フリーランスは自分を「だれ」と定義することが重要だ。

あるフリーランスは自分のことを「カメラマン」と名乗った。
あるフリーランスは自分のことを「写真家」と名乗った。

二人とも同じ会社から似た仕事をもらっている。二人とも写真を撮ることで生計を立てている。広い括りで考えれば、彼らは両方とも”フリーランス”だ。

しかし、自分を「誰」と名乗るときの二人の信条には大きな違いがある。

何を行いどう生きていくかは、自ら名乗る肩書きに現れる。人は肩書を見てその人が誰であるかを判断し、自分もまた、その肩書の示す方向へ進むからだ。

したがって、フリーランスは自分を「誰である」と定義することは非常に重要だ。例えば、上の2人がどのような人生を辿ったか、見て欲しい。

「カメラマン」と名乗る人物の場合

彼がフリーランスとして活動を始めたのは今から約10年前のこと。当時25歳。高校を卒業したあと、1年ほどフラフラし、その後写真の専門学校に入学した。

一通り写真の勉強をした後も就職する気にはなれず、しばらく建設や配送などのアルバイトをしながら将来を模索していた。

ようやく「写真を一生の仕事にしていこう」と覚悟を決め、とりあえず一社だけ面接を受けてみたところ、あっけなく落ちてしまったという。

しかし数日して「正社員としては採用できないけど、外注として働いてみる?」と同じ会社から連絡が来た。彼はすぐに快諾した。そうして彼のフリーランス人生は始まった。

この10年の間にめきめきと実力を付けた彼は、今では大手企業のクライアントから指名されるほどの売れっ子になった。

自ら営業する必要はなく、むしろ仕事を選ぶことが出来る。人並み以上に生計を立てられるくらいのお金もできた。

彼は「カメラマン」として大成した。フリーランスになって目的を達成し充実した日々を送っており、夢を一つ叶えたと言ってよい。

顧客は彼に頼めば必ず自分たちの思うような写真をとってくれると確信しているし、彼もまたそう思っている。

「写真家」と名乗る人物の場合

彼は、マンションや商業施設などの建物を撮る仕事をメインで請け負っている。建設現場や屋上など、危険な場所での撮影が多い仕事だ。何キロとある機材を抱え、危険と隣り合わせの現場で撮影をしている。

「この仕事は肉体労働だよ。いつまで身体がもつかわからない。」と、彼はいつも言う。

だが、彼の写真はクオリティが高く、顧客から高い評価を受けている。フリーランスとしては間違いなく、成功していると見てよい。だが、彼は「カメラマン」とは名乗っていない。「写真家」と名乗っている。

「写真とは自分の生き方を記録として残すこと。良い写真を撮るためには、自分にあえて負荷をかけないとダメだ。

カメラを持っていたからこそ訪れた場所があり、歩いた道がある。カメラを持っていなかったら、目的地に着いた瞬間にそこで止まっていたかもしれない。

でも、あの曲がり角を曲がると何か面白いことが起きるかもしれない。そう思うと、疲れていてももう少し歩いてみようと思う。」彼はそのように言う。「写真家とは「生き方」そのものだ。」

彼になぜ「カメラマン」と名乗らず「写真家」と名乗るのか、それを聞くと「撮影する行為は同じなんだけど、その本質は真逆なんだ。」と回答した。

「カメラマン」は他者からの依頼を受けた写真を撮影する人。「写真家」は自分の良いと思った写真を撮影する人。

したがって、顧客は彼に指示をしない。「このように撮ってくれ」とも言わず、彼の自由にさせる。彼に全面的に任せることで、顧客は満足するものがあがってくると信じている。

名乗り方によって方向性は変わる。

2つのエピソードを見ていただいて分かる通り「肩書き」は顧客の依頼の方法、期待、そして本人の進む方向までを規定する。

例えば、以下の5つはいずれも写真を取ることを生業とする人の実際の肩書であるが、うけるイメージはそれぞれ異なる。

・写真家
・カメラマン
・フォトグラファー
・カメラオペレーター
・クリエイター

例えば、あなたが「webサイトへ掲載する写真」を取りたいと思った時、どの肩書の人物に依頼するだろうか?カメラマンか、クリエイターといったところではないだろうか。

逆にある美術館の紹介をするポスターを作りたいと思った時、どの肩書の人物に依頼するか?写真家ではないだろうか。

家族の写真を取りたいと思ったら?カメラマン、フォトグラファーだろう。

あなたがテレビ局の社員だったら?カメラオペレーターかもしれない。

このように、肩書は顧客にとってあなたの「位置づけ」を判断する重要な材料となる。

まとめ

フリーランスをやるならば、あなたは自分の肩書を自分で決定できる。

それは、単なる「自称」ではなく、顧客があなたのことを判断する重要な材料であるとともに、あなたの生き方を表すものでもある。

執筆者
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安達裕哉(あだち ゆうや)

1975年、東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。マネジメント、IT、人事コンサルタント。現在はコンサルティング行う傍ら、学習塾の経営を行い、人材育成に注力している。
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BIZ KARTE編集部

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