資金繰り管理は会計ソフトの「レポート機能」でラクに!

作成日:2024年6月10日

資金繰り管理を行う重要性

会計業務における資金繰り管理は、その会社の経営に極めて重要な役割を担っています。会社が支払能力を維持し、実際に事業を継続するために欠くことのできないのが資金繰り、つまり支払資金の管理です。会社に十分な現預金がないと、支払いが滞って取引先からの信用を失う恐れがある反面、精度の高い資金繰り表は、融資の際の強力な味方になります。

また、近い将来の必要資金を予測して確保しておくことも資金繰り管理の役割であり、健全な資金繰りは事業拡大や投資の自由度を高めることにもつながるでしょう。

資金繰り管理を行う際の方法3選

①エクセルなど表計算ソフトで資金繰りを管理する

資金繰り管理の難しさは「予測」が必要になることです。過去の取引実績が入力された会計ソフトのデータだけでなく、「予測値」を加え、順次実績値に置き換える運用が必要となります。

エクセル等に過去の取引をエクスポートして、その先に通常の運用から予測される入出金を予測値として入力して、将来の収支を管理する方法がよく行われます。予測値には「受注予測」「売上計画」「支払予定」等のデータを利用するため、確度の高い予算を立てておくことも必要です。

②資金繰り表が出力できる会計ソフトを利用する

資金繰り表作成の難しい点として、仕訳データ(実績値)に複合仕訳(複数の勘定科目・金額がある仕訳)がある場合の解析の複雑さが挙げられます。

例えば、給与データの仕訳が単一仕訳でない場合には、相手勘定が「諸口」などになるため、そのままでは資金繰り表に利用できません。したがって、資金繰り表が出力可能な会計ソフトであっても、過去データの把握にあたっては手入力を求められる等のケースはあります。

③レポート機能が充実した会計ソフトを利用する

資金繰り表そのものではなくとも、マネーフォワード クラウド会計のようにキャッシュフロー表の出力機能を有する会計ソフトがあります。
例えばマネーフォワード クラウド会計において、実績値としてキャッシュフローレポートに、収入先や支出先レポートの値を関連づけた上、予測値として収益や費用のレポートから値を入手してエクセル等でまとめると、資金繰り表としての機能を持つようになるでしょう。
資金繰り表は先の期間が長いほど予測値部分が多くなり、会計ソフトにはない値となります。会計ソフトだけでなく、予算管理ソフトなどとも組み合わせるとよいでしょう。

資金繰り管理と合わせてキャッシュフローの確認も重要

キャッシュフロー計算書と資金繰り表については、前者が過去の実績を記録する外部向けの資料であるのに対して、後者は会社内部での資金の見通しを立てるための管理ツールであるため、作成の目的は異なります。

したがって、決算時等にはキャッシュフロー計算書において、「営業活動」「投資活動」「財務活動」それぞれのキャッシュフローにおける内訳の検証が必要です。会社の資金繰りの状況を含め、各活動の状況を総合的に評価するのがキャッシュフロー計算書だと言えます。

マネーフォワード クラウド会計で作成できるレポート例

①キャッシュフローレポート

マネーフォワード クラウド会計においては、レポート機能から「キャッシュフロー表」を出力することができます。
キャッシュフローレポートでは、資金に紐づく各勘定科目を「現預金期中増減額」と「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」について、それぞれ月単位(12カ月分)で出力できます。
単純仕訳が多いケースにおいて、簡便的な直接法によるキャッシュフロー表で概観を見たい場合にはおすすめです。

参考:
「レポート」機能の使い方|マネーフォワード クラウド会計サポートサイト
「キャッシュフロー表」がCSV形式で出力できるようになりました|マネーフォワード クラウド会計サポート

②収益レポート

マネーフォワード クラウド会計においては、「収益レポート」の作成が可能です。収益レポートでは、「収益内訳」「月次推移」「収益詳細」を確認できます。収益レポートは、「入金」ではなく、売上等収益の発生を捉えたものです。資金繰り表の作成においては、「収入先レポート」などとも組み合わせるとよいでしょう。

「予定実現機能」も搭載しており、仕訳時に「取引状態:未実現」として登録すると、「入金日は確定しているがまだ実行されていない取引」として登録されます。「収益詳細」では未実現登録したもののみを見ることもできるため、資金繰り表の予測値の一環として利用するとよいでしょう。

参考:
「レポート」機能の使い方|マネーフォワード クラウド会計サポートサイト

③費用レポート

マネーフォワード クラウド会計においては、費用レポートの作成が可能です。収益レポートと同様に、「費用内訳」「月次推移」「費用詳細」が作成され、未実現取引についても同様に機能しています。収益に比べると勘定科目の多い費用項目ですが、本製品では補助科目別の費用レポートまで作成可能です。

費用レポートと合わせて「支出先レポート」を確認するのもよいでしょう。ただし、買掛金の確認のみなので、未払金については総勘定元帳などを参照する必要があります。種々の要素が必要な資金繰り表ですが、サイクリックに作成することにより、そんなに時間がかかるものではなくなります。

参考:
「レポート」機能の使い方|マネーフォワード クラウド会計サポートサイト