• 作成日 : 2025年12月24日

マイソクとは?作成のコツと法律上の注意点を解説

マイソクは、不動産会社が営業活動の中心として使用する「販売図面」であり、物件の特徴・価格・写真・間取りなどの情報を1枚で整理した広告資料です。仲介会社同士の情報共有から、物件の検討、内見手配、条件交渉まで幅広く活用され、正確な情報掲載と分かりやすい構成が求められます。

当記事では、マイソクの役割や必須記載項目、作成のコツ、法律上の注意点、効率化の必要性などを分かりやすく解説します。

マイソクとは?

不動産の募集業務や営業活動では、物件の特徴や条件を正確かつ分かりやすく伝える資料が欠かせません。その中心となるのが「マイソク」と呼ばれる販売図面です。ここでは、マイソクの基本的な考え方や役割、名称の由来について整理します。

物件の概要や条件を示す広告資料

マイソクは、不動産の所在地や交通、面積、築年数、間取り図、写真、賃料や価格といった重要な情報を1枚にまとめた広告資料です。売買物件でも賃貸物件でも使われ、仲介会社が客付けに使う営業ツール・広告媒体です。

来店前でも物件の特徴がすぐに理解できるよう、必要な要素を簡潔に整理する役割を持っています。情報の更新日や作成者を明記しておくと、最新版の図面であることが分かり、担当間の共有もスムーズになります。

不動産会社間の流通を円滑にするツール

マイソクは、仲介会社同士が物件情報を共有する際の共通フォーマットとして機能し、情報伝達を正確かつ迅速に進める役割も果たします。レインズや社内基幹システム、メール、クラウドストレージなどを通じて同じ内容を配布できるため、条件の読み違いや説明内容のばらつきを防ぐことも可能です。

内見手配や条件交渉の際にも必要な項目が一通り載っているため、担当者間での確認作業が減り、営業スピードが向上します。また、項目をテンプレート化しておくと差し替え忘れや記載漏れが起こりにくく、物件情報の品質を安定して管理できます。

「マイソク」と呼ばれるようになった由来

マイソクの語源については、旧・毎日速報センター(株式会社毎日速報センター/現:株式会社マイソク))が行っていた不動産情報サービス名を略した呼称が、業界用語として定着したという説が代表的です。ただし、「マイソク」という名称は業界で広く使われている一方公的な定義は存在しない用語で、語源には諸説が存在します。販売図面や物件概要書といった正式名称とは異なり、地域や会社によって呼び方が変わることもあります。

そのため、顧客向けの資料や社外文書では「販売図面(通称:マイソク)」のように正式名称と併記しておくと誤解が生じにくくなります。

マイソクに記載すべき項目

物件情報を正確に伝えるためには、マイソクに必要な項目を漏れなく整理することが重要です。特に所在地や面積といった基本情報に加え、写真や間取り図、価格や賃料、取引態様など、判断材料となる内容を適切な形式で提示する必要があります。

ここでは、マイソクに必ず記載すべき要素とポイントを解説します。

物件の概要(所在地・面積・構造など)

マイソクには、物件の基本情報として所在地、交通アクセス、土地や専有面積、建物の構造、築年数などが正確に記載されます。これらは物件を比較検討する際の基礎データであり、最も信頼性が求められる項目です。

また、用途地域や法令制限、管理会社名、総戸数など、物件の性質を判断するための情報も併記しておくと、購買・賃貸を検討するときの精度が高まります。基本情報は一度入れると更新が滞りがちなため、更新履歴の管理や担当者チェックのフローを作ることで、情報の鮮度を維持しやすくなります。

写真・間取り図・地図

写真や間取り図、地図は、物件の印象や利便性を視覚的に伝える大切な要素です。写真は実際の室内・外観・設備を確認でき、内見前の判断に大きく影響します。撮影時には明るさや角度を整え、実際とかけ離れた加工は行わず、誇大表示にならない範囲で分かりやすい構図に仕上げることが求められます。

間取り図は居室の広さや動線を把握する手段として欠かせないため、寸法・方位・設備の位置を正確に記載しましょう。地図は周辺環境や最寄駅との距離感を伝える役割があり、主要施設や道路幅などを把握できると、入居後の生活イメージが具体的になります。

これらの情報が揃うことで、マイソク全体の説得力と閲覧者の理解が大きく向上します。

取引条件(価格・賃料・取引態様)

取引条件には、価格や賃料、管理費・共益費、敷金・礼金、更新料などの費用条件が記載されます。不動産取引では取引参加者の関係や費用構造が複雑になりやすいため、曖昧な表現を避け、数値を正確に記入することが信頼性の確保につながります。

また、マイソクでは取引態様(売主・代理・媒介)は宅地建物取引業法で明示が義務付けられており、誤記や欠落は法的なトラブルの原因となります。費用や条件は問い合わせ数に直結するため、最新情報に保つことで反響の取りこぼしを防ぎ、営業活動の質を高めましょう。

広告主(不動産会社)の情報

マイソクには、広告主である不動産会社の名称、所在地、電話番号、宅地建物取引業者免許番号、所属団体などの情報を明示します。これは、物件情報の信頼性を保証するために欠かせない項目であり、法律上の表示義務を満たすうえでも欠かせません。特に免許番号は最新状態の記載が求められるため、更新時期に合わせて図面の差し替えを徹底する必要があります。

連絡先を分かりやすく掲載することで、問い合わせ導線が明確になり、機会損失を防げます。また、企業ロゴや担当者名、受付時間を適切に配置することで、閲覧者に安心感・信頼感を与え、問い合わせのハードルを下げる効果も期待できます。

反響を高めるマイソク作成のコツ

マイソクは情報を載せるだけでなく、反響を獲得するための営業ツールとして機能させることが大切です。ここでは、閲覧者が「見たい」「問い合わせたい」と感じるマイソクに仕上げるための具体的なポイントを解説します。

魅力を最大限に伝える写真とキャッチコピー

反響の高いマイソクには、視線を引きつける写真と、物件の特徴を端的に伝えるキャッチコピーが欠かせません。写真は外観・室内・設備の基本カットを網羅し、明るさや水平を整えた自然な仕上がりにすると印象が大きく変わります。歪みの強い広角や過度な加工は誤認につながるため控え、実際に近い状態で魅力が伝わる構図を選びましょう。

キャッチコピーは「日当たり」「収納量」「駅からの距離」「築浅」など、閲覧者が検索で重視する要素を短くまとめ、物件を選ぶ理由がひと目で分かる表現にします。写真とコピーの組み合わせで第一印象が決まるため、問い合わせにつながる最大の要素として丁寧に作り込むと効果的です。

情報を整理した見やすいレイアウト

マイソクは情報量が多い資料だからこそ、視線の流れを意識したレイアウト設計が、反響に大きな差を生みます。

所在地・間取り・写真・価格など、閲覧者が優先的に知りたい項目を上部や左側に配置し、詳細情報を下部に整理すると読みやすさが向上します。図面テンプレートを作成しておけば、担当者ごとの表記ゆれや配置のばらつきを防ぎ、どの物件でも一定の品質を保てます。見やすいレイアウトは情報伝達の正確性にもつながり、物件の良さを誤解なく伝える上で欠かせない要素です。

物件の「推しポイント」を明確化

反響につながるマイソクに共通するのは、その物件ならではの「推しポイント」が明確に伝わることです。駅からの距離、日当たり、設備の新しさ、収納量、眺望、周辺環境など、特徴となる要素を絞り込んで強調することで、他物件との差別化ができます。

推しポイントは写真・キャッチコピー・間取り図の説明欄など、複数の箇所で一貫した形で表現することが重要です。強調する内容は事実に基づき、誇張表現を避けることで信頼性を保ちながら魅力を伝えられます。物件の魅力を端的に示すことで、検討段階の顧客にも強く印象付けられます。

マイソク作成時に遵守すべき法律上の注意点

マイソクは営業ツールであると同時に、法律に基づいて作成すべき広告物でもあります。虚偽表示や誤認を招く表現は重大なトラブルにつながるため、正確な記載と適切な表示が欠かせません。ここでは、マイソク作成時に注意すべき主要な法律上のポイントを解説します。

虚偽・誇大広告(おとり広告)の禁止

虚偽や誇大な内容を掲載したマイソクは、宅地建物取引業法で禁止されています。たとえば「すぐに契約可能」と記載しながら実際には紹介できない物件を載せる、過度に魅力的に見せる加工を行う行為は、おとり広告と判断される可能性があります。写真や図面は実際の状態に基づいて掲載し、事実を超えた表現は避けましょう。

さらに、成約済・募集停止・入居中で内見不可能な物件の募集を継続することもおとり広告に該当します。条件が変更された場合には速やかに差し替え、古い情報が流通しないよう管理体制を整えることが求められます。

マイソクは業者間の情報共有で使われることも多い一方、一般消費者に提示・公開した時点で「広告(表示)」として扱われ、表示規約等の規制対象になります。また、業者間情報を引用して広告を作成した場合でも、表示責任は引用元ではなく広告主が負う点に注意が必要です。

出典:「宅地建物取引業法(抄)」|全宅連

取引態様(売主・代理・媒介)の明示

マイソクでは、取引態様を明確に記載することが宅地建物取引業法で義務付けられています。売主・代理・媒介のいずれの立場で関わるのかを明示しないと、利用者に誤解を与えるだけでなく、法令違反に該当する可能性があります。

特に媒介の場合は、取引態様で費用負担や関係性の理解が変わるため、誤認防止の観点で正確に明示する必要があります。。取引態様は項目として必ず固定配置し、担当者が抜け漏れなく記入できるようテンプレートにしておきましょう。

出典:「宅建士試験合格のコツ・宅建業法~広告等に関する規制~」|全日本不動産協会 埼玉県本部

優良誤認・有利誤認表示の禁止

景品表示法では、実際より著しく優良・有利であると誤認させる表示を禁止しています。設備の性能を誇張したり、実際には適用外の条件を強調したりすると、優良誤認・有利誤認に該当する恐れがあります。

事実に基づく情報のみを掲載し、曖昧な表現を避け、法令遵守と顧客からの信頼確保を両立させましょう。

出典:「優良誤認とは」|消費者庁

なぜマイソク作成・管理の効率化が重要なのか?

マイソクは物件広告の核となる資料であり、作成や管理の効率性は営業成果に直結します。作成フローが属人的で更新管理が曖昧な状態では、表記ゆれや記載漏れが発生しやすく、誤情報によるトラブルの原因にもなります。業務を仕組み化し、最新情報を正確に反映できる体制を整えることで、反響の最大化と業務負荷の削減を両立できます。

ここでは、マイソク作成の効率化が必要な理由を解説します。

属人化を防ぎ品質を均一化できるため

マイソクの作成が担当者ごとの判断に任されると、レイアウトや表現のばらつきが発生し、情報の信頼性が低下する原因になります。テンプレートを統一し、入力項目や掲載ルールを標準化することで、どの担当者が作成しても一定の品質を保ち、法令を遵守することが可能です。

属人化解消により、担当者の異動や退職時でもマイソク作成がスムーズに引き継がれ、業務停止を防げます。また、新人担当者でも短時間で正確なマイソクを作れるようになり、教育コストの削減にもつながります。属人化を防ぐ仕組みは、社内の情報共有を円滑にし、組織全体の作業効率を高めるうえで効果的です。。

法改正や情報更新に迅速に対応できるため

不動産広告は、宅地建物取引業法や景品表示法などの法令に基づいて作成する必要があり、法改正があった場合は迅速に対応しなければなりません。作成フローが整理されていると、テンプレートの一括更新や表記ルールの変更がスムーズに行えるため、誤った情報を掲載するリスクを軽減できます。

また、物件の価格変更や設備交換などの更新情報も即時に反映しやすくなり、常に最新の図面を維持できます。管理体制を整えることで、顧客や仲介会社に正確な情報を提供でき、信頼性向上にもつながるのです。

本来の営業活動にリソースを集中できるため

マイソク作成に手間がかかりすぎると、本来注力すべき内見対応や顧客フォロー、契約交渉などの営業活動に割ける時間が減少します。テンプレート化や基幹システムとの連携によって作成作業を省力化すれば、担当者はより価値の高い業務に時間を使えます。

効率化によって作業時間が削減されることで、反響対応のスピードも上がり、機会損失を防ぐ効果も期待できます。営業リソースを適切に配分できる体制構築は、企業全体の生産性向上にもつながり、売上向上という直接的なメリットが期待できるのです。

反響につながるマイソクを作るためのポイント

マイソクは、不動産の募集活動において欠かせない情報媒体であり、物件の特徴を正確かつ簡潔に伝える役割を担います。所在地や間取り、写真、取引条件といった基本情報を的確にまとめることで、顧客や仲介会社が物件を迅速に評価でき、問い合わせや内見手配のスムーズな進行につながります。

テンプレート化や更新フローの標準化によって属人化を防ぎ、最新情報を迅速に反映できる体制が整えば、業務効率と顧客対応の質が一段と高まり、営業成果の向上につながるでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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