新入社員が幹部を指導!?アメリカで導入されている逆メンター制度とは

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上司とは別に指導や相談を担当する先輩社員などを新入社員のサポート役とするメンター制度。日本でも随分浸透してきましたが、ビジネスの最先端を行くアメリカでは新入社員が上司や幹部の指導・相談役を担当するメンター制度が活用され始めているといいます。

逆メンター制度とは

そもそもメンター制度とは何かをおさらいしておきましょう。

この制度は新人に先輩が教育係としてだけでなく、人生の先輩としてもサポートする制度です。新人教育を本人のスキルアップやサポートに特化したものではなく、メンター側とっても自己成長の場として活用できるように整備したのがメンター制度なのです。

対して逆メンター制度はSNSやWEBの使い方を新入社員が、これらを利用することが苦手な年長の社員に指導する制度のことを指します。

社内を見回してみよう

逆メンター制度はITリテラシーの低い管理職や幹部が多い職場では大きな効果を発揮します。現在のビジネスシーンにおいてSNSやWEBの活用方法がわからない、あるいは間違って使っているという状況は命取りです。

だからこそ、これらに慣れ親しんだ若手が逆メンターとして指導・相談を担当することで、会社全体のITCHINGリテラシーの向上につながります。

人に教えることが最大の勉強

「教えることは、2度学ぶことである」
ジョセフ・ジュベール

人に何かを教えるとき、最初から何の準備もなしに指導を始めてしまうとうまくいきません。自分の中で筋道立てて理解できていなければ、わかりやすく説明ができないからです。

準備を万端にして、いざ指導に臨んでも準備が全て上手くいくとも限りません。想定していなかったトラブルや質問をされて、対応できない場合もあります。

予想外のトラブルには一度指導を中断して対応する必要があるシーンもあるでしょうし、答えられない質問は「一度持って帰る」という判断も必要です。そうしていくうちに自分でもまだわかっていない部分が見えてきます。これが「二度学ぶ」ということです。

逆メンター制度はこの重要な事実に新入社員の頃から気づくことのできる、強力な人材教育システムなのです。

逆メンター制度のもう一つの効果

逆メンター制度2

「教える側も育つ」というこの逆メンター制度にはもう一つメリットがあります。それは新入社員と役員・管理職という普段なあまりコミュニケーションをとらない両者が、会話をする機会が得られるという点です。

逆メンター制度の取り組みを通じて、新入社員と管理職クラスの人材がコミュニケーションを取る機会を得ることで、社内の風通しがよくなることが期待できます。新入社員にとっては会社の価値観を学ぶ機会になりますし、管理職にとってはフレッシュな意見や考え方に触れるきっかけにもなります。

これらが積み重なると、結果として会社全体の団結が強まるのではないでしょうか。

まとめ

逆メンター制度は情報化社会に乗り遅れている年長者の潜在能力を向上させ、新入社員のスキルとモチベーションをアップさせます。しかし年長者からすれば「今更若者に教わるなんて……」と思うかもしれません。しかしGoogleの元CEOでカーネギーメロン大学とプリンストン大学の理事も務めるエリック・シュミットはこんな言葉を残しています。

「リーダーにとって最も重要な資質は聞いて学ぶ能力です。なぜならば誰も全てを知ることはできないからです。」
エリック・シュミット

これは京セラの創業者である稲盛和夫の次の言葉ともリンクします。

「リーダーは常に謙虚でなければならない。謙虚なリーダーだけが、協調性のある集団を築き、その集団を調和のとれた永続する成功に導くことができる。」
稲盛和夫

年を経ると忘れがちな「人の意見を聞く力」「謙虚さ」を逆メンター制度は年長者に教えてくれるはずです。それと同時に受け身になりがちな新入社員の自立性をも引き出せるのが逆メンター制度です。
一朝一夕に確立できるものではありませんが、試してみる価値はあるのではないでしょうか。

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