- IT企業・ソフトウェア業界の原価計算 -
個別原価管理システムの活用で変革
作成日:2024年4月1日
IT企業・ソフトウェア業界における原価計算の特徴
ソフトウェア業界において、システム開発案件ではプロジェクトごとの個別原価を管理する必要があります。大きなプロジェクトになるとフェーズごとの原価管理をする場合もあるでしょう。
見積原価と実際原価の管理・解明
各プロジェクトにおいては、見積原価と実際原価の乖離状況やその原因の解明が必要です。また、会計の観点からは決算時に開発途中となり「仕掛品」として計上する金額の妥当性も問われます。
原価の区分の多さ
システム開発の原価は大別すると、「労務費」「外注費」「経費」となりますが、それぞれについて「直接費」と「間接費」を区別します。
関連するデータの集積
労務費を把握するためには、給与データや勤怠管理のデータ、従業員別の工数や時間数が必要です。そのために複数のプロジェクトを抱える開発要員は、どのプロジェクトにどれだけ工数を使ったのかを管理する必要もあります。また、外部委託を利用しているプロジェクトでは外注費が発生します。
各プロジェクトでは経費が発生しますが、複数のプロジェクト共通するような経費については、間接費としてそれぞれのプロジェクトに配分(配賦)する必要があります。このように、個別に原価を把握するには高度な管理体制が必要となります。
IT業界・ソフトウェア業界における原価計算の難しいポイント
① 計算方法は基本的に「個別原価計算」
個別原価計算とは、プロジェクトごとのシステム開発に要した原価を計算することです。システム開発では、各プロジェクトの内容や規模が異なるため、原価を個別に把握する原価計算の必要があります。
システム開発の進捗は外部からは見えづらく、開発原価がわからない場合、決算をしてみないと赤字かどうかも判りません。プロジェクトごとの進捗状況を把握し、採算性を判断するために個別原価計算は必要な手続きとなります。
➁ 原価の内訳がプロジェクトによって変わる
システム開発では、クライアントの依頼による「受託生産」が一定の割合としてあります。各受託案件は、その目的、システム仕様、規模がそれぞれのプロジェクトによって異なります。
したがって、一定期間に発生した費用を生産した個数で割って、製品の原価を求める総合原価計算では正しくシステムの原価は把握できません。システム開発においては個々のプロジェクト固有の原価内訳を把握することが求められます。
③ 原価の配賦処理が必要
システム開発に係る費用として、労務費、外注費、経費のどの項目においても、直接費だけでなく間接費も発生します。間接費はプロジェクトごとに明確に把握することが困難なので、発生した間接費を適切に費用配分することが求められるのです。
そのため、間接費と配賦基準を設定すれば自動で費用配分してくれるシステムが望まれます。さらに配賦にはいくつかの方法があるため、配賦方法の選択肢は多いほうがよいでしょう。
④ 稼働時間ベースでの労務費が主要なため、原価の大半が労務費
システム開発では、プロジェクトの進行により発生する「労務費」が原価の大半を占めています。したがって、原価に占める労務費の割合はプロジェクトの性質や規模、マネジメントの効率などによって異なるのです。
一般的な目安としては、原価の60%以上が労務費に充てられます。その理由としては開発プロセスにおいて高度な技術や知識が必要とされ、専門的なスキルを持つエンジニアの労働単価は一般的に高くなっているからです。
マネーフォワード クラウドの個別原価システムを活用すれば?何ができる?

従業員から工数データの収集が可能
開発要員は、使った工数を自分が関与するプロジェクトに正しく振り分ける必要があります。しかし、手書きメモや記憶に頼ると工数が過大になったり、足りなかったりする事態が発生します。
Excelなどでマクロを組んでプロジェクト管理している場合、管理表のメンテナンスが属人化し、使いづらいこともあるでしょう。「マネーフォワード クラウド個別原価」では、簡単な工数入力で費用連携ができ、データ収集の負荷を削減できます。

労務費・外注費等のデータを連携で素早く収集
プロジェクトの管理においては、労務費と外注費は別に考えますが、プロジェクト全体を見るときにはデータを集計する必要があります。外注費は、委託形態によっては労務費に準じた取り扱いが必要な場合もあるため、労務費と外注費の正しい把握がプロジェクト管理の中心とも言えます。
「マネーフォワード クラウド個別原価」では、労務費や外注費、その他経費のデータ連携がいつでもワンクリックででき、随時原価計算が可能です。

自社の運用に合わせた配賦基準が設定可能
開発費用のうち複数のプロジェクトに関係するものはプロジェクト間配賦だけではなく、部門間配賦や多段階配賦なども発生します。配賦は正確な原価計算を行うための重要なステップですが、配賦基準の考え方によって各プロジェクトの配賦額が変わるため、十分な検討が必要です。
「マネーフォワード クラウド個別原価」では、豊富な配賦基準を配賦元部門‧勘定科目ごとに指定できるため、自社の運用に合わせた設定が可能です。

最新の原価情報をWebでいつでも確認可能
プロジェクトリーダーやマネージャーは、個々のプロジェクトが現在どんな状態であるかをチェックする必要があります。「マネーフォワード クラウド個別原価」では、クラウド上で最新の月別原価推移をWeb上で閲覧することができます。
プロジェクトが成功するためには経営判断が可能なデータを参照しながら進める必要がありますが、参照権限が付与された開発要員は常に集計値である月別原価推移を参照することができます。
マネーフォワード クラウド個別原価の導入事例
株式会社オプティマインド 様
ルート最適化サービスの開発を手掛ける株式会社オプティマインド様が「マネーフォワード クラウド個別原価」を選んだのは、利用する会計システムとの連動性や情報の粒度の統一からでした。導入の結果、正確に個別原価を把握し監査に耐えうる原価計算を実現できました。
個別原価管理をもっとスムーズに!お役立ち資料
マネーフォワード クラウド個別原価|製品資料
マネーフォワード クラウド個別原価の基本的な機能と導入までの流れを紹介しています。IT開発・プロジェクト型ビジネスの企業様に多く導入いただいています