経理のスキルをどう活用するべきか? 経理担当者のキャリアアップ vol2

今回は、経理からキャリアをスタートし、そのスキルをどのようにその後の仕事やプライベートなどに活用しているのか、私の周囲のケースをいくつかご紹介できればと思います。ご自身のキャリアを考える時のきっかけになれば幸いです。

Aさんの場合:一般社員から上場企業の役員にキャリアアップ

Aさんは、経理部の一般社員からキャリアをスタートさせて、今は上場企業の役員になっています。Aさんいわく、「自分がキャリアを登りつめた意識はなく、気付いたら皆がいなくなっていて、自分だけが残っていた感覚」だと言います。
「他の人は気持ちの余裕があったから転職していったのかもしれないけれど、自分は目の前のことをこなすことで精一杯で、転職しようかな、という気持ちの余裕さえなかった」ということでした。謙遜もあるでしょうが、確かに、「この会社から学ぶべきことは学んだから、転職しようかな」と、自分自身でその会社に見切りをつけてしまう人もいると思います。
「自分で見切りをつけないで続けること」ができる人は、飛んできた「数字」というボールをひたすら愚直に打ち返していくことを繰り返すことで、自分でも気づかないうちに相当の計数能力が備わったということなのでしょう。

Bさんの場合:副業として税理士を開業

Bさんは、普段は会社員として忙しく働く中、毎年1科目ずつ税理士の科目試験を受け続けました。そして数年かけて見事5科目を合格。働き方改革の影響で、会社が副業をOKとしたため、税理士の開業届を提出し、平日は会社員として税務の知識を職場で活かし、週末は税理士としてコンサルティングやワークショップなどのイベントに参加しているそうです。Bさんは資格勉強をしていた当時、平日も残業が多かったため、週末などに勉強をして資格をとったそうですが、これからは働き方改革によって、残業時間も短縮され、平日の夜をどう過ごすかによって、個々人の能力の差が広がっていくことと思います。
のんびりと休暇を過ごすのもいいですが、Bさんのように、資格取得やセミナーなどに参加をして、そのスキルを普段の経理業務にもフィードバックをするという「1粒で2度おいしい」自己啓発というのも、キャリアアップの方法としては一考です。

Cさんの場合:経理の会社員として働きながら経理事務のボランティア

Cさんは、経理担当の会社員として働きながら、慈善活動団体で、経理事務のボランティアをしています。「自分は先頭に立ってみんなを引っ張ることや、体力勝負の手伝いはできないけれど、お金まわりのことならできる」と思い参画したそうです。私もこうした団体の方々と仕事を御一緒することがあり、慈善活動をされている方々は、皆さん良い人たちばかりなのですが、その分、慈善活動そのものが最優先になりがちで、事務作業が手薄で後回しになってしまった団体も中にはあると感じます。
知人が、ある著名な団体に寄付をした時、何回催促しても領収書が送られてこず、社内で経費処理ができなくて困ったことがあったそうです。「自分がこの団体に寄付をした方がいい、と社内に推薦をしたのに立場がなくなってしまった」と言っていました。
やはり、お金の管理がずさんだと、いくらその団体が良い活動を行っていたとしても「あの団体に寄付しても果たして正しく使われているのだろうか」と不安に思います。そして「次回は別の団体に寄付しよう」となっていきます。しっかりした団体はお金の管理もしっかりしていますから、すぐお礼や領収書の連絡が来て、寄付したほうも「少しでもお役に立てて良かった」と安心します。こうした慈善活動においても、経理のスキルというのは、「信用」という面において、とても大切な役割を果たします。

Dさんの場合:経理のスキルを活かしてパートナーの経営の手助けを

Dさんは、平日は経理の会社員として働きながら、週末はパートナーの経営するカフェの経理業務を担当しています。実はそのパートナーの方は、若い頃に自身でお店を開き繁盛していたものの利益がなかなか出ず、また、体調を崩したこともあって、店をたたんだそうです。しかしまたお金を貯め直して、再度挑戦しているとのことです。
最初の開業時の話を聞いたDさんは、パートナーの「こだわり」を精査する必要があると思ったそうです。
料理人であれば、食材などにこだわりたいのは当然ですし、お客さんに喜んでもらいたい気持ちも強いので価格もリーズナブルにしたいものです。しかしその結果、高級な食材を仕入れ過ぎて廃棄してしまったり、売価の設定が原価に対して低すぎたりしてしまい、繁盛して忙しいのに利益が出ない、という悪循環に陥ったのだということをDさんは理解しました。
パートナーと何度も話し合いの上、メニューと価格設定を原価から逆算して算出し、資金繰り表やお金まわりのルールも作ってあげたそうです。そのおかげで、今は安定した経営で、休みもきちんととれているとのことです。このようなことも経理の知識があるからこそ手伝える、とDさんは言っていました。

Eさんの場合:経理から営業職にキャリアチェンジ

Eさんは、数年間、経理社員として働いたのち、経理以外の世界も知りたいと、転職を決意。そして転職先では営業社員となりました。しかし最初は苦労の連続。わかってはいたけれど、こんなに営業が体力や忍耐力が必要だとは思わなかったそうです。自分の何がいけないのか、他の人に負けないことは何か、ということを自己分析し直したそうです。
そこで、経理で培った計数能力を活かして、それまでは手当たり次第に訪問していた取引先を、直接社長に会えそうな小規模の会社に絞り、訪問先の社長たちが求めていそうな経済指標や記事、あるいは世間話の中で自分が元経理部で計数的な管理が得意だったということをさりげなくアピールしました。
そのような規模の会社は経理部長などがおらず、社長も計数的な相談を誰かに聞いてほしいはずだと思ったのです。すると徐々に、訪問先の社長たちはEさんに、計数的な質問や相談などをするようになり、そこからコミュニケーションが生まれ、Eさんも資金繰りなどを考慮した、その会社に無理のない範囲の商品紹介をするようにしました。信頼を重ねることで徐々に受注できるようになり、今では飛び込み営業をせずにルートセールスだけでも十分成績があげられるようになったそうです。

いかがでしたでしょうか?
このように、「経理」というスキルは、経理単独でもキャリアアップできるだけでなく、営業や起業など、さまざまなものとの「組み合わせ」「コラボレーション」で大きく花開くケースも多々あります。
私自身も、経理のスキルを「営業」「企画」「制作」「開発」「創作」「経営判断」に活かすことができないか、日々考えながら過ごしています。
そして反対に、このような職種の人たちと打合せをしたり、ランチに行ったりして、面白い話を聞いたり、ためになる習慣や発想を聞いたら、「そのような発想や考え方を経理の仕事に取り込めないかな」といつも考えています。
私自身は、職種というものは、これからさらにボーダーレスになっていくと思っています。
つまり、営業や制作であっても、利益や予算の管理など計数的な要素をさらに求められるでしょうし、経理であっても現場や外部機関とのコミュニケーションなど、営業的な素養を求められるようになることでしょう。
その中でも「経理」という仕事は、やはりある程度の時間をかけて勉強をしないと得られないスキルですし、どの仕事にも「数字」はありますから、役立てるシチュエーションが数多くあります。
こうしたメリットを活かして、経理そのもののスキルを高めるスペシャリストとしてのキャリアアップだけでなく、他の職種に「浸食する」、つまり「ゼネラリストとして横に広げていく」キャリアアップも経理としては「あり」だと思います。

会社に企業戦略があるように、経理の仕事にも「戦略」があると思います。そして自分自身の働き方、キャリアアップも「戦略的」に考えることで、より自分自身の理想のキャリアアップの姿に近づいていけるはずです。

執筆:前田 康二郎 (まえだ こうじろう)

学習院大学経済学部を卒業後、数社の民間企業で経理総務・IPO業務等を行い、海外での駐在業務を経て独立。現在はフリーランスでのコンサルタント活動、執筆活動の他、日本語教師としても活動している。 著書に『職場がヤバい!不正に走る普通の人たち』『スーパー経理部長が実践する50の習慣』(以上 日本経済新聞出版社)、『スピード経理で会社が儲かる』(ダイヤモンド社)、『ムダな仕事をなくす数字をよむ技術』『自分らしくはたらく手帳』(クロスメディア・パブリッシング)など。最新刊は『経営を強くする戦略経理』(日本能率協会マネジメントセンター)。



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