中小企業はホームページ活用が遅れている!営業力強化のための活用方法

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IT化が進み、自社のホームページを持っている中小企業も多くなっています。しかしホームページは作っただけでは効果がありません。ここでは現在の中小企業のホームページ活用状況とともに、どうすればホームページを営業力強化に役立てられるのかを解説します。

中小企業のホームページ活用の状況

従業者規模別ホームページ開設割合
(出典:「通信環境を活用した生産性向上策に関する実態調査」報告書| 東京商工会議所)

上図は東京商工会議所が平成23年度に実施した、「通信環境を活用した生産性向上策に関する実態調査」でわかった、従業者規模別ホームページの開設割合です。10人以下の企業だけが84.1%と低くなっているものの、概ねほとんどの中小企業がホームページを開設していると言えます。

ホームページの目的
(出典:「通信環境を活用した生産性向上策に関する実態調査」報告書| 東京商工会議所)

こちらは同じ調査のホームページ開設目的についてのアンケート結果です。もっとも多いのが「会社・店舗のPR」で91.8%、続いて「製品・商品・サービスのPR」で71.6%、「新規受注先の獲得」が44.4%と続きます。

これらのことから多くの中小企業がホームページ開設によって営業力・販売力強化を期待していることがわかります。

アクセス分析の有無

(出典:「通信環境を活用した生産性向上策に関する実態調査」報告書| 東京商工会議所)

一方でホームページの効果測定の基本である「アクセス解析」を行っている中小企業は36.1%にとどまり、残る63.9%は「していない」と回答しているのです。アクセス解析とはホームページにどれくらいアクセスがあるのか、どんなページが見られているのか、ユーザーがどんなキーワードを検索してホームページを訪問しているのかなどを調べることを指します。

ホームページを開設しているにも関わらず、これを実施していないということは、投資した製造機械がどれだけの利益を生んでいるのかを気にしていないのと同じです。少なくとも調査当時、中小企業の多くはホームページを有効活用できていないのです。

ホームページによって自社の営業力・販売力を強化するためには、アクセス解析をもとに改善していかなくてはなりません。以下では5つのステップに分けて、このための基本を解説していきます。

ホームページを最大限活用するために

ステップ1:「誰に」「何を」を考える

最初に行うのはホームページの役割を考えることです。先ほどのグラフにあったような「会社・店舗のPR」なのか「製品・商品・サービスのPR」なのか、あるいは「資料請求などを通じた見込み客の獲得」なのかをはっきりさせます。

役割が決まったら、それに基づいて「ホームページを誰に見てもらいたいのか(ターゲット)」と「その人に何を伝えたいのか(メッセージ)」を検討していきます。この時にポイントとなるのは役割、ターゲット、メッセージの絞り込みです。あれもこれもと詰め込むと、何を見せたいホームページなのかが分かりづらくなってしまいます。

ステップ2: SEO対策を実施する

次に考えるのは検索サイトでの検索順位を上げる対策=「SEO対策」です。

ステップ1で決めた役割・ターゲット・メッセージを伝えるためには、まずターゲットがホームページにたどり着く必要があります。しかしSEO対策をしないままでいると、ほかの会社のホームページが検索の上位に表示されるので、一向にターゲットは自社ホームページにアクセスしてくれません。

例えば男性向けの雑貨を扱うお店のホームページなら、「雑貨」だけをキーワードにするのではなく、「メンズ」「男性向け」などもキーワードに設定すれば、よりピンポイントでターゲットにリーチできます。自社の商品・サービスのキーワードは何かを考えるのがステップ2の作業です。

ステップ3:問い合わせ・発注につながる工夫をこらす

次に考えるのはホームページにアクセスしたターゲットにして欲しいことです。例えば実店舗への来店、製品への問い合わせや発注、会員登録などが挙げられます。これを踏まえたうえで、訪問者がその行動がしやすいようにホームページが設計されているかをチェックしましょう。

例えば実店舗に来店して欲しいのに住所や地図がわかりづらい場所に書いてあったり、製品の発注をして欲しいのに発注までの手続きが煩雑だったりすれば、どれだけSEO対策をしたとしても成果は上がりません。どうすればターゲットがこちらの思惑通りに行動してくれるかを考えたホームページにしましょう。

ステップ4:アクセス解析に挑戦する

ここまでできていよいよアクセス解析です。アクセス解析の代表的なツールと言えば「Google Analytics(グーグル・アナリティクス)」です。このツールをホームページに設定すると、次のような情報を解析することができます。

情報
内容
どこの誰がアクセスしたのか初訪問か・再訪問か
どの地域からのアクセスか
どのくらいの人がアクセスしたのか日時・人数
どうやってアクセスしたのか検索エンジン・外部サイトのリンク
PC・スマートフォン
何のためにアクセスしたのかどんなキーワードを検索してアクセスしたか など
期待通りの内容だったかページの滞在時間 など

ステップ5:解析結果をもとにホームページを育てる

アクセス解析を行うと「スマートフォンからのアクセスが多い」「読んで欲しいページの滞在時間が短い」などの事実が見えてきます。ステップ5ではこの事実をもとにして、スマートフォン用サイトの開設やページ内容の見直しなどの新たな施策を講じていきます。

大切なのは施策の効果を後で計測できるような、「スマートフォンからの問い合わせ○○件を目指す」「訪問時の平均滞在時間○分を目指す」などの目標設定です。こうしておけば次回のアクセス解析の結果と目標達成率を照らし合わせることで、施策の効果を測定できます。

もし効果が低いようなら新たな施策を考え、少しずつホームページを改善していきましょう。これが「ホームページを育てる」ということです。

まとめ

ホームページを活用するには作るだけでなく、「育てる」という発想がなくてはなりません。育てるためにはここで挙げたようなステップを日常的に行える専門の部署や従業員の教育も必要になります。

一朝一夕には営業力・販売力強化に役立つホームページはできないのです。したがって、ホームページの開設は思いつきでやるのではなく、計画的・段階的に実施するようにしましょう。

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