フリーランスにとって「大至急」の仕事は要注意、という事実

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世の中には「大至急の仕事」というものが数多くある。そして、そのような仕事はフリーランスのような個人に回ってくることも多い。

なぜなら、大手やそれなりの規模の会社は「契約」という手続きを踏まねば仕事ができず、かつ、スケジュールの調整や人員調整も気軽にできるわけではないからだ。

だがフリーランスの方々に聞くと「大至急の仕事はあまりやりたくない」という方が多い。「受けざるをえない時もあるが、基本的には部分的にしか受けない」という方もいる。

私の個人的な感想でも「急ぎの仕事」は途中からコロコロ仕様や要求が変わったり、責任者が異動したりとロクなことがないイメージだ。

なぜこのようなことが起きてしまうのか。

「大至急」の仕事はトラブルを抱えていることも

その理由の多くはシンプルだ。「大至急」になった理由を聞くと「相手の技術力不足」「品質の悪さで発注先を変えた」など、何らかのトラブルを抱えているケースも多い。

計画通り行かないので、依頼先を変えて、本来の予定にキャッチアップしよう、というプロジェクトだ。

だが、周知の通り途中から仕事を受けると、手間が倍かかる。誰かの行ったプロジェクトは、ゼロからやり直すよりも難しい。それまでの経緯や仕様の理解、進め方のスタイルのちがいなどを最初に学ぶ必要があるからだ。

システム開発業界には「遅れているプロジェクトに人を追加すると更に遅れる」という格言がある。もちろんこれは決してシステムの話だけではない。

「大至急」の仕事は、契約が不十分だ

もう一つの理由は、契約が不十分なまま作業が先に進んでしまいがちな点だ。

契約を行っていない作業は、最悪、後から強引に値切られたり、お金がもらえず泣き寝入りするしかない場合もある。

お金がもらえないだけではない。前の人のミスを何故かこちらがかぶることになり、どんどん要求が拡大するにも関わらず、「これをやれ、あれをやれ」という形で他人の尻拭いをやらされる、というケースも散見される。

よほど信頼のある相手であっても、相手が会社員であれば責任を取れる範囲は限られるし、自分が責任を取らされそうな場合に突如手のひらを返し、外部のスケープゴートに責任をかぶせる、という担当者を私も見たことがある。

善意は、プロジェクトの調子が良い時にしかあてにならない。人を疑ってかかれ、と言うつもりはないが、善意を当てにしていてはフリーランスはすぐに破綻する。

「大至急」の仕事は、発注元のスキルが低いことも

「大至急」の仕事は、発注元を疑う必要がある。例えば以下は実際に見た話だ。

「大至急」引き受けて欲しい、ということで担当者から話を聴くと、外注先の実力不足によるプロジェクトの遅れだ、という。助けてあげたいと思ったが、何か引っかかるものがあった。

「どこの外注先ですか?現状を聞きたいのですが」、と言うと彼は渋ったのだ。

だが、我々は当たりをつけて、外注先を調べた。すると、実はその会社は我々も取引したことのある会社だった。たしか誠実に仕事をしてくれたと記憶していた。

すぐに連絡し、その担当者や経営者に話を聴いた。すると、発注元の担当者ということが異なる。

「宿題をやってこない」
「コロコロいうことが変わる」
「無理難題を押し付ける」

と、発注元のスキルの無さを話してくれた。そもそも、トラブルになるような発注元は、ある程度疑ってかかることも必要である。

上の会社のプロジェクトの実態はこうだった。

担当者は上司のいうがまま、社内の意見調整もできず、品質基準を定めず、こちらに丸投げしてくる。そして、少しでも気に食わないと作り直しをさせる。記録があるにも関わらず、「そんなこと言ってません」と発言をすぐに撤回し、担当者は仕事の内容をよく理解していない。

これではまともな仕事はできない。「大至急」にはそのような案件が数多く潜む。

「大至急」をだけを受ける、という人もいる

一方で、世の中にはしたたかな人もいる。要するに「大至急」専門の人々だ。

私の知る彼は自分を「火消し屋」と言っていた。彼らの仕事の受け方は普通とはかなり異なる。

まず、基本、プロジェクトは最初からやり直す。途中から中途半端に引き継ぎを行ったりすることはない。彼は「砂の上にいくら立派な建物を作ってもダメ」と言っていた。

彼はまた、できるだけ少人数に絞って、プロジェクトを行っていた。「コミュニケーションコストを減らすため」と彼は言う。実際、未熟な人間が5人でやるよりも、有能な人間が一人でやるほうがアウトプットの精度が高い、と彼は言った。

そして、彼は非常に高い単価をとっていた。だいたい通常の3倍から5倍の価格をつけていた。

「『大至急』というのは、それぐらいの価値がある。クライアントの弱みに付け込むようで嫌だ、という潔癖症の人もいるが、実際にはそれくらいの価格をとらないと、リスクに見合わない。」と、彼は言った。

まとめ

大至急は要注意の仕事だ。うまく付き合うことでピンチにも、チャンスに変えることもできる。

情に流されたり、気軽に判断したりせず、謙虚に扱おう。

・「大至急」はトラブルを抱えているケースが多い。
・「大至急」は契約が不十分であるケースが多い。
・「大至急」は発注元のスキルが低いこともある。
・「大至急」を逆手に取る人もいる。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:安達 裕哉 (コンサルタント / ライター)

1975年、東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。マネジメント、IT、人事コンサルタント。現在はコンサルティング行う傍ら、学習塾の経営を行い、人材育成に注力している。



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