物流・運送業・航空業の勤怠管理
働き方改革に勤怠管理システムで対応
更新日:2024年2月13日
物流・運送業・航空業の勤怠管理にとって重要な「働き方改革」対応
2019年4月1日より、「働き方改革関連法」が順次施行されています。関連法の施行によって、時間外労働の上限規制など、働き方にも大きな変化が見られました。
労働時間の「長さ」の改革
物流・運送業においても、長時間労働や正規・非正規の不合理な格差の是正など、働き方改革を行う必要性があることに変わりはありません。しかし、物流・運送業は、他業種と比べて労働時間が長い傾向が見られます。
例えば、大型トラックドライバーでは、2021年の全産業平均と比較して労働時間が432時間(月36時間)長くなっています 。中小型トラックドライバーであれば、384時間(月32時間)と、大型に比べれば抑えられていますが、長時間労働の傾向があることに変わりはありません。
物流の「2024年問題」
運送業は、待遇面による人手不足や、非効率的な荷待ち時間などにより、長時間労働が慢性化している状態です。そして、この状態の解消が容易に望めないことから、運送業では時間外労働の上限規制の適用を猶予されています。しかし、この猶予期間も2024年3月までであり、上限規制への対応は急務となっています。
運送業などの物流業界においては、人手不足の解消や長時間労働の是正が進んでいるとはいえず、上限規制への対応は困難な状況です。しかし、否応なく猶予期間は経過し、上限規制の適用を受けることになります。これこそが「物流の2024年問題」であり、働き方改革への対応が必要な理由です。
参考:トラック運送業界の2024年問題について|公益財団法人 全日本トラック協会
物流・運送業の勤怠管理での悩みポイント
① 従業員の勤怠状況の把握 - 正しい打刻が行われていない
自動車運転業務においては、上限規制の適用に加えて、労働時間の改善を目的とした「改善基準告示」の改正も予定されています。改正により、拘束時間や休息時間にも変更が加えられるため、これらの要素も考慮した勤怠状況の把握が求められます。
通常の労働時間だけでなく、拘束時間や休息時間なども考慮した勤怠管理は、極めて困難といえるでしょう。また、タイムカードの管理が杜撰で、自己申告に基づいた労働時間管理を行っている場合も見られます。正確な勤怠状況の把握には、客観的な労働時間の把握が必要です。
➁ 日をまたいだ勤務や変動労働時間制への対応
運送業などの物流業界においては、日をまたぐ勤務も珍しくありません。また、多岐に渡る職種が存在することから、複雑なシフト管理も必要です。そのため、他業種が導入しているシフトパターンでは、対応できない場合も多くなっています。
物流業界では、年末年始や夏季シーズン、引っ越しシーズンといった繁忙期が存在します。そのため、業務の繁忙に合わせ、1か月単位の変形労働時間制などの変形労働時間制を採用している場合も多く、複雑なシフトパターンと相まって勤怠管理の困難さに拍車を掛けています。
③ 雇用形態が多様なため集計作業が煩雑
物流業界で働くのは正社員だけではありません。アルバイトやパート、契約社員、派遣社員といった多様な働き方が見られます。また、業務委託契約で働いているドライバーなども多いでしょう。
雇用形態が異なれば、労働時間や休日、休憩時間なども異なってきます。また、雇用している従業員と業務委託では、異なった管理が必要です。多様な雇用形態や働き方に応じて、労働時間を管理することは、一筋縄ではいきません。手作業での集計であれば、当然ミスも起こりがちです。仮にシステムを利用していても、複雑なシフトパターンなどの関係から既存システムでは対応できない状況に陥る場合もあり得ます。
④ 運輸業界・航空業界における宿泊管理・指定公休の管理
運送業では、移動をしながら業務に従事するドライバーの勤怠管理も大変です。長距離ドライバーの場合は宿泊を伴う勤務も多く、長時間勤務になると勤怠管理が煩雑になります。会社指定の公休日を設定する場合は、さらに管理が複雑になるでしょう。
宿泊管理や指定公休の管理が大変なのは、航空業界も同様です。数多くのパイロットや客室乗務員を抱え、異なるシフトごとの管理は容易ではありません。
物流・運送業の勤怠管理を改善するには
打刻方法の電子化 - 出先でも打刻可能にする
労働時間の管理には、正確な打刻が不可欠です。長時間労働を抑制しようにも、前提となる労働時間が誤っていては意味がありません。
正確な打刻とするためには、電子化が有効な手段です。PCから打刻が可能となれば、打刻機の前で並んで待つ必要もなく、効率化にもつながります。
また、タブレット端末やスマートフォンでも打刻できれば、出先からの打刻も可能となります。生体認証機能の付いた端末を利用すれば、代理打刻などの不正打刻も防止可能です。
柔軟なシフトに対応したシステムの利用
24時間動き続ける物流業界では、複雑なシフト管理が必要となります。繁忙期に合わせた変形労働時間制などにも対応する必要があるでしょう。
また、多様な働き方への対応も必要であり、手作業での勤怠管理は困難です。
そのため、物流業界で採用する勤怠管理システムには、柔軟性が求められます。日をまたぐ勤務も多く、誤ったシフト管理のもとでは、思わぬ長時間労働につながりかねません。
物流業界の実情に合ったシステムを利用することが大切です。
給与計算ソフトとの連携による集計の効率化
正確な給与支払いには、正確な労働時間の把握が必要です。しかし、手作業での集計ではどうしてもミスが起きてしまいます。そのため、自動で労働時間を集計してくれるシステムの採用が望ましいでしょう。
勤怠管理システムは、給与計算ソフトと連携可能な場合もあります。
このようなシステムを利用すれば、勤怠管理における集計ミスを減らせるだけでなく、給与計算業務の効率化にもつながります。
物流・運送業にも役立つマネーフォワード クラウド勤怠の機能
働き方改革関連法案に対応した機能
「マネーフォワード クラウド勤怠」は、働き方改革関連法に対応した機能を備えています。時間外労働の上限規制はもちろん、労働時間の客観的把握にも対応しており、正確な労働時間の管理に寄与します。
また、現在は年間10日以上有給休暇が付与される従業員に対して、年5日の有給休暇を取得させなければなりません。
この義務に違反した場合には、罰則が課せられます。「マネーフォワード クラウド勤怠」であれば、有給休暇付与の情報と有給休暇取得義務の情報を一覧で閲覧できるため、取得期限の見落としを防ぐことが可能です。
打刻方法の柔軟性
始業前に打刻機の前に行列ができているような企業も存在します。このような状況は、非効率的であるだけでなく、業務へのモチベーションを下げかねません。
「マネーフォワード クラウド勤怠」では、従来の打刻方法だけでなく、Web打刻やスマートフォン打刻など、柔軟な打刻方法の選択肢が用意されています。
打刻方法の柔軟化は、正確な労働時間の把握だけでなく、タイムカードを押すためだけの出社や帰社の必要性もなくなるため、業務の効率化にも貢献します。
一勤一休も設定可能
航空業における複雑なシフト体制では、各勤務ごとの設定が必要です。「マネーフォワード クラウド勤怠」では法定休日の指定も可能であり、1日働いて翌日休むという一勤一休の設定もできます。
所定休日と法定休日を指定したり、指定せず1週1休にする・指定せず4週4休にしたりするなど、勤務形態に合わせた設定ができ、煩雑な休日管理をサポートします。
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