弁護士事務所向けの会計ソフトの選び方・比較すべき項目
作成日:2024年4月26日
弁護士事務所が会計業務の効率化を進めるべき理由
弁護士事務所は、複数のクライアントの案件を同時進行で行うケースも多く、業務時間の確保は死活問題といえるでしょう。
特に「モノ」としての商品がなく、自らの知識や経験を提供する弁護士業では、投下できる工数とサービスの質に密接な関係があります。
そのなかで、バックオフィス業務に充てられる時間は限られており、会計業務に関しても後回しとなるケースが少なくありません。
案件ごとの費用管理や請求業務、収益分析など、詳細な管理が求められる一方で、これらの作業にはまとまった時間を要するため、特に小規模から中規模の弁護士事務所では、会計業務が大きな負担になりがちです。
このような状況において、会計業務を効率化することにより、弁護士は本業に投入する工数を確保できるため、サービス内容の向上にもつながります。
また会計業務の効率化によって得られる財務データは、事務所経営の安定化を図るための戦略的な意思決定にも役立つでしょう。
弁護士事務所の経営において会計業務で悩みがちなポイント
売上の記帳を効率化したい

弁護士事務所では、個々の案件ごとに報酬体系や経費が異なるだけなく、実費の立替えや預り金、源泉徴収税額が発生する事例も多く、それらを正確に記帳・管理することは容易ではありません。
特に多くの案件を抱える事務所では、売上の記帳プロセスが複雑化し、入力ミスや業務遅延が生じやすくなります。
このような背景から、事務所全体の財務状態や損益状況の正確な把握が困難になり、経営判断の遅れを招くリスクも高まります。
損益データをスピーディーに確認したい

専門性の高い弁護士事務所においては、労働生産性の向上が必要不可欠であり、そのためにはスピーディーな損益状況の把握が欠かせません。
案件やクライアントごとの売上や原価の発生状況をいち早く把握し、必要に応じて業務プロセスの見直しなどの対策を実行することが重要です。
反対に会計業務が遅延しがちで、最新の損益データの集計や分析に時間がかかる場合には、改善点の把握にも時間を要し、経営判断が遅れる傾向にあります。
事務所間や税理士との連携をリアルタイムで行いたい

弁護士事務所では、全国各地に支店を展開する場合も多く、各拠点からの財務データの集計や、税理士とのスムーズな連携が必要不可欠です。
しかし、バックオフィス業務が非効率な体制に陥っている場合や、紙ベースでの業務が中心となっているケースでは、税理士との業務連携も停滞しがちです。
税理士とのつながりを強化し、税務会計手続きを迅速化するためには、事務所内の業務効率化に加え、外部との連携環境の構築が欠かせません。
弁護士事務所の経営者が会計ソフトを比較する際のポイント
銀行・クレジットカードとの連携
会計ソフトを選ぶ際には、銀行口座やクレジットカードとの連携機能があるかどうか確認しましょう。連携機能を活用することで、取引記録の自動取り込みが可能となるため、手作業による入力工数を削減できるだけでなく、入力ミスの軽減にも効果的です。
また自動仕訳ルールを設定できる会計ソフトであれば、入金先や取引内容に応じ、振込料や源泉徴収税額などの仕訳登録も自動化できるため、弁護士業界の煩雑な売上記帳にも有用です。
リアルタイムでレポートを作成する機能
弁護士事務所が会計ソフトを選定する場合には、リアルタイムでのレポート作成機能の有無も確認しましょう。弁護士事務所ではクライアントや案件ごとの収益や支出から採算性を確認し、必要に応じて業務内容の見直しを図るなど、さまざまな対策を講じなければなりません。
したがって、会計ソフトによる財務データの多角的な分析機能が必要不可欠であり、的確なレポートを即座に把握することで、経営判断の迅速化にもつながります。
複数人、複数拠点で同じデータを確認できるか
弁護士事務所が拡大することで、複数人でのデータ共有や、複数拠点における経理業務の一元管理が課題となります。したがって会計ソフトを選定する場合には、複数人でアクセス可能なサービスや、複数拠点間でもスムーズにデータ共有できるシステムを選ぶことで、事業拡大後も円滑な会計業務を追求できるでしょう。
また顧問税理士との円滑なデータ共有やコミュニケーションが可能なソフトであれば、税務会計の効率化にも効果的です。
弁護士事務所様に参考となる会計ソフトの導入事例
弁護士法人ファースト法律事務所様の事例
IT企業を中心に、弁護士業務を展開する弁護士法人ファースト法律事務所様では、煩雑な請求業務に課題を感じ、「マネーフォワード クラウド会計」と「マネーフォワード クラウド請求書」を導入されました。導入後は、請求書作成の大幅な工数削減に加え、会計業務の効率化も実感されています。
またバックオフィス業務の効率化により、事務スタッフを雇用せずとも事務所運営ができ、本業に注力しやすい環境を構築されているそうです。
社会保険労務士法人アライズ様の事例
人事労務コンサルタント事業を営む社会保険労務士法人アライズ様では、会計業務を税理士に丸投げしていたことで、経営状況を把握できず、不安を感じていたそうです。そこで「マネーフォワード クラウド会計」や「マネーフォワード クラウド給与」「マネーフォワード クラウド請求書」を導入し、お金の流れの見える化に取り組まれました。
会計のリアルタイム化も実現され、必要な情報をすぐに確認できる体制を構築されています。
社会保険労務士事務所アルモニー様の事例
メンタルヘルス対策に注力する社会保険労務士事務所アルモニー様では、エクセルによる会計業務に負担を感じ、「マネーフォワード クラウド会計」と「マネーフォワード クラウド請求書」を導入されました。作成した請求書データを会計に連携するなど、自動化の効果を実感されています。
また会計データを通じ、現時点の経営状況をリアルタイムで把握できることから、将来に向けた戦略的な意思決定にも積極的に活用されているそうです。