事業主貸と事業主借の違いとは?個人事業主の勘定科目を解説

会計関連の専門用語、特に勘定科目には一見わかりにくい用語や間違いやすい用語があります。

今回はその中でも、個人事業主特有の勘定科目として間違いやすい「事業主貸」と「事業主借」を取り上げて解説していきます。具体的な仕訳例と併せて確認していきましょう。

事業主貸と事業主借の違い

事業主貸(じぎょうぬしかし)とは

個人事業主の場合は、事業用のお金と家計のお金を完全に区別することは難しいです。また、「個人事業主本人に給与を払う」という考え方はなく、事業によって得た利益から、個人の生活費を賄っていくことになります。

このように個人事業主の場合には、事業用のお金を、家計に支払った又は家計の経費を支払うような場合が発生するため、そのような場合には、「事業主貸(じぎょうぬしかし)」の勘定科目を使って仕訳を行います。

■ 事業主貸の仕訳例

借方 貸方
事業主貸 10,000 普通預金 10,000

事業主の生活費は経費に該当しないため、個人の消費と事業の経費を明確に分ける必要があります。その際に使う勘定科目が「事業主貸」となります。

上記の場合、事業の「普通預金」を個人用途に使った場合の仕訳になります。また、事務所を自宅と兼用している場合、家賃や水道光熱費などの支払額を「事業主貸」を使って「仕事用」と「自宅用」で明確に分ける必要があります。これは個人事業主向けの専門用語で、法人の会計処理には使われません。

※個人事業主の経費処理については『個人事業主が迷う「これって経費?」覚えてお得なQ&A20選!』の記事もぜひ併せてご覧ください。

事業主借(じぎょうぬしかり)とは

「事業主借(じぎょうぬしかり)」を使うのは「個人用のお金を事業用のお金に移動させた場合」、または「事業用の経費を個人のお金で支払った場合」が多いです。具体的には以下の例が挙げられます。

・事業用の現金が少なくなったため、個人の預金(現金)から入金した
・事業用の経費を個人の現金(預金)から支払った
・事業用の預金に利息が発生した 場合など

その場合の仕訳例は下記の通りとなります。

■ 事業主借の仕訳例

借方 貸方
普通預金 10,000 事業主借 10,000

※上記の場合は個人の「現金」を事業用の口座に入金した場合の仕訳になります。

事業主貸・事業主貸の使用例

事業主貸・事業主貸の使用例

事業主貸を使う場合の例

(例1)事業用の口座から自分のプライベートの食事代を引き落とした場合

例えば、事業主がプライベートの食事で事業用資金から現金10,000円を使用した例を考えます。その場合の仕訳は以下の通りになります。

■ 事業主貸の仕訳例

借方 貸方
事業主貸 10,000 現金 10,000

(例2)事業用の口座から事務所兼自宅の家賃を支払った場合

例えば、事業主が自宅兼事務所の家賃で現金100,000円を支払った例を考えます。この時、自宅と事務所の使用割合は1:1である場合、経費としての家賃は50,000円になり、残りの50,000円は個人用途の支出になります。その場合の仕訳は以下の通りになります。

■ 事業主貸の仕訳例

借方 貸方
地代家賃 50,000 事業主貸 50,000 現金 100,000

(例3)事業用の口座から事業主の社会保険料を支払った場合

事業主個人の社会保険料は経費になりません。社会保険料として普通預金より20,000円を支払った例を考えます。その場合の仕訳は以下の通りになります。

■ 事業主貸の仕訳例

借方 貸方
事業主貸 20,000 普通預金 20,000

事業主借を使う場合

(例1)事業で使う文具をプライベート用の口座から引き落として購入した場合

例えば事業で使う文具10,000円分をプライベート用の口座から引き落として購入した例を考えます。その場合の仕訳は以下の通りになります。

■ 事業主借の仕訳例

借方 貸方
備品・消耗品費 10,000 事業主借 10,000

(例2)事業資金が不足してきたので生活費の一部をあてた場合

例えば事業資金が不足したので、家計の現金300,000円を事業資金に充てた例を考えます。その場合の仕訳は以下の通りになります。

■ 事業主借の仕訳例

借方 貸方
現金 300,000 事業主借 300,000

(例3)自家用車を事業用途にも使用している場合

例えば、土日はプライベートで車を使い、平日は仕事用として車を使用しているように、自家用車を仕事と兼用で使用している場合は、車の修理代や維持コストなどの一部を事業用の経費として処理することができます。事業用の割合は実態に即し設定する必要がありますが、例えば今回は、週7日の内の5日分(約70%)を事業用の経費として処理することを前提に置きます。 この前提で、車の修理代として家計から100,000円を支出した場合には、その内の70%の70,000円が事業主借として仕訳されます。

■ 事業主借の仕訳例

借方 貸方
車両費 70,000 事業主借 70,000

確定申告の時の処理の仕方

「事業主借」は、事業という単位の会計からみれば「借金」つまり「負債」です。反対に「事業主貸」は、「貸付金」つまり、「資産」です。決算においては、これらを相殺しましょう。相殺した結果、どちらか一方の残高が存在することになります。

この残高は、そのまま青色申告決算書の貸借対照表に計上したままで問題ありません。この「事業主借」も「事業主貸」も、事業の会計からみれば、貸借関係にすぎず「売上」でも「必要経費」でもありません。このため、確定申告書上で残高が存在していても、所得税の計算をする際の「所得金額」には影響しません。

したがって、年末の決算で残高が存在していても、所得税の計算をする元の金額となる「所得金額」には影響しません。残高で、翌年に繰り越した「事業主借」または「事業主貸」は、別にあってはならないものではなく、個人事業では普通に発生する「貸借」ですので、返せるときは返せばいいでしょうし、足りない時は「貸す」しかありませんので、発生した際に記帳し、決算でいったん相殺すれば、特別税務上問題はありません。

確定申告を終えて、翌1月1日から帳簿を付ける際は、事業主貸と事業主借を相殺した残高の差額を、元入金に反映させます。 確定申告の際に最終的に「事業主貸」の方が多かった場合は、事業の元入金から事業主貸の分だけ減らします。 確定申告の際に最終的に「事業主借」の方が多かった場合は、事業の元入金から事業主借の分だけ増やします。

まとめ

「事業主借」と「事業主貸」。言葉として難しく聞こえる部分はありますが、要は「事業用のお金」と「私生活のお金」の流れを示す勘定科目の一つです。あまり深く考えこむのではなく、本記事内でご紹介したような、極力シンプルな仕訳例をもとに一つ一つ確認し理解するようにしていきましょう。

経費の管理でお悩みの方必見「MFクラウド経費」のご紹介

経費精算が面倒、と感じることがありませんか?

・領収証をエクセルに1件づつ入力するのが大変
・電車の運賃をいちいち検索して入力している
・経費精算を溜め込んでしまい、何時間もかかってしまう

MFクラウド経費を使うと、面倒な手入力がゼロになります。

・クレジットカードや口座、SuicaなどICカードの明細を自動取得
・レシート・領収証はカメラで撮るだけ、オペレーターが代わりに入力します
・経路検索するだけで、金額が入る
・OCRでレシート・領収証を読み取り

MFクラウド経費はPC、iPhoneとAndroidアプリでご利用いただけます。
無料でご利用いただけますので、ぜひお試しください。

経費精算システム「MFクラウド経費」

くわしい資料のダウンロードはこちら!
MFクラウド経費資料ダウンロード

監修:山邊 泰匡 (公認会計士)

株式会社ナレッジラボ 取締役
ナレッジラボでは、MFクラウドシリーズを使いこなした会計サービスを提供しています。
会計を経営にフル活用するための会計分析クラウドManageboardは、MFクラウド会計・確定申告のデータを3分で分析・予測・共有できるクラウドツールですので、MFクラウドユーザーの方はぜひ一度お試しください。



関連するMFクラウドシリーズはこちら
MFクラウド確定申告(個人事業主向け会計・青色申告ソフト)



「MFクラウド」シリーズのサービス資料

スモールビジネスに役立つMFクラウド