中小企業の福利厚生を手厚くするには?ポイントや支援制度を紹介

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中小企業において、福利厚生の充実は大きな課題のひとつです。

大企業と比べると経済的基盤がぜい弱であることが多い中小企業の中には、福利厚生にリソースを割く余裕がないようなところも多くなっています。

しかし、雇用の創出・維持の観点から考えても、福利厚生の拡充は見過ごせない問題だといえるでしょう。

福利厚生を手厚くすることが難しい中小企業が、社員に満足してもらえる福利厚生を導入するためには、大企業にはない工夫や支援制度の活用が重要になります。

中小企業が福利厚生を手厚くする際のポイント

中小企業が福利厚生を拡充する際には、以下のようなポイントを重視して行う必要があります。

・社員に生き生きと働いてもらえるようにする
・コストをかけずによりユニークかつ社員に有益なものを提供する

これらのポイントを踏まえて福利厚生を考えていくことで、低コストでも効果の高い福利厚生を実現していくことが可能となります。

社員の生産性を向上させる対策

具体的に、中小企業における福利厚生の拡充方法について解説していきます。

社員に生き生きと働いてもらい、社員の生産性を向上させていくためには、前提として健康管理が不可欠となります。

まずは、社員が健康を維持しながら会社の業務を行えるように、定期的な健康診断に加えて、予防的な観点からの検診、さらにはメンタルヘルス対策などの精神的な部分の健康維持についても考えていく必要があるでしょう。

そのうえで、例えばカフェテリアの開設など、社員が肉体的にも精神的にもリフレッシュできるような環境づくりを行うことが重要になります。中小企業の場合、社内でカフェテリアを開設することがコスト的に難しい場合も多いため、アウトソーシングなどの利用でコストを抑えるなどのアイデアが必要です。

コストをかけないユニークな福利厚生

できるだけコストをかけないようにし、ユニークで社員に対して有益な福利厚生を行うためには、柔軟な発想とアイデアが必要になります。コストをかけず新しい福利厚生を考える際には、「コミュニケーション」が大きなポイントとなります。

例えば、株式会社ギャプライズでは過去に、社内の人を驚かせるために有休を取得し、その休みを人を驚かせるために使うという「サプライズ休暇制度」というものを採用していました。新鮮な気持ちでサプライズのプランを練りながら1日を過ごし、サプライズを行うことで社員間のコミュニケーションも向上していけるという制度です。

福利厚生を考えていく際に、コミュニケーションの部分はこれまであまり着目される点ではありませんでした。しかし、セクハラやパワハラ、メンタルヘルスなどの問題が顕在化する中で、社員間においてコミュニケーションを行うことはますます重要になってきています。

福利厚生は使いようによって、そういったコミュニケーションの構築を図るという部分においても有用なものとなることが、近年クローズアップされています。

前述した株式会社ギャプライズの例以外にも、今後コミュニケーションの部分を重要視した福利厚生を導入する企業は増えていくことが予想されます。

中小企業における福利厚生の支援制度

福利厚生にコストをかけることが大企業と比較して難しい中小企業のために、民間レベルにおいて福利厚生の支援を行う制度や団体がいくつか存在しています。

福利厚生の支援を行っている以下の2つの団体について、解説していきます。

・中小企業勤労者福祉サービスセンター
・一般財団法人あんしん財団

中小企業勤労者福祉サービスセンター

中小企業勤労者福祉サービスセンターは「勤労者互助会」とも呼ばれており、各市町村に設置されています。中小企業勤労者福祉サービスセンターに入会することで、以下のようなメリットを得ることができます。

・定期健診などの健康維持増進事業のあっせん
・共済給付事業などの在職中の生活の安定を図る事業
・中退制度の普及など、退職後の生活の安定を図る事業
・余暇施設などのあっせん
・財形制度の活用
中小企業勤労者福祉サービスセンターの概念図

(出典:中小企業勤労者福祉サービスセンターの概念図|厚生労働省

これらの事業や制度は、中小企業が単体で行おうとすると莫大なコストがかかってくることもあります。中小企業勤労者福祉サービスセンターを利用することで、そういったコストを削減しながら、福利厚生を充実させていくことが可能となるのです。

一般財団法人あんしん財団

一般財団法人あんしん財団では、主に社員の病気やケガを保証する保険の運用が行われていますが、そのほかに以下のような企業における福利厚生のサポートを行っています。

・定期健診・人間ドックの補助金支給
・指定宿泊施設・ゴルフ場利用時の補助金支給
・メンタルヘルス・カウンセリングサービス

いずれも、社員が生き生きと働いていくための補助金であり、社内で作った制度を補強してくれるものだと言えるでしょう。

まとめ

中小企業が大企業並みの福利厚生を導入することは、ごく限られた事例を除いてはほとんど不可能だと言わざるを得ません。

しかし、社員の生産性を向上させるもの、コミュニケーションに着目したものなど、ポイントを絞って考えていくことで、従業員に有益な制度を作ることは可能となります。

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