• 作成日 : 2026年1月27日

ChatGPTのセキュリティリスクとは?機密情報漏洩を防ぐ対策も解説

ChatGPTは、業務効率化に役立つ強力なAIツールである一方、セキュリティリスクを適切に管理しなければ、情報漏洩や不正利用につながる危険性があります。

企業がChatGPTを安全に活用するためには、具体的なリスクを理解し、適切なセキュリティ設定と運用ルールを設けることが欠かせません。

この記事では、ChatGPTの基本的なセキュリティの考え方から、実際に起きたセキュリティ事故の実例、そして企業と個人がとるべき具体的なセキュリティ対策、データ学習をさせない設定方法までをわかりやすく解説します。

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※(免責)掲載情報は記事作成日時点のものです。最新の情報は各AIサービスなどの公式サイトを併せてご確認ください。

ChatGPTとは?

ChatGPTは、OpenAIが開発したAIチャットサービスです。大量のテキストデータを学習し、人間と対話しているような自然な文章を生成できるのが特徴です。

その能力の高さから、企画書の作成、メールの草稿、データ分析の補助など、さまざまな業務に活用されています。

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ChatGPTの主なプランとセキュリティの違い

ChatGPTの核となるAIモデルは、性能だけでなく、利用できるプランや一部のセキュリティ機能に違いがあります。

項目ChatGPT(無料版)Plus / Pro / Enterprise
採用モデルGPT-5(機能制限あり)などGPT-5(無制限利用)、GPT-5oなど
性能・精度標準的。混雑時に制限がかかる場合がある。P非常に高い。複雑な指示やマルチモーダル(画像・音声)処理に優れる。
セキュリティ機能基本的な対策は可能だが、デフォルトでは学習に利用される。EnterpriseやBusinessプランでは、入力データが学習に利用されないことが規約で明記されている。

ChatGPTで懸念されるセキュリティリスクは?

ChatGPTを企業が利用する上で、とくに中小企業の経営者や担当者が把握しておくべきセキュリティのリスクは多岐にわたります。これらのリスクを理解することが、適切なセキュリティ対策の第一歩となります。

1. 機密情報や個人情報の漏洩リスク

社外秘の情報を意図せずAIに提供してしまう情報漏洩リスクが、最も注意すべき点です。

ユーザーがChatGPTに入力したテキストは、デフォルト設定ではOpenAIによって蓄積・学習に利用される仕組みになっています。企業の機密情報や顧客の個人情報を入力した場合、その情報がシステム上の不具合やデータ学習を通じて、間接的に第三者に流出するリスクを否定できません。

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2. 著作権違反となる可能性のあるコンテンツ生成リスク

AIが生成した文章やコードが既存の著作物に酷似し、意図せず著作権違反となる可能性があります。

ChatGPTは大量のデータを学習していますが、生成されたコンテンツが既存の著作物と類似している場合、著作権違反の問題を引き起こす恐れがあります。AIは著作権を正確に考慮できないため、トラブルのリスクが伴う情報を出力するケースがあります。特にソースコードやデザイン案などの生成時には、既存の権利を侵害していないか確認が必要です。

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3. 誤情報の拡散やフェイク生成によるリスク

AIが自信を持って誤った情報や事実と異なる内容を生成し、企業がそれを信用して拡散してしまうリスクがあります。これを「ハルシネーション(幻覚)」と呼びます。

ChatGPTで出力される情報は必ずしも正確であるとは限らず、誤情報や事実と異なる情報を自信を持って生成する現象が広く知られています。特に医療、法律、財務などの専門領域において、AIの回答を鵜呑みにすることは非常に危険です。誤った情報を基に意思決定や情報発信を行うと、企業のブランド力や信用の失墜に直結します。

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4. サイバー攻撃への悪用リスク

悪意のある第三者が、ChatGPTを悪用してサイバー攻撃に使うためのコードや文章を作成する可能性があります。

高度なプログラミング能力は、攻撃者にとっても強力な武器になります。巧妙なフィッシングメールの作成や、脆弱性を突くプログラムの生成を支援させてしまうリスクに注意が必要です。

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ChatGPTにおけるセキュリティ事故の実例

ChatGPT セキュリティのリスクは、理論上のものではなく、実際に世界各地でセキュリティ事故として報告されています。具体的な事例を知ることで、自社でとるべきセキュリティ対策の重要性を改めて認識できます。

サムスン電子の事例

2023年に、韓国のサムスン電子で、従業員が開発中の機密性の高いプログラムコードをデバッグ目的でChatGPTに入力し、情報がOpenAIのサーバーに取り込まれた事例が報告されました。この他にも、会議の議事録や設備情報など、複数の社外秘情報が流出したことが確認されています。この事故を受け、同社は生成AIの社内利用を一時的に禁止する対応をとりました。

この事例は、従業員がAIのデータ学習の仕組みを正しく理解していなかったこと、および企業としての明確な利用ポリシーが欠けていたことが主な原因と考えられています。

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OpenAIのシステム障害事例

 2023年3月、ChatGPTの提供元であるOpenAIのシステム側で不具合が発生し、有料プランの一部のユーザーのチャット履歴のタイトルや、クレジットカード番号の下4桁などの支払い情報の一部が、一時的に他のユーザーに誤って表示されてしまうという情報漏洩インシデントが発生しました。

これは、OpenAI側のシステムの脆弱性によるものでしたが、企業が利用する際は、サービス提供側のセキュリティに依存するリスクもふまえて、利用する情報の種類やレベルを厳しく管理する必要性を示しています。

企業としてとるべきChatGPTのセキュリティ対策は?

ChatGPTの利便性を安全に享受するためには、組織全体として統一されたセキュリティ対策を講じることが必須です。これらの対策は、セキュリティ事故を防ぐだけでなく、企業の信頼を守ることにつながります。

 利用ポリシーの策定

入力しても良い情報と、絶対に入力してはいけない機密情報の範囲を明確に定義した利用ポリシーを作成し、全従業員に周知しましょう。

まず、何を入れてはいけないかを明確にしたセキュリティポリシーを文書化することが大切です。とくに、顧客の氏名や未公開の財務情報といった機密情報の入力は厳しく禁止すべきです。

従業員教育の徹底

セキュリティルールを設けるだけでなく、定期的な従業員教育を行うことで、新しいセキュリティリスクへの意識を継続的に高める必要があります。これにより、従業員一人ひとりがセキュリティ事故の当事者にならないよう、注意を促すことができるでしょう。

データ学習をさせないオプトアウト設定

ChatGPTに入力したデータを学習させないためのオプトアウト設定を組織のアカウントで必ず実施し、意図しない情報流出を防ぎましょう。

入力したデータがAIの学習データとして利用されるリスクを回避するために、このセキュリティ設定は必須となります。企業で利用する場合は、従業員各自の判断に任せるのではなく、情報システム部門や管理者が一元的にこのオプトアウト設定を適用し、その実施状況をチェックする必要があります。

チャット履歴の管理

チャット履歴を保存するかどうかの設定もセキュリティの観点から重要です。履歴をオフにすることで、過去に入力した機密情報が残るリスクを排除でき、より強固なセキュリティ対策となります。

法人向け有料プランの導入

機密情報を扱う可能性がある業務でChatGPTを利用する際は、セキュリティ機能が強化された法人向け有料プランへの移行を検討しましょう。

企業で本格的に利用する際は、セキュリティ面で最も強化された選択肢であるChatGPT Enterpriseなどの法人プランがおすすめです。これらのプランでは、入力されたデータがAIの学習に一切使われないことが規約によって保証されています。また、管理者が利用状況を監視し、利用ポリシーを一括で適用できる機能が提供されているため、従業員による不適切な利用やセキュリティ事故を未然に防ぎやすくなります。

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個人としてとるべきChatGPTのセキュリティ対策は?

企業がルールを定める一方で、実際にChatGPTを利用する個人も、自身の責任においてセキュリティ対策を講じる必要があります。従業員一人ひとりの意識が、企業全体のセキュリティレベルを高めることにつながります。

多要素認証などアカウントセキュリティの強化

不正アクセスによる情報漏洩を防ぐため、多要素認証(MFA)を有効にしてアカウントのセキュリティを強化しましょう。万が一、パスワードが漏れた場合でも、多要素認証が設定されていれば、第三者による不正ログインを防ぐことができます。

ChatGPTのセキュリティ設定では、メールアドレスとパスワードに加え、スマートフォンなどに送られるワンタイムパスワードなどの認証を組み合わせる多要素認証が推奨されます。これにより、アカウントのセキュリティレベルが大きく向上し、セキュリティ事故の発生リスクを低減できます。

機密情報や個人情報を入力しない徹底した意識

仕事やプライベートにかかわらず、第三者に見られては困る機密情報や個人情報はChatGPTに入力しない意識を徹底しましょう。

このルールは、セキュリティ対策の最も基本的な原則です。たとえオプトアウト設定を適用していたとしても、システム上の予期せぬ不具合や、サービス提供側のセキュリティ侵害といったリスクが完全にゼロになるわけではありません。

そのため、AIは社外の人間だという認識を持ち、外部に漏れて困る情報は絶対に入力しないという自己防衛意識を持つことが重要になります。

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回答内容の正確性・著作権の確認

ChatGPTの回答をそのまま信用せず、誤情報や著作権侵害の有無を必ず人間が確認するプロセスを設けましょう。

前述のとおり、ChatGPTは誤情報や著作権を侵害する可能性のある文章を生成することがあります。これを防ぐためには、生成された内容を業務で利用する前に、必ず複数の信頼できる情報源と照らし合わせてファクトチェックを行う必要があります。

ChatGPTに入力したデータを学習させない設定方法

ChatGPTのセキュリティを確保する上で最も重要な設定方法の一つが、データの学習利用を拒否するオプトアウトです。

ChatGPTの設定メニューからChat History & Trainingをオフにすることで、データ学習をさせない設定ができます。

この設定を有効にすると、その後のチャットの履歴は保存されず、AIモデルのトレーニングにも利用されなくなります。具体的な手順は以下の通りです。

  1. ChatGPTの画面左下にある自分のアイコンをクリックします。
  2. 表示されたメニューから「設定」を選択します。
  3. 左側のメニューから「データコントロール」、または「プライバシー」に関連する項目を選択します。
  4. 「Chat History & Training」または「すべての人のためにモデルを改善する」といった項目のトグルスイッチをオフにします。

この設定を従業員一人ひとりが徹底することが、企業全体のChatGPTセキュリティを高めることにつながります。

ChatGPTのセキュリティ対策で企業の信頼を高めよう

この記事では、ChatGPT セキュリティに関するリスク、セキュリティ事故の実例、そして企業と個人がとるべき具体的なセキュリティ対策を解説しました。機密情報の漏洩、著作権違反の可能性、誤情報の拡散など、ChatGPTには無視できないセキュリティリスクが存在します。これらのリスクを回避するためには、企業による利用ポリシー策定とデータ学習をさせない設定、そして個人による多要素認証や機密情報の入力禁止といった対策の徹底が求められます。適切なChatGPTのセキュリティ対策を進めることが、業務効率化の恩恵を最大限に享受し、企業の信頼と事業の継続につながるのです。

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