経理に愛される電卓は? 二強のカシオ派VSシャープ派が激論

「カシオとシャープ、結局どっちがいいの?」――日本の電卓界で双璧をなしている2社。どちらのメーカーの電卓がより経理業務に向いているのか、経理担当者にとっては永遠のテーマとも言える議論があることをご存知ですか?

今日は、普段から会計や財務などの業務で電卓を使い倒しているマネーフォワードの4名に、愛用している電卓の魅力について聞いてみました。彼らの電卓への並々ならぬ愛情にも注目しつつ、経理担当者だけでなく働く皆さんも電卓を選ぶときのヒントを見つけてみてください。

「絶妙なコンビ芸で、ミスタッチを回避」DS12ECO(カシオ)


深堀宗敏(ふかほりむねとし)
1985年生まれ。マネーフォワード クラウドサービス開発本部所属。税理士法人などを経て、マネーフォワード入社。公認会計士・税理士資格を保有。

——こちらが愛用の電卓ですね。この電卓との出会いを教えてください。

深堀宗敏さん(以下、深堀):こいつとの出会いは、2005年。当時、会計士試験を受験するにあたって、簿記の勉強で電卓が必要だったので購入しました。かれこれもう13年間、苦楽を共にしている相棒ですね。

——13年間も……。なぜこの電卓を選んだのですか?

深堀:まずはこの大きさですね。これは12桁表示の電卓の中では、大きくて打ち込みやすいんです。そしてちゃんと早打ち機能がついている。早打ち機能というのは、完全にキーアップするタイミングに次のキーを打っても入力されるという機能なんですが、毎日電卓を使う人は、ときにものすごいスピードで打ち込みを行うので、必須の機能なんです。

深堀:あとは、このキーの高さ! 電卓って、メーカーや機種によって打ち込んだときの感覚が全然違うんです。これはキーが高い分、打ち込みの感覚が深いので「あっ、間違った」と思った瞬間に手を引けば打ちこまずに済みます。ベテランの漫才師のような阿吽の呼吸でしょ(笑)。


——キーに触れた瞬間のせめぎ合いがあるわけですね。打ち込みが深い分、計算のスピードが落ちることはないのですか?

深堀:まさにスピードが命ですが、計算スピード単体よりも、総合的な業務処理スピードの早さが大事ですよね。だからこそ、打ち間違えて全部最初から計算し直すリスクを考えたら、ある程度はキータッチが重いほうが入力ミスを防げています。

さらに、カシオの電卓が優秀なのは、同じ数字を繰り返し使う「定数計算」の操作がシンプルで、計算したい四則演算キーを2回押すだけでいいということと、この操作を面倒な計算にも応用できるというところです。

たとえば、「100÷(50-30)=」という計算の場合、 先にカッコの中の「50-30=」を計算して20を出し、メモを取ったりメモリーを使ったりして、「100÷20=」と計算するのが一般的です。

でも、カシオなら定数計算の仕組みを使って、「50-30 = ÷÷ 100=」で計算ができます。メモを取ったり、2回計算する手間が省けるんですよ。この操作って、ほかのメーカーの電卓だと、結構複雑なんですよね。

あと、地味ですが、液晶の左上に小さな「K」の文字が表示されます。これは「定数計算中ですよ」というサイン。メモリー機能を使っているときは「M」が表示されます。このように、いま何の作業中なのかがすぐに分かるのも、カシオの優れているところですね。

知っておくと便利! 今日から使える電卓機能メモ!

【カシオ製計算機の定数計算モードへの切り替え】
計算を行いたい四則演算キーを2度押し「++」「--」「××」「÷÷」

【メモリー機能】
M⁺(メモリープラス):表示された数値を電卓に加算記憶させる
Ⅿ⁻(メモリーマイナス):表示された数値を電卓に減算記憶させる
ⅯR(メモリーリコール):電卓に記憶させた数字の計算結果を表示する
メモリー機能を使って、100円のコロッケ3個と50円の唐揚げを2個買ったときの総額を計算する場合は、次のようにキーを押します。
1→00→×→3→M⁺→5→0→×→2→M⁺→MR→400円

 

——カシオの電卓、使ってみたくなりました。続いてシャープ派のターンです。松野さんお願いします。

「電卓を忘れるってことは、武士が刀を忘れるようなもの」EL-G35(シャープ)


松野大樹(まつのおおき)
1976年生まれ。経企・財経本部、財務経理部長。監査法人で会計監査業務従事後、上場会社、スタートアップのベンチャーを経て、2016年7月にマネーフォワード入社。

——それでは、愛用している電卓との馴れ初めから教えてください。

松野大樹さん(以下、松野):きっかけは、深堀と同じ簿記の試験です。今から18年前の2000年に購入し、それ以来一度も買い替えていません。シャープを選んだ決め手はやっぱりキー配置。シャープの電卓の最大の特長は、数字キーが左下の3列にきれいに収まっているところです。「0」が数字キーの列をはみ出して、「C」や「AC」と同じ列に並んでいる……なんてことがないのです。きれいでしょう?

あとはこの絶妙なサイズ感。深堀のものと比較するとよく分かるのですが、すごくコンパクトです。大きすぎる電卓って、ちょっとダサいと感じていて(笑)。私の電卓は、12桁表示の電卓の中では、当時一番小さかったかもしれませんね。

——松野さんにとって、この電卓はどのような存在ですか?

松野:はじめはただの道具でしたね。それ以上でも以下でもない。こいつに対する意識に明確な変化が起きたのは、社会人1年目、監査法人で会計監査人として働き始めたときです。

ある日、電卓を忘れたチームメンバーに対し、上司が「会計監査人が電卓を忘れるってことは、武士が刀を忘れるってことだぞ」と戒めたのです。たしかに、「サムライ業」(士業)で生業を立てる以上、こいつは絶対的な相棒なんだと、そのとき気が付きました。


——この電卓と、深い信頼関係でつながっているのですね。浮気しようと思ったことは?

松野:……実は、あります。クライアントの前でカッコつけたくなって、気取った木目調にしようかなとか(笑)。でもいくら探しても、このキー配列でこのコンパクトさを実現している電卓はこれしかなかったですね。もう本当に、目の付け所がシャープだなと。

あとは、電卓の外周を囲んでいるラバーゴム。掴みやすいし、落としたときなどにもクッションの役割を担ってくれています。おかげさまで18年間、多くの死線をくぐってきたとは思えない美しさを保っています。

——たしかに、18年使っているとは思えない美しさですね。

松野:ええ。あとは、キーの押しやすさが魅力ですね。私は、キータッチが軽いほうが使いやすくて。キーを押したときの操作音も静かですね。大きい電卓だと、操作音も大きいものが多くないですか?

深堀:僕はこの音の大きさを逆手にとって、音で周りにプレッシャーを……あ、もちろん予備校時代の話ですよ(笑)。

松野:……音が大きいの、本当は少しうらやましいと思っていました(笑)。

——ありがとうございました。それでは、カシオ派からもうお一人、高倉さんよろしくお願いします。

「孫の代まで継ぎたい永久機関」JS-200W-N (カシオ)


高倉健仁(たかくらたけひと)
1989年生まれ。マネーフォワード クラウド経費本部、カスタマーサクセス部所属。食品メーカーで営業、経理を経て、2016年7月にマネーフォワード入社。

——愛用している電卓との出会いをお聞かせください。

高倉健仁さん(以下、高倉):はい。僕も10年くらい前、会計士の試験を受けるときに買いました。以来、ずっと同じものを愛用しています。


——液晶部分のカバーがはがれてしまっていますね。どうしたのですか?

高倉:何度も落としているので。それが積もり積もって、ある日限界が来たんでしょうね。正直、シャープのラバーゴムの枠がついていたら……と思ったことはあります。でも、これがはがれたことによって、むしろ液晶の見え方が若干すっきりしました。これは新しい発見かもしれません。もちろん、このままでも問題なく使えています。


——このような姿になるまで愛用するのは、やはりそれだけの理由が?

高倉:そうですね。以前電卓を忘れて会社に来てしまい、別の機種を借りたら全然仕事に身が入らなくて。このキー配置が骨の髄まで染み込んでいるので、もう他のものは受け付けないんですよね。生産性の落ちようは半端じゃないです。

なので、同じ電卓をもう1台持っています。あの日、仕事にならなかった悪夢から逃れるように購入しましたね。今は家と会社に1台ずつ置いてあるので安心です。

——それは安心ですね。具体的には、どの部分が気に入っているのですか?


高倉:「0」キーがぷっくりと膨らんでいて、かわいいところですね。これが入力のときに便利なんです。UI(ユーザーインターフェース)が抜群というか。

もちろん太陽電池内臓なので、電池を変えたこともないし、故障したこともない。これはもはや永久機関とも言えるんじゃないかと(笑)。孫の代まで受け継がせたい逸品ですね。


高倉:機能的には正直、上位機種とか最新モデルの方が優れていると分かっているんですよ。でも見てください、この裏の滑り止めなんか、小銭くらいの大きさのゴムが四隅にしっかりついています。おかげで、ブラインドタッチしているときに電卓がずれることもないんです。


あとは、キー配置もですが、カシオとそれ以外の電卓ではキーの種類自体も微妙に違いますよね? あれはカシオ畑で育った僕にとっては大きな罠です。

——たしかに、メモリーを含めた全てを消去したいとき、カシオは「AC」や「MC」キーですが、シャープは「CA」キーなど、微妙な違いがありますよね。試しにこのシャープの電卓で打ってみてください。

高倉:タンタンッ……タン。うわぁ、全然わからない! 本来は「タンタンタン、タンタンタン」とリズムよく打てるのに……使い慣れていないと、思った以上にストレスです。

——やっぱり仕事になりそうにないですね(笑)。

知っておくと便利!今日から使える電卓機能メモ!

【メーカー別キーの違い】
・メモリーを含めた全てを消したい場合
カシオ:ACとMC
シャープ:CA

・メモリー以外を消去したい場合
カシオ:AC
シャープ:C

・直前の入力を消したい場合
カシオ:C
シャープ:CEあるいはCl

 

「ミスを防ぐ最後の砦。一緒にいるのが当たり前な『BFF』」EL-G36 (シャープ)


石原千亜希(いしはらちあき)
1988年生まれ。経営企画・財経本部、経営企画部所属。監査法人にてグローバル企業の監査を担当し、2016年にマネーフォワード入社。公認会計士資格を保有。

——それでは最後にシャープ派の石原さん、よろしくお願いします。まずは、愛用の電卓との出会いから教えてください。

石原千亜希さん(以下、石原):私も最初に簿記の試験を受けて、その後に公認会計士の試験を受けたので、そのときに買いました。気に入っているのは、やっぱりキー配置のよさですね。

実はこれ、会計士養成の予備校がおすすめしていた電卓なんです。私の通っていた予備校ではシャープが圧倒的に多数派で。これは定番モデルだから廃盤になって困ることもないかなと思って選びました。だからカシオを使っている人はこだわりが強そうなイメージがあります(笑)。

深堀・高倉:そんなことはない(笑)。

——石原さんは、どのような場面で電卓を使っているのですか?

石原:あらゆる場面で使っています。たとえば、お客さんの前で試算をするときに電卓を使います。PCを広げてエクセルで計算する暇はないし、スマホだと桁が足りなくなることもあるので、電卓が便利ですね。

あとは、エクセルで計算した資料の最終チェックにも電卓を使用しています。エクセルの自動計算だと、セルの行や列が一つずれるだけでも帳尻が合わないという計算間違いが起こりうるので、ミスを防ぐ上でとても役立っています。

——そうなのですね。愛用している電卓のエピソードはありますか?

石原:え、エピソード……? 全然思いつかないです。一緒にいるのが当たり前すぎて、私にとってこの電卓は空気みたいな、BFF(ベストフレンドフォーエバー)みたいな存在と言うか(笑)。気に入っているのは、角度を付けられる背面のデスクスタンドが折りたためて、完全に平らになるところです。鞄に入れやすいんですよ。


——ずいぶん愛着をお持ちなのですね。ちなみに、よく使う機能はあるのですか?

石原:シャープだけでなく多くの電卓にある機能ですが、よく使うのはGT(グランドトータル)ですね! エクセルでいうSUM関数のような集計のキーです。

高倉:僕はGTより、メモリー(M⁺、M⁻、MR)派です、なんかGTの勝手に足されていく感じが恐怖で(笑)。

石原:メモリーで思い出しました。シャープは「M」の表示が出る代わりに、メモリーの数が液晶に表示されるんです。これが結構便利で、たとえば計算しなきゃいけない項目が20個あったとき、足し終わってここの数字が19個だったら、項目を一つ飛ばしているな、と分かるんですよ。

深堀:そうだったんだ……たしかにこれはグウの音もでない(笑)。

——皆さん、愛用の電卓のご紹介ありがとうございました! 最後に言い残したことはありますか?

松野:電卓を愛しすぎた弊害がひとつあるとすれば……まったく暗算ができなくなったということですね。

深堀・高倉・石原:分かる(笑)!!

知っておくと便利! 今日から使える電卓機能メモ!

・GT(グランドトータル):=キーを押して得た数字を集計する
GT機能を使って100円のコロッケ3個と50円の唐揚げを2個買った時の総額を求める場合は次のようにキーを押します。
1→00→×→3→=→5→0→×→2→=→GT→400円

 

まとめ
カシオとシャープ……ついに永遠のライバル関係に決着をつける、電卓界のパワーバランスを覆すことにもなりかねない終末戦争勃発か!? と、手に汗にぎる展開が予想されていた座談会も、こうして平和に幕を閉じました。
ひとつわかったことは、それぞれが、長い時間を共に過ごしてきた電卓に対して深い愛を持っているということ。
「相棒」が一日いないだけでも、不安になるし、仕事にならない。ちょっとマンネリ気味になって浮気心がわいても、結局は「こいつ」に戻ってしまう――。カシオ製でもシャープ製でも、使い手との信頼関係がしっかり築ける電卓だということがわかりました。皆様もぜひ、理想の1台を見つけてみてください。

BIZ KARTE編集部

「BIZ KARTE Powered by MFクラウド」は株式会社マネーフォワードが運営している公式メディアです。
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