経費精算システムと会計ソフト、併用するメリットは?
作成日:2024年6月10日
会計ソフトと経費精算システムの違い
会計ソフトと経費精算システムは、どちらも社内の基幹システムとして多くの企業に導入されていますが、それぞれ異なる目的で使用されます。会計ソフトに関しては、収入や支出、資産、負債などの会計情報を一元管理し、1年間における企業の財務状況や経営成績を「決算報告書」として作成するためのツールです。
これに対し、経費精算システムは、事業活動を通じて日々発生するさまざまな経費について、社内での申請や承認、精算手続きを効率化するためのツールです。
異なる目的を持つ会計ソフトと経費精算システムですが、互いに連携させることによって、バックオフィス全体の効率化につながるだけでなく、経費管理や会計の透明性が高まります。
会計ソフトの基本的な機能
①仕訳入力機能
仕訳入力機能は会計ソフトの中核をなすものであり、日々発生する取引を会計帳簿として記録するために必要不可欠な機能です。企業は取引を行った日付や金額、相手先、取引内容、適切な勘定科目などを会計ソフトへ入力し、事業活動の成果として記帳します。
なお、近年ではクラウド会計も増加しており、手作業による仕訳入力だけでなく、インターネットバンキングやクレジットカードなどと連携し、仕訳登録を自動化できる会計ソフトも増えています。
従来の会計ソフトでは、経理担当者がすべての仕訳入力を手作業で行う必要がありましたが、連携機能に優れたサービスを活用することで、入力作業を省人化でき、より生産性の高い業務に注力しやすくなったといえるでしょう。
②帳票作成・レポート機能
多くの会計ソフトでは、入力した仕訳データに基づいて、さまざまな帳票や財務レポートを生成する機能が備わっています。仕訳帳や総勘定元帳などの帳票に加え、残高試算表や月次推移表などの集計表については、大半の会計ソフトにおいて作成可能です。
また帳票や集計表以外にも、キャッシュフローや収益・費用に関するレポート機能を持つ会計ソフトも少なくありません。それらの会計ソフトを通じて、自社の経営状況を図やグラフでわかりやすく把握でき、その後の経営判断や意思決定に役立てることができるでしょう。
③決算書作成機能
決算書作成機能は、会計期間が終了する際に、自社の財政状態や経営成績を総括した決算書を効率的に作成するための機能です。
決算書を手作業で作成する場合には、煩雑なプロセスを経て決算作業を行わなければなりませんが、会計ソフトの機能を利用することで、正確かつスピーディーに決算書を作成することが可能となります。
会計ソフトを活用し、決算処理を自動化することは、ヒューマンエラーを減らすだけでなく、法的要件を満たすうえでも非常に重要といえるでしょう。
④制度改正へのアップデート機能
毎年税制改正が行われることで、会計や税務を取り巻く環境は頻繁に変化しています。会計データに基づいて消費税計算や申告書作成を行う企業が大半であるため、会計ソフトにおいても、近年複雑化する税制への対応が必要不可欠です。
万が一最新の制度に準拠せず、陳腐化したソフトを使用し続けた場合には、法令違反や納税額の計算ミスなどに陥るリスクも高まってしまいます。
頻繁に変わる制度に対して適切に対応できるよう、会計ソフトでは、柔軟かつ迅速なアップデートが行われるケースが一般的です。
経費精算システムの基本的な機能
①ICカードやクレジットカードとの連携機能
ICカードやクレジットカードとの連携機能を活用することにより、申請手続きを自動化できます。
交通費や出張費などの経費をICカードやクレジットカードで支払えば、取引データが自動的にシステムへ取り込まれるため、入力作業が大幅に削減でき、従業員や経理担当者の負担を軽減することが可能です。
また連携機能を通じて取引データを自動取得することは、従業員による申請手続きを簡略化できるだけでなく、経費精算の漏れや二重計上のリスク削減にもつながるでしょう。
②領収書画像の読み取り機能
領収書画像の読み取り機能は、経費精算システムの中でも特に便利な機能です。
従業員は領収書をスマートフォンで撮影し、システムにアップロードするだけで、OCR技術によって日付や金額、支払先などの必要な情報が自動的に読み取られ、経費データとして生成されます。
それによって領収書の内容を手入力する手間が省け、申請手続きの効率化や入力ミスの防止にも活用することが可能です。
また電子帳簿保存法に対応したシステムであれば、領収書画像を電子データとして保存できるため、領収書原本の保管が不要となり、ペーパーレス化の推進にも貢献します。
③スマホアプリによる申請・承認機能
スマホアプリによる申請・承認機能は、経費精算システムの利便性を大幅に高めます。
スマホアプリを通じて、従業員は外出先からでも簡単に経費申請できるうえ、上司や経理担当者もオンライン上で申請内容を確認することで、スピーディーな承認手続きを実現できます。
またスマホアプリで業務を遂行することにより、外出中のスキマ時間を有効活用できるため、経費精算のためにわざわざ帰社するといった、非効率な働き方の解消にも役立つでしょう。
さらに経費精算業務全体の迅速化にもつながるため、部門や拠点ごとのリアルタイムでの経費分析など、経営資料としても活用できます。
④不備や不正に対するアラート機能
経費精算システムによって経費精算プロセスの効率化を図る一方で、不備や不正を防止するための効果的な対策が必要不可欠です。
そのため多くの経費精算システムでは、入力の不備や領収書の添付漏れ、二重申請の疑いがある場合などに自動的にアラートを発し、不適切な経費申請を未然に防ぐことが可能です。
社内ルールに則ったアラート機能を活用することで、経費精算の透明性や信頼性向上にもつながるでしょう。
またこれらのアラート機能により、経費精算業務で頻発しがちな差し戻しの手間を削減できるため、経理担当者の業務負担軽減にも役立ちます。
会計ソフトと経費精算システムを連携させるメリット
会計ソフトと経費精算システムを連携させることで、経費データを即座に会計ソフトへ反映することが可能です。これにより、仕訳入力の工数やミスが削減され、経理業務の効率化にもつながります。
また経理や経費精算などの個々の業務だけでなく、バックオフィス業務全体の効率化を図ることで、経理担当者の業務負担が大幅に軽減され、より重要な業務に注力しやすくなるというメリットもあります。
さらにシステム間連携によって、リアルタイムで財務状況を把握できるため、組織としてスピーディーかつ正確な経営判断を追求しやすくなるでしょう。
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また「マネーフォワード クラウド経費」では、経費明細の自動取得だけでなく、一連の業務プロセスをオンライン完結でき、ペーパーレス化にもつながります。
さらに各サービスはシームレスに連携できるため、バックオフィス業務全体の効率化にも効果的です。