ディライテッドの社内交流を加速させた「Slackのちょっとしたエッセンス」

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日本は「クラウド戦国時代」を迎えています。人材不足や働き方改革にあえぐ企業の“救いの手”として、国内企業のクラウドサービス利用率は年々高まっています。事業者も群雄割拠の様相を呈し、新しいクラウドサービスが続々誕生しています。

そんな中、「クラウドのプロ」とも言えるクラウドサービスを提供している企業は、多種多様なクラウドサービスの中からどんなサービスを選び抜き使っているのでしょうか。今回、全5回の特集「君たちはどう効率化しているのか」として、2018年10月5日(金)開催の「マネーフォワード クラウドExpo2018」に出展するクラウド企業5社にクラウドサービスの活用法を聞きました。

最終回は、クラウド型受付システムを手掛けるディライテッドから、代表取締役CEOの橋本真里子さんに「どんなクラウドを使って、君たちはどう効率化しているのか」を教えてもらいました。

ビジネスチャットは「インフラ」

企業 :ディライテッド株式会社(現・株式会社RECEPTIONIST)
業種 :IT
社員数:17人(2018年8月時点)
▼今回紹介するクラウドサービス
Slack(ビジネスチャットツール)
▼利用職種
全職種

この特集の取材を進めている中、取材先の企業のある共通点に気が付きました。4社のうち3社が会社のエントランスに内線電話を置いておらず、その代わりにクラウド型の受付システムを設置していたのです。3社の受付システムはどれも「RECEPTIONIST」。このサービスを手掛けているのがディライテッドです。

ディライテッドのCEOを務める橋本真里子さんは、11年もの間、企業の受付嬢として働いてきました。ITの力で受付業務を改革できるのは自分しかいないと一念発起し、2016年1月に起業。異例のキャリアチェンジを果たします。2017年1月にRECEPTIONISTをリリース後、約1年7か月で導入企業数1,000社を超えるまで拡大しています。

【プロフィール】橋本 真里子(はしもと まりこ)
2004年、大学を卒業してから11年間、5社以上の上場企業で゙派遣社員として受付業務に従事。1日平均500人、月間10,000人、延べ120万人もの接客経験を通して確立した独自のノウハウを活かし、2016年1月にディライテッド株式会社を設立、翌2017年にiPad無人受付システム『RECEPTIONIST(レセプショニスト)』をリリースした。

RECEPTIONISTの特徴は、内線電話を使わずに無人で受付手続きができること。電話で呼び出されることなく来客を知らせてくれるのは、企業での導入が進んでいる「ビジネスチャットツール」です。

「私たちのサービスを利用していただくには、まずその会社でビジネスチャットを導入していることが前提になります。来客が面会予定の担当社員の名前を入力すると、その担当者のビジネスチャットに『来客通知』が届く仕組みなのです。ビジネスチャットは私たちのサービスのインフラとも言えます」(橋本さん、以下同)

そんなビジネスチャットに思い入れが強いディライテッド社内では、複数のチャットツールの中から「Slack」を中心に利用しているそうです。その理由は職種の比率にありました。

社内のコミュニケーションの濃淡も丸見え

「RECEPTIONISTとのサービス連携を見据えて、起業当初からいくつかのビジネスチャットを使っていましたが、今ではSlackがメインになっています。

その理由はエンジニアの比率が増えたことですね。今は社員の半分ぐらいです。Slackはエンジニアからの人気が高いと知られているとおり、弊社でもエンジニアが増えるごとにSlackの利用頻度が増えていきました」

Slackの機能は、メッセージのやり取りの他、ビデオ通話、ファイル共有などがあります。その中でもツール連携が優れているとの評判は高いです。

「外部サービスとの連携が充実している点は特に役立っています。例えばエンジニアが使うGitHubと連携しておけば、GitHub上でのタスクの進捗が通知で受け取れます。私は直接開発に関わっているわけではないですが、タスクがどこまで進んでいるか、前後の会話からどういう経緯がありその意思決定がされたかなどが分かるので助かっています」

また、チャットツールとして実用的に使う以外に、社内の風土改革にもSlackを活かそうとしています。それは、社内のコミュニケーションの濃淡をSlackの「アナリティクス」で把握し、オープンな社風作りに向けた施策を打っていくというものです。


※アナリティクスの利用イメージ。ディライテッドのデータではありません

Slackでのメッセージのやり取りは、自社のワークスペース上に「チャンネル」というチャットルームを立てて使います。チャンネルの種類は、自社のワークスペースに開放されている「パブリック」、メンバーを限定して使用できる「プライベート」、他社のワークスペースとつなげられる「共有」の3種類があります。これに加えてチャンネルを立てず「ダイレクトメッセージ」を送ることもできます。

「アナリティクスでは、どのチャンネルが活発にやり取りされているか、『パブリック』と『プライベート』のどちらの種類のチャンネルがよく使われているかなどの活用状況が可視化されます。

弊社では社員の動きがブラックボックスにならないよう、社内の情報共有はオープンにしていきたいと思っています。しかし、最近では社員数が増えてきたこともあり1対1での『ダイレクトメッセージ』などクローズドなコミュニケーションが少し増えていて、この傾向はあまり好ましくありません

このような社内のコミュニケーションの濃淡を把握できるのは非常にありがたく、この結果をフィードバックとして改善施策を打つつもりです」

カスタム絵文字でコミュニケーション活性化

また、Slackが「ビジネスチャット」ではなく「コミュニケーションツール」として売り出しているとおり、社内コミュニケーションの活性化にも一役買っているそうです。

「Slackは遊び心やエンターテインメントといった『Fun』の要素が散りばめられています。それを象徴するのが『カスタム絵文字』です。

自分たちで作成した画像を絵文字化できるのですが、例えば弊社でよく使う言葉を絵文字にすると会話が弾みますね。LINEなどでもスタンプの効果は大きいと思いますが、同様に気軽さや距離感の近さにつながっていると思います。全てボールドにし、チームの結束を高めたり、企業カルチャーの醸成には大きな効果がありますね。

Slackは、コミュニケーションを活性化させる“ちょっとしたエッセンス”を加えるのが上手だなと感じます」

元受付嬢のCEOが語る「受付で変わる企業力」

今回ご紹介したディライテッドは、2018年10月5日(金)開催の「マネーフォワード クラウドExpo2018」に出展します。同社代表取締役CEOの橋本真里子氏によるトークセッションでは、ビジネスプロセス革新の中で見落とされがちな受付業務を改善することによる企業力向上についてお話を聴くことができます。

【講演タイトル】
「企業力を加速させる受付変革〜受付を11年経験した経営者が語るノウハウとは〜」
ディライテッド株式会社 代表取締役CEO 橋本真里子氏

【講演概要】
「受付」業務。それは、ビジネスプロセス革新の中で、見落とされた領域。案外、軽視されがちな受付ですが、実は、企業変革を起こすための大きなポテンシャルを秘めているのです。受付システムを変革すれば、日々の業務の生産性を高めることができる上に、日々クラウド上に蓄積されていく来客データをリソースとして活用が可能です。受付の変革で、企業力を加速することができるのです。本セッションでは、その一端をご紹介します。

【講演日時】
マネーフォワード クラウドExpo2018
2018年10月5日(金) 会場E 16:25-17:05

【Expo開催場所】
ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区赤坂1-12-33)

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