中小企業診断士の試験の難易度は?必要な学習時間や取得のメリット

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近年人気急上昇中の資格「中小企業診断士」。しかし誰でもすぐに取得できるほど、取得の難易度が低い資格ではありません。

ここではその難易度について、過去の合格者のデータから考察するとともに、合格のために必要な学習時間や勉強方法、資格取得によって得られるメリットについても解説します。

中小企業診断士試験の難易度は?

中小企業診断士試験の合格率

<平成27年度中小企業診断士試験>

申込者受験者合格者合格率
一次試験18,361人13,186人3,426人26.00%
二次試験(筆記)5,130人4,941人944人19.10%
二次試験(口述)944人944人944人100.00%

中小企業診断士の試験は筆記式の一次試験と、筆記式と口述式の二次試験から構成されています。

一次試験の筆記に受かり、二次試験の筆記に受かったうえで、二次試験の口述に受からなければ中小企業診断士の資格は手に入りません。

平成27年度の中小企業診断士試験の申込者数1万8,361人のうち受験者(合格に必要な科目すべてを受験した人)は1万3,186人で、一次試験に合格したのは3,426人。これは全体の26.0%です(3,426人÷1万3,186人×100=26%)。

同じ年の二次試験申込者数は5,130人(※)で、このうち受験者数は4,941人。このうち口述試験を受ける資格を与えられたのは944人で、最終的な試験合格者数は944人となっています。

したがって二次試験の合格率は19.1%です(944人÷4,941人×100=19.1%)。この944人という数字は、一次試験の合格に必要な科目すべてを受験した人数1万3,186人の7.2%です。

全体の合格率を見ると、中小企業診断士試験の難易度はやや高めと言えるでしょう。

※前年度の一次試験合格者は翌年度までの二次試験の受験資格を与えられます。そのため二次試験申込者数が一次試験合格者数を上回っています。

中小企業診断士試験の受験者の基本属性

続いて中小企業診断士試験の受験者がどのような属性を持った人たちなのかを見ていきましょう。以下は平成27年度の中小企業診断士試験の年齢別・勤務先区分別のデータです。

<平成27年度中小企業診断士試験・一次試験>

<年齢別>

申込者数試験合格者数合格率
20歳未満6411.60%
20〜292,91047916.5%
30〜396,263121519.40%
40〜495,333104919.70%
50〜592,93055919.10%
60〜6978611614.80%
70歳以上7579.30%

<勤務先区分別>

申込者数試験合格者数合格率
経営コンサルタント自営業2344017.10%
税理士・公認会計士等自営業4538819.40%
上記以外の自営業4689119.40%
経営コンサルタント事業所等勤務4808217.10%
民間企業勤務10,6032,14420.20%
政府系金融機関勤務3297320.22%
政府系以外の金融機関勤務1,96631015.80%
中小企業支援機関500479.40%
独立行政法人・公益法人等勤務2465422.00%
公務員57912221.10%
研究・教育1102522.70%
学生400379.30%
その他(無職を含む)1,99331315.70%

<平成27年度中小企業診断士試験・二次試験>

<年齢別>

申込者数試験合格者数合格率
20歳未満000.00%
20〜2953312924.20%
30〜391,76339622.50%
40〜491,65528617.30%
50〜5992711912.80%
60〜69234146.00%
70歳以上1800.00%

<勤務先区分別>

申込者数試験合格者数合格率
経営コンサルタント自営業59915.30%
税理士・公認会計士等自営業1462416.40%
上記以外の自営業1222318.90%
経営コンサルタント事業所等勤務1212722.30%
民間企業勤務3,25761118.80%
政府系金融機関勤務953233.70%
政府系以外の金融機関勤務4298419.60%
中小企業支援機関53815.10%
独立行政法人・公益法人等勤務821113.40%
公務員1933819.70%
研究・教育33927.30%
学生48918.80%
その他(無職を含む)4925912.00%

平成27年度の一次試験の場合、年齢別で見てみると、30代・40代の申込者数が多く、その次に20代と50代が多くなっています。

30代から50代までの合格率は19.1%〜19.7%とほとんど横一線、20代の合格率が16.5%で60代の合格率は14.8%です。つまり一次試験に関しては、努力さえすれば年齢が高くなっても合格は十分可能ということです。

一方で二次試験になると年齢が高くなるにつれて合格率は低下傾向にあるのも事実です。この数字だけでは何が原因かはわかりませんが、一次試験に合格しても油断せずに勉強し続けることが必要です。

また勤務先区分別で見た場合、一次試験の中小企業支援機関と学生の合格率が極端に低い点と、二次試験の政府金融系機関と研究・教育の合格率が極端に高い点を除けば、仕事による合格率の違いは大きくありません。今している仕事を理由に、中小企業診断士資格の取得をあきらめる必要はないようです。

以上のことから中小企業診断士は、基本属性によって難易度が大きく変動する資格ではないということができます。

中小企業診断士資格取得までの学習時間は?

中小企業診断士資格取得までにどれくらいかかる?

中小企業診断士の資格を取得するまでにかかる学習期間は人それぞれです。

一次試験と二次試験を一度の受験で突破したストレート合格者の中には、6ヶ月〜8ヶ月程度の勉強期間で合格した人もいますが、合格者の中には10年もかけてようやく二次試験を突破できたという人もいます。

とりわけ二次試験では現場経験が豊富で、知識やテクニックを持っている人ほど問題を複雑に考えすぎて失敗する傾向があります。合格のために必要な知識・テクニックは何かを見極めることが、学習期間の短縮のためには欠かせません。

中小企業診断士試験の勉強方法

中小企業診断士試験の受験者の多くは会社に勤めているため、勉強時間の確保は最大の問題です。土日にまとめて勉強する方法をとると、リフレッシュする時間が確保できず、かえって勉強に身が入りません。

合格者の多くは働く中で通勤・帰宅時間などの隙間時間を見つけ、その中で勉強時間をやりくりしています。中小企業診断士試験合格を目指すのであれば、日常生活の時間の使い方を見直す必要があるでしょう。

また合格者の具体的な勉強方法としては、次の3つがポイントとなります。

1.自分の実力と合格レベルの差を理解する。
2.過去問を重点的に解く。
3.同じ問題を「すぐに」「何度も」繰り返す。

一次試験にしろ、二次試験にしろ、記憶をいかに定着させるかが勝負です。その方法を間違えると中小企業診断士の試験の難易度は格段に上がってしまいます。

それを防ぐためにはシンプルな対策が必要です。過去問などで自分の実力を確かめつつ、不足している知識を補いながら、何度も何度も同じ問題を繰り返す。これが最も効率的な勉強方法なのです。

中小企業診断士資格取得のメリットは?

中小企業診断士資格を取得すると何が変わるか?

中小企業診断士の試験は「誰もが簡単に合格できる」という難易度ではありません。では見事資格を取得した先にはどんなメリットがあるのでしょうか。

一般社団法人中小企業診断協会が平成27年11月に実施したアンケート(※)によると、回答者の30.2%が「勤務先、関係先の処遇に変化はなかった」と答え、20.1%が「上司・同僚から良い評価を得た」、19.1%が「関係先から良い評価を得た」と回答しています。

その他2.9%が「昇給・昇格した」、8.1%が「資格が生かされる部署に配置された」と回答するなど、何らかの好影響が出ている人が過半数を超えています。

資格を取得するだけなく、それを積極的に周囲にアピールしたり、仕事に生かしていくことで、努力に見合ったメリットは十分得られるでしょう。

※中小企業診断協会の正会員9,457名に郵送し、1,992名からの回答をもとにしています。

中小企業診断士は市場に求められているか?

前掲のアンケートで「今後中小企業診断士のコンサルティング需要がどのようになると考えますか」という問いに対して、「伸びると思う」もしくは「徐々に伸びると思う」と回答した人の割合は62.0%に及びます。

一方で中小企業を取り巻く経済状況の悪化を要因に「減少すると思う」「徐々に減少する思う」と回答した人も11.9%存在します。

中小企業診断士の資格を持っているからといって「それだけで安泰」というわけではないのです。各分野のビジネスの変化に臨機応変に対応し、中小企業診断士としての実力を磨いていく必要があるでしょう。

まとめ

中小企業診断士の資格取得の難易度は概ね中の上と言えます。年齢や勤務先などでの合格率の違いは大きくありませんが、人によって合格までの勉強期間は大きく変わります。

勉強方法や努力次第で難易度は変動すると考えましょう。また資格を取得するだけはなく、資格と知識をどう使うかが大切です。

中小企業診断士の資格を取得して自分がどうなりたいのか、どうしたいのかのビジョンを明確にしてから、勉強を始めましょう。

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