決算に関する実態調査

作成日:2026年6月3日

1. 調査概要

本レポートは、企業で決算業務に関与している実務担当者・管理職を対象とした調査結果をまとめたものです。決算数値の誤りや修正の発生頻度、その主な原因や発生しやすいプロセス、業務への影響、対策の注力点などを明らかにしており、自社の決算体制の設計・運用改善にお役立ていただけます。

  • 調査時期:2026年2月実施
  • 調査対象:勤務先で決算業務(月次・四半期・年次)に関与している実務担当者および管理職
  • 有効回答数:全回答者870名(うち決算業務に関与する667名がメイン対象)
  • 回答者属性:実務担当者として携わっている(48.9%)、管理職・監督者として携わっている(27.8%)で、約76%が決算業務の当事者

回答者の決算業務への関与状況

  • 実務担当者として携わっている(携わったことがある):48.9%
  • 管理職・監督者として携わっている(携わったことがある):27.8%
  • 決算業務に携わったことはない:20.7%
  • わからない/答えられない:2.6%

2. 調査結果サマリー

4つのポイント

  1. 決算において確定前の数値に誤りや修正が発生する頻度は「時々発生している(48.7%)」「毎決算期、頻繁に発生している(20.7%)」を合わせると約69.4%に上り、約7割が定期的な修正作業に追われている実態が明らかになった。
  2. 誤り・修正が発生する原因のトップは「手入力によるミス(40.8%)」が突出し、次いで「組織変更等に伴う複雑な処理(28.3%)」「関連部署からの報告漏れ・情報共有の遅延(26.5%)」と続いた。
  3. ミス発生時の業務への影響として最も大きいのは「修正対応による残業時間の増加・過重労働(29.3%)」で、次いで「決算スケジュールの遅延(19.2%)」となり、修正作業が現場を疲弊させている。
  4. 誤りを減らす対策として「複数名によるダブルチェック・承認フローの強化(23.3%)」と「会計システムやERPの刷新・自動化の推進(22.4%)」が拮抗し、現場は属人的な確認とシステム化の二方向で解決を図ろうとしている。

3. 調査結果の詳細

3-1. 決算業務への関与状況

全回答者に対し、現在または過去3年以内に勤務先において決算業務(月次・四半期・年次のいずれか)の実務、またはその管理・監督に携わった経験があるかを尋ねました。

  • 実務担当者として携わっている(携わったことがある):48.9%
  • 管理職・監督者として携わっている(携わったことがある):27.8%
  • 決算業務に携わったことはない:20.7%
  • わからない/答えられない:2.6%

「実務担当者として携わっている」が最も多く、「管理職・監督者」と合わせると全体の76%以上が決算業務に関与していることがわかりました。年代や役職によって役割分担が明確に見られ、男性50代では「管理職・監督者として携わっている」割合が47.1%と全年代で最も高い一方、女性20代・30代では「実務担当者として携わっている」割合がともに約半数(20代51.9%、30代49.0%)を占め、現場の実務を支えている層であることがわかります。

3-2. 決算数値の誤りや修正が発生する頻度

決算業務に関与している667名を対象に、確定前の数値に誤りが見つかったり、修正作業が発生したりする頻度を尋ねました。

  • 時々発生している:48.7%
  • 毎決算期、頻繁に発生している:20.7%
  • 稀に発生している:18.0%
  • ほとんど発生していない:7.8%
  • まったく発生していない:3.1%
  • わからない/答えられない:1.6%

「時々発生している」が最多で、「毎決算期、頻繁に発生している」と合わせると約7割が定期的な修正作業に直面している実態が明らかになりました。属性別では、男性30代で「毎決算期、頻繁に発生している」が34.9%と突出して高く、実務や管理の最前線で日常的にエラー対応に追われている様子がうかがえます。女性20代では「時々発生している」が54.7%と高く、若手実務担当者も高い頻度で修正作業を経験しています。

3-3. 決算数値の誤りや修正が発生する主な原因(複数回答)

数値の誤りや修正を経験している層635名に主な原因を尋ねました。

  • 手入力によるミス(入力漏れ、桁間違いなど):40.8%
  • 組織変更や新規事業に伴う複雑な会計処理の増加:28.3%
  • 関連部署からの報告漏れ・情報共有の遅延:26.5%
  • 会計システムやExcel等の計算式の不備:24.6%
  • 会計基準や税務ルールの解釈誤り:24.6%
  • 証憑書類(領収書・請求書等)の回収不足や内容不備:22.0%
  • 人手不足や業務過多による確認作業の不足:16.4%
  • 特にない/わからない:1.9%
  • その他:0.0%

最も多かったのは「手入力によるミス」で、人的エラーに次いで複雑な処理や他部署との連携不足が多く挙がりました。属性別では、男性20代(52.6%)・女性40代(45.7%)で「手入力によるミス」を原因に挙げる割合が高く、入力作業が大きなボトルネックとなっています。男性40代では「組織変更や新規事業に伴う複雑な会計処理の増加」が34.1%と比較的高く、業務の高度化・複雑化がミスを誘発していると認識されています。

3-4. 誤りや修正が発生しやすい主なプロセス(複数回答)

誤りや修正が発生しやすいプロセスを尋ねました。

  • 各勘定科目の残高照合・照合確認:29.1%
  • 日次の仕訳・記帳:29.0%
  • 決算整理仕訳(引当金、減価償却などの計上):24.4%
  • 棚卸資産の評価・確定:21.7%
  • 連結決算処理(グループ間取引の相殺など):17.2%
  • 税務申告書の作成:17.0%
  • 決算短信・有価証券報告書等の開示書類作成:15.7%
  • 特にない/わからない:3.0%
  • その他:0.0%

「残高照合」と「日次仕訳」が約3割で上位に並び、日常業務から決算整理まで幅広い工程でミスが生じていることがわかります。属性別では、男性40代で「日次の仕訳・記帳」(36.9%)や「各勘定科目の残高照合」(34.6%)が高く、基礎的なプロセスでのエラーが多い傾向にあります。男性20代では「連結決算処理」での発生を挙げる割合が42.1%と全年代で最も高く、専門性の高い処理でつまずきやすい傾向が見られます。

3-5. 誤りや修正が発生した際の業務への影響

ミスが発生した際、業務上どのような影響が最も大きいかを尋ねました。

  • 修正対応による残業時間の増加・過重労働:29.3%
  • 決算スケジュールの遅延:19.2%
  • 納税額の変動や修正申告の手間:15.9%
  • 外部監査人(監査法人)からの指摘・信頼低下:15.3%
  • 経営判断の誤りや意思決定への影響:13.1%
  • 特に影響はない:6.8%
  • その他:0.5%

「修正対応による残業時間の増加・過重労働」がトップとなり、スケジュールの遅延も含め現場への直接的な負担が大きいことが示されています。属性別では、男性40代で残業の増加を最も大きな影響と感じる割合が34.6%と高く、現場の疲弊感が強く表れています。一方、男性20代では「経営判断の誤りや意思決定への影響」を懸念する割合が36.8%と高く、データが及ぼす全社的な影響への危機感を持っていることが特徴的です。

3-6. 誤りや修正を減らすための対策・注力点

誤りを減らすために組織として注力、あるいは必要だと感じている対策を尋ねました。

  • 複数名によるダブルチェック・承認フローの強化:23.3%
  • 会計システムやERPの刷新・自動化の推進:22.4%
  • 関連部署との連携強化・ワークフローの見直し:18.4%
  • 専門家(公認会計士・税理士等)への相談・アウトソーシングの活用:16.5%
  • 社内研修などによる担当者のスキルアップ:13.2%
  • 特に対策は行っていない:6.1%
  • その他:0.0%

「ダブルチェック強化」と「システムの刷新・自動化」が僅差で上位を分け合う結果となりました。属性別では、男性20代で「会計システムやERPの刷新」(31.6%)や「関連部署との連携強化」(26.3%)が高く、属人的な確認ではなく仕組みによる解決を求めている層であることがわかります。一方、男性50代では「専門家への相談・アウトソーシングの活用」が40.0%と際立って高く、社外のプロフェッショナルの力を借りて正確性を担保しようとする傾向があります。

4. 調査結果から見える課題と対策

本調査の結果から、決算業務の運用において、3つの課題と、その対策の方向性が浮かび上がりました。

課題①:手入力に依存した運用による人的ミスの多発

誤りや修正の原因トップは「手入力によるミス(40.8%)」であり、約7割が定期的に修正作業に直面しています。入力漏れや桁間違いといった人的エラーが、決算業務の正確性とスピードを損なう最大の要因となっています。

対策の方向性:銀行口座やシステムとの自動連携により日次仕訳や残高照合を自動化し、手入力そのものを減らすことで、人的ミスを構造的に削減することが有効です。

課題②:他部署連携の不備と情報共有の遅れ

「関連部署からの報告漏れ・情報共有の遅延(26.5%)」や「証憑書類の回収不足・内容不備(22.0%)」が原因として挙がっており、経理部門単独では解決しきれない連携上の壁が存在します。

対策の方向性:他部署からの資料回収や報告のワークフローを見直し、提出状況を可視化する仕組みを整えることで、連携の遅れによる修正作業や決算遅延を防ぐことが望まれます。

課題③:属人的なダブルチェックの限界

対策として「ダブルチェック強化(23.3%)」がトップに挙がる一方、「人手不足や業務過多による確認不足(16.4%)」がミスの原因にもなっており、人海戦術での確認には限界が生じています。人手が足りない中で確認を増やすほど残業が増えるという矛盾があります。

対策の方向性:属人的な確認の強化に頼るのではなく、会計システムやERPの刷新・自動化を進め、チェック作業そのものを仕組みで吸収することで、現場の負担を軽減することが効果的です。

5. まとめ

本調査からは、約7割の決算担当者が定期的に数値の誤り・修正に直面しており、その最大の原因が手入力によるミスと他部署連携の不備にあること、そして修正対応が残業やスケジュール遅延となって現場を疲弊させている実態が明らかになりました。対策はダブルチェックの強化とシステム化に二分されていますが、人手不足の中で属人的な確認には限界が見えています。

  • 手入力依存による人的ミス:入力漏れ・桁間違いが誤りの最大要因 → 修正作業の多発と残業・過重労働のリスク
  • 他部署連携の不備:報告漏れ・情報共有の遅延や証憑回収不足 → 決算スケジュールの遅延リスク
  • 属人的なダブルチェックの限界:人手不足の中で確認を増やす矛盾 → 確認不足によるミスと現場負担の増大

これらの課題に対しては、自動連携による手入力の削減、他部署との連携ワークフローの整備、属人的確認に代わる会計システム・ERPの自動化を進めることが、決算ミスを減らし現場の負担を軽減する鍵となります。

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出典

マネーフォワード クラウド、決算に関する調査データ(回答者:870名のうち決算業務に関与する667名、集計期間:2026年2月)

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