外食業界向けの会計ソフトの選び方・比較すべき項目
更新日:2024年6月12日
外食業界が会計業務の効率化を進めるべき理由
原材料やエネルギーの高騰により、日本の産業界は大きな影響を受ける中、外食業界においても人手不足が相まって厳しい状況が続いています。その一方、コロナ禍後のインバウンド需要の戻りもあり、好調な業態も見受けられます。
参考:外食産業市場動向調査 令和5年(2023 年)年間結果報告|一般社団法人日本フードサービス協会
外食産業では、売上高に占める「食材費(F)」「人件費(L)」「家賃(R)」の比率を示すFLR比率のコントロールが重要とされます。各飲食店では、FLR比率に注意しつつ、店の独自性や経営者の味へのこだわりをいかに伝えるかを分析し、商品やサービスに反映させる必要があるでしょう。
そのためには、より豊富な分析データが必要です。単に売上と仕入を把握するだけでなく、正確なデータを迅速に集計し、レポートが得られるような会計システムが求められます。
また、会計システムの導入にあたっては、現業務フローを見直しした上で、全社的な業務効率化の一環として取り組むことが求められるでしょう。
外食業界において会計業務で悩みがちなポイント
売上の記帳を効率化したい

外食産業において、売上情報は収益性、成長性などの評価に大きな影響を与えます。メニュー別の売上情報だけではなく、時間帯・席別売上、人数別来店データなど、今後の商品開拓に役立つような情報が多く含まれているのが売上データです。
したがって、ある程度の規模になると売上の把握は手作業ではできなくなります。ツールを導入しても使いこなせていないケースがあり、売上情報の効率的な把握は大きな課題と言えるでしょう。
レジシステムと会計ソフトを連携したい

外食産業においては、POSレジシステムの導入例が多く見られます。POSレジでは、売上入力時において売上だけでなく顧客や在庫などの情報が管理され、集計は不要になります。さらに、多様な支払手段があっても売掛金の把握がしやすくなるのです。
リアルタイムで会計を把握できるPOSレジが会計システムとうまくデータ連携できていないと、それぞれのシステムのよさを十分に発揮できません。
税理士とリアルタイムで連携したい

税理士と顧問契約を締結している場合でも、会計システムから出力される帳票を提示しないと税理士に現状が伝わらないことはあります。外食産業においても、税理士が損益の状況などを年に数回確認するに留まってしまうケースはあるでしょう。
税理士側からも会計システムを確認できれば、タイムリーな支援を受けることができます。経営にスピードが求められる昨今、税理士とのリアルタイム連携ができる会計システムが望ましいです。
外食業界の経理担当者が会計ソフトを比較する際のポイント
記帳や仕訳の自動化
クラウド会計ソフトを選ぶ際、チェックしたい機能に仕訳や記帳の自動化機能が挙げられます。
自動化機能ではAIが外食業界に合った勘定科目を学習し、新たな取引においても適切な勘定科目を提案します。使うほどに自動提案の精度が向上し、経理要員は提案された仕訳が適切かどうかを判断するだけで、短時間に多くの仕訳処理を終えることが可能です。
参考:https://biz.moneyforward.com/accounting/feature/automations/
様々なPOSレジシステムと連携する機能
会計システムに求められる重要な機能として、他システムとの連携が挙げられます。
外食産業用のPOSレジシステムには多くの種類がありますが、連携したいPOSレジとの連携は重要な問題です。システム的な連携ができれば、日々の売上情報を自動取得し、経理要員の手作業なしに会計ソフトから各種の経営レポートを出力することができます。
参考:https://biz.moneyforward.com/accounting/feature/cash-register/
パートナーの税理士とリアルタイムに数値共有
外食産業のオーナーにとって、税理士が経営パートナーとなって事業を支援してくれるのは心強いものです。会計ソフトに、会社が認めた外部者との共有機能があるかどうかも確認しましょう。
リアルタイムで財務情報が税理士にも共有されると、税理士への依頼内容や時期も変わってきます。税理士がデータ共有できる環境においては、相談はより専門的になり、先の経営改善に関するアドバイスなどが中心になっていくでしょう。
参考:https://biz.moneyforward.com/accounting/feature/
参考となる会計ソフト導入事例
イタリア料理店:レティシア様の事例
自家燻製料理とワインの店を経営するレティシア様は、2015年の開業時には簿記知識ゼロからのスタートでした。忙しい料理店の日々の記帳をラクにするため、税理士からの提案で「マネーフォワード クラウド会計」に、ネットバンキングとタブレットレジを自動連携することにしました。
日々の売上が即時にわかるだけでなく客単価もすぐに出るため、経営に生かすことができるようになったそうです。
日本料理店:室町 三谷屋様の事例
日本料理「室町 三谷屋」様は、開業の際、顧問税理士のすすめで「マネーフォワード クラウド会計」を導入しました。後回しになりがちな会計業務でしたが、銀行やクレジットカードの取引情報を自動的に会計に取り込んで仕訳する機能により、手間が激減したそうです。
また、会計データを顧問税理士とリアルタイムで共有できる点に、安心感を得られています。自動レポートで未来の支出も「先回りして見える化」されるため、計画的な店舗経営が実現したそうです。