を解決するための提言をするというコンサルティング業の本質自体は変わっていません。テクノロジーにより作業が圧倒的に効率化されたことで、業務が本質的な部分によりシフトしているというわけです。

高橋知道氏×瀧俊雄氏 「RPA・AIが管理部門へもたらす未来」

いま支店がどんどんなくなっている銀行に関しても同様です。銀行の仕事とは、お金にまつわる課題を解決することです。そしてお金の課題って、おそらく人がいる限りは永遠に解決されません。だから銀行業務の作業的な部分がテクノロジーに置き換わっても、仕事自体は高度な形で、より人にしかできない部分にシフトしていくでしょう。要は作業がなくなっても、人の仕事は決してなくならないということです」。

瀧氏 「そもそも、海外に比べると日本は長いこと同じ会社に勤める人が多いですよね。となると当然、同じような働き方がレガシーとして受け継がれる部分も多くある。もちろんいいレガシーもあると思いますが、効率化できる余地も日本にはすごくあるだろうなと思います」。

自動化で不正の余地をなくす

その後、自動化によって不正を検知するためのコストを減らすという話題になりました。

瀧氏 「会社を運営する以上、従業員が不正をしていないか監査することは、どうしても避けられないコストです。やっぱりみんなロボットではないので、なにかよこしまな思いが浮かぶこともあります。だからこそ、その前にそれを丁寧に遮断することはできないかなと。そこで大切になってくるのが、不正をしようと思わなくなる仕組みであったり、不正そのものをシステムが学習するというようなものなのかなと思います」。

高橋知道氏×瀧俊雄氏 「RPA・AIが管理部門へもたらす未来」

高橋氏 「まさに弊社では監査の部分も完全にロボット化しています。世の中ではいろいろな不正や事件が起こります。それを△△パターン、□□パターンというようにロボットに覚えさせ、同じようなことが社内で起きたら検知できるようにしています。こういったものをテンプレート化し、たとえばマネーフォワード クラウド経費に反映させるということも、このさき普通に起こってくるのではないでしょうか」。

瀧氏 「もともと不正を検知することにかかっていたコストってすごく大きいと思うので、そこが自動化されて不正をする余地がなくなるというのは、生産性という部分でもすごく大きいはずです。

たとえば介護の現場の話を聞くと、ヘルパーさんに生活費の4万円を渡してこれでいろいろ買ってくださいと言うと、特に親族だったりするとちょっと抜いたりというのが起こることもあるそうです。でもそれが現金ではなく、必要な金額をチャージしたnanacoであれば、利用履歴を後から見ることができるので、不正の余地は自然となくなります。要はキャッシュレスという部分にもつながっていきますが、そういうふうに後から監査できる仕組み作りが非常に重要だと思います」。

経理業務の“自由度”が大きく上がる

そして終盤では、マネーフォワードとRPAホールディングスの連携イメージが紹介されました。マネーフォワード クラウド経費上の経費精算データを仕訳データとしてエクスポートし、勘定奉行などの会計ソフトへ取り込む作業を自動化するRPAツールとなります。手作業だと手慣れた人でも1件につき1分15秒かかっていたのが、これを使えば15秒に短縮されるといいます。そして話題は、RPAで経理の働き方はどうなるか、というところに発展していきます。

高橋氏 「パナソニックの松下幸之助さんが何をしたかというと、家事にかかっていた主婦の負担をすべて家電製品に代替し、お母さんはお母さんにしかできないこと、それこそ子どもに愛情をたっぷり注ぐとか、教育とか、そういったところにもっと時間を使ってもらうということでした。

高橋知道氏×瀧俊雄氏 「RPA・AIが管理部門へもたらす未来」

パソコンにしろインターネットにしろスマホにしろ、テクノロジーによる生産性革命の歴史は、結局はそういったことの連続でした。だからRPAとかAIといったものも、これはわれわれが努力しなくてはいけないですが、今のパソコンやスマホのように、まるで自分の一部であるかのように、あるいは“文房具”のように、そんなふうに使っていただけるレベルにしなくてはいけないなと思います」。

瀧氏 「産業革命でいうと蒸気機関だったり、車でいったらエンジンだったり、登場した時はおもいっきり主役だったものが、だんだん主役から裏方にまわっていったのと同じかもしれません。だっていま車を買う時に、エンジンに興奮しながら買う方って相当なマニアくらいですよね。RPAに関しても、だんだんと“裏にいる黒子のすごいやつ”というポジションに進んでいくイメージですかね」。

高橋氏 「そうですね、おっしゃるとおりだと思います」。

その後、高橋氏から「新しい技術を最初から使いこなせるわけがないので、少しずつ慣れていくこと、そして便利そうだなと感じたら素直にそれを試してみることが大事」という話がされ、最後にこんな言葉で締めくくられました。

高橋氏 「なぜわれわれのような会社がこうしてやっていけているかというと、やはり働いている人たちが幸せだからなんですよね。今まで100時間かかった作業が、自動化によって数時間でできるようになる。そうなると時間ができる。先ほど紹介したように、弊社社員は既にその時間を使って多様な働き方をしています。

たとえばある女性の経理担当者は、新たに生まれた時間を育児にあて、さらには残りの時間を使い、他部署で経理の視点を活かして営業事務職をしています。もちろん、そのぶん給料は上乗せされます。こんなふうに、できた時間をどう使おうかという“自由”を手に入れることが、RPA導入の一番大事な価値観だと個人的には思っています」。

未来に向けての変化の一歩を

RPAやAIが進んでも決して仕事はなくならないこと。仕事のウェイトは、より人間にしかできない業務にシフトしていくこと。そしてRPA・AI導入により、多様なことに取り組む自由を手に入れられること…。今後の生産性革命の時代をより良く生きるための示唆が多く含まれた基調講演となりました。

ぜひみなさまも「いい話を聞いたな」で終わらせず、「あの新しいアプリを試してみよう」「前から気になっていたあのツールを使ってみよう」と、未来に向けて変化の一歩を踏み出してみてはいかがでしょう。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:田嶋 章博 (たじま あきひろ)

ライター、編集者。ファッション誌編集を経てフリーに。ビジネスまわり、カレーまわり、インタビューものを中心に執筆。モットーは「心が動くライティングを」。https://www.muchbako.com/



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