構造改革特区と総合特区ってどう違うの?活用法を見出してチャンスをつかもう!

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構造改革特区と総合特区は名前が似通っているため、違いがわからないままに活用しない人も少なくないのではないでしょうか。

ここではこの2つの制度を解説するとともに、今これらがどのように活用されているのかについて紹介します。もしかすると今抱えている問題の解決への糸口がつかめるかもしれません。

戦うフィールドを与えてくれる!構造改革特区

構造改革特区が生まれたのはなぜ?

構造改革特区は端的に言えば各地域の実情に合わない国の規制に対して特例を認めることで、地域事業の活性化を目指すための制度です。平成14年度に施行され、平成24年には全国で1100余りの特区が誕生し、社会的・経済的な効果を上げています。

構造改革特区の制度の全体像

構造改革特区の制度の全体像

(出典:構造改革特区pdf|内閣官房 地域活性化統合事務局 内閣府地域活性化推進室

構造改革特区の制度は3つの段階に分かれています。

1つ目が「規制の特例措置の提案」です。「この規制が地域事業活性化の邪魔になっている!」といった問題提起の段階です。これは地方公共団体や民間事業者のみならず、個人でも行うことができます。この提案に基づいて内閣府管轄の地域活性化統合事務局と各府省庁との間で、どのような特例を設けるかを決定するのです。

2つ目の段階が「特区計画の認定」。どのような特例措置をとるかが決まったら、次はその措置を受けるために民間事業者や公共団体が該当する事業の実施計画を提出するわけです。ここで認定されて初めて特例に即した事業が行えます。

3つ目は「評価・調査委員会における規制の特例措置の評価」です。国の規制を特別に緩和することによって不具合が生じていないのかを評価・調査します。その上でこのまま特例措置を取り続けるか、あるいは廃止するのか、または全国的に同じ規制緩和を適用するのかを判断するのです。実際に構造改革特区で適用された特例が、全国的に展開された例もあります。

品川区の小中一貫教育特区

本来学校教育は全国どこでも均一でなくてはなりません。そのために「学習指導要領」を文部科学省が定め、それに基づいて先生たちが授業を実施しているのです。しかし子供の数や親側のニーズの多様化などにより、学習指導要領だけでは対応しきれない場面も当然生まれます。

品川区の小中一貫特区では平成15年8月から、小中9年間を4年・3年・2年に区切った教育課程を実施するほか、1年生から6年生にかけて英語活動を新設するなど、柔軟性のある教育を実践してきました。

ほかにも英語教育を強化したカリキュラムや情報教育に力を入れる特区など平成19年3月時点で全国99の自治体において「特区研究開発学校の設置事業」が推進されています。

平成20年4月からはこの特例措置は全国に展開され、柔軟な学校教育の推進につながりました。構造改革特区制度を活用すれば、このように国の規制を修正し、よりよいあり方を模索することが可能なのです。

戦う企業をサポートする!総合特区

2つの総合特区

国際戦略総合特区と地域活性化総合特区

総合特区制度が施行されたのは構造改革特区と同じような理由からですが、総合特区は経済的支援の側面がより大きくなります。

総合特区には大きく2つのパターンがあり、そのうちの1つを「国際戦略総合特区」と呼びます。これには東京都の「アジアヘッドクォーター特区」や、長野県や三重県などをはじめとする「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」などが挙げられます。つまりは国の未来を担う基幹事業をサポートする特区です。

もう1つは「地域活性化総合特区」と呼び、島根県雲南市の「たたらの里山再生特区」や、広島県の「尾道地域医療連携推進特区」、静岡県の「ふじのくに防災減災・地域成長モデル総合特区」などがあります。これは地域資源をフル活用できるようなサポートをする特区と言えます。

総合特区制度で受けられる具体的なメリット

総合特区では大きく4つの特例措置があります。規制・制度の特例措置はもちろんですが、税制・財政・金融面でも特例が受けられるのです。

例えば税制面においては国際戦略総合特区の場合、投資税額の控除や特別償却、所得控除などが選べるようになっており、より大きな投資が行えるようになっています。

対して地域活性化総合特区では個人出資に関連する所得控除措置などが受けられます。財政面での措置は関係府省の予算を重点的な活用、金融面では利子補給制度の創設など、どれもかなり具体的な経済的支援策です。これを活用しない手はありません。

まとめ

自由に戦うフィールドを与えてくれる構造改革特区と戦う企業を応援するための区画を設ける総合特区。経営者はもちろん、これからビジネスを立ち上げる人はぜひ利用したい制度です。

内閣府地方創生推進室のHPを見たり、各地域に配置されている地方創生コンシェルジュに相談してみてはいかがでしょうか。「与えられたチャンスは掴む」、ビジネスの鉄則です。
(参考:内閣府地方創生推進室 HP

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