株式会社TMH

上場準備を機に会計基盤をクラウド化。仕訳承認・権限管理で内部統制に対応し、会計業務を標準化

株式会社TMH 取締役 経営管理部長 関 真希 様
経営管理部 マネージャー 野村 弘 様
  • 課題

    ・上場に向けて、税務会計中心の会計処理から財務会計への移行が必要だった。特に、収益認識基準への対応を含め、上場会社に求められる会計体制を整えることに苦労していた。

    ・上場準備当初は管理部門の人員が少なく、1~2名で日常の経理業務を行いながら、職務分掌や承認手続きなどの内部統制を構築する必要があった。四半期決算では証券会社から確認を受けるため、対応スピードも求められていた。

    ・上場申請では直前2期間分の監査証明が必要だったが、N-2期は旧システム、N-1期はマネーフォワード クラウド会計Plusを利用していた。そのため、異なるシステムで処理した過年度の仕訳と現在の仕訳について、整合性を取る作業に苦労していた。

  • 結果

    ・仕訳の起票者と承認者の分離、担当者ごとの権限設定、変更履歴の確認が可能になり、内部統制に対応した運用を実現。上場審査でシステム上の問題を指摘されることはなく、上場後の内部監査でも承認状況や変更履歴を確認できている。

    ・マネーフォワード クラウドの導入支援サービスを利用し、導入した事業年度だけでなく、その前事業年度のデータもスムーズに移行できた。質問に対するチャットでの回答も迅速で、事業年度途中でもスピーディに導入を進められた。

    ・定型仕訳をCSVで取り込むことで、入力作業を省力化し、処理時間を短縮。社内マニュアルによって使い方を統一したことで、担当者が入れ替わった場合も引継ぎしやすくなり、担当者による処理のばらつきも抑えられた。

少人数で進める上場準備。内部統制に対応できるクラウド会計システムで上場を達成
株式会社TMH様では上場準備にあたり、税務申告を主な目的とした会計処理(税務会計)から、投資家や監査法人に会社の業績を正確に説明できる会計処理(財務会計)へ移行し、四半期決算や監査に対応できる経理体制を整える必要がありました。当時の管理部門は1~2名と少なく、日常の経理業務と並行して、仕訳の承認手続きや権限管理などの内部統制を構築することが課題となっていました。

今回は、同社がマネーフォワード クラウド会計Plusを導入した経緯をインタビュー。上場を見据えた会計システムの選定で重視した点や、事業年度途中のデータ移行を円滑に進めた方法、導入後の内部統制への対応と会計業務の標準化についてお伺いしました。

半導体工場の安定稼働を支える上場企業。少人数でも相互に支え合える管理体制を構築

ーー会社の概要と事業内容について教えてください。

関様:株式会社TMHは、半導体製造装置及び部品の販売・修理、越境ECサイトLAYLA-ECを運営する、2012年3月9日に創業した企業です。

具体的には、半導体工場向けに、半導体製造装置や部品の販売・修理を中心とした半導体製造フィールドソリューション事業を展開しています。中古半導体製造装置の販売に加え、部品販売・修理サービスなどを通じて、半導体工場の安定稼働を支援しています。

2021年から2023年まで3年連続で、企業価値が10億ドル以上になる可能性のあるベンチャー企業として、日本経済新聞社の『NEXTユニコーン』に選出されました。

その後、2024年12月に東京証券取引所グロース市場および福岡証券取引所Q-Boardに上場し、現在に至ります。

ーー管理部門の体制と、ご担当者様それぞれの仕事内容、役割について教えてください。

野村様:マネーフォワード クラウド会計Plusを扱う経理チームは3名体制で、そのうち起票者は一般職と主任の2名です。仕訳の起票に加え、入出金データと証憑の突合・確認を行っています。

承認者は経理担当マネージャーの1名で、起票者のサポートに加え、四半期決算時の決算整理仕訳など、より専門的な会計処理も担当しています。

少人数の体制ですが、管理部門では、経理チームのほか、財務、人事総務、システムの各担当に分かれて業務を行い、担当者の急な休暇等にも対応できるよう、相互にフォローできる体制を構築してきました。

上場は持続的な成長のための手段。予実管理と内部統制に対応できる体制が必要に

ーー上場準備がきっかけでシステム導入を検討いただいたと伺いました。上場の目的をお聞かせいただけますか。

関様:上場自体を目的とするのではなく、会社が持続的に成長していくための重要な手段の一つとして上場を位置付けていました。上場を目指した主な理由は、次の4つです。

  • ①社員のモチベーション向上および優秀な人材の獲得
  • ②ガバナンス体制の強化を含む企業価値の向上
  • ③地域貢献・地方創生への貢献
  • ④資金調達手段の多様化


2つ目の「ガバナンス体制の強化を含む企業価値の向上」に関連する点で補足すると、半導体関連の企業は取引の際に上場有無を重視する傾向があります。実際に、上場後は社会的信用が高まり、韓国の大手装置メーカーをはじめとする海外企業とのアライアンスの機会など、取引の可能性が格段に広がりました。

掲げていた上場目的どおり、上場のおかげで、社会的信用力が圧倒的に高まったと感じています。

また、3つ目の「地域貢献・地方創生への貢献」に関して、私は大分県を盛り上げたいという気持ちを強く持っていました。大分県は上場企業が少なく、当社は8年ぶりの新規上場であり、当社が上場を目指していた当時、大分県の上場会社数は一桁にとどまっていました。そこで、大分県から上場会社を増やし、地域を盛り上げていきたいという思いも、上場を目指した理由の一つでした。

ーー上場を目指すにあたり、財務会計業務に関して、どのような準備がいつまでに必要でしたか。

野村様:上場申請までに、申請直前2期間分の監査証明が必要とされるため、少なくとも直前々期(N-2期)の期首までには本格的な準備を開始しなければなりませんでした。

そのため、会計処理を上場会社として求められる水準に移行して、四半期決算および監査にも対応できる経理体制や内部統制を整備していきました。

関様:上場にあたり、予実管理の体制構築が特に必要でした。上場する以上、決めた約束(目標)を達成できるかどうかは重要なためです。計画どおりに業績が進んでいるかを継続的に確認し、差異が生じた場合は原因を分析して対策を講じられる体制づくりが求められました。

ーー上場準備にあたり、何が課題でしたか。

野村様:上場準備において必要となった財務会計への移行そのものが課題でした。特に「収益認識基準の適用」や「重要な会計上の見積り」については、これまで以上に会計上の判断や根拠を整理する必要があり、大変苦労しました。

また、管理部門の人員が少なかったため、1~2名で起票など日常業務を行いながら、職務分掌や承認手続きなどの内部統制を構築していくことにも時間を要しました。

証券会社からは、四半期決算でチェックが入りますし、求められるスピード感への対応も課題だったと思います。

内部統制機能と使いやすさが導入の決め手

ーーマネーフォワード クラウド会計Plusの導入経緯を教えてください。

関様:私が入社をした2015年の翌年、2016年頃から上場を目指しており、その頃に一度マネーフォワード クラウドを含むクラウド会計システムを検討したことがありました。当時はまだ「仕訳承認」機能が搭載されておらず、また市場環境(半導体不況)の影響もあって上場計画そのものが後回しになり、導入も見送っていました。

その後、2022年ごろからAIブームによって半導体市場が上向きになり、再び上場を目指して準備を進めていたところ、マネーフォワード クラウドに「仕訳承認」機能が実装されたことを知りました。

初回に検討した際、マネーフォワード クラウドは会計経験者にとって使いやすい設計だったため、必要な機能さえ揃えばぜひ導入したいと考えていました。再検討のタイミングで上場準備における内部統制に必要と考えていた仕訳承認や権限管理などの機能が充実したことを確認でき、「これがあれば上場準備が進められる」と考えて導入を決めました。

さらに、給与システムのような社内システムや金融機関などとのデータ連携(※1)が可能なことや、クラウド型で複数の担当者が同時に利用しやすいことなど、機能面の充実とコストパフォーマンスに優れている点が、総合的な決め手となりました。

※1:マネーフォワード クラウドが対応しているデータ連携サービスの一覧はこちら

野村様:導入検討の際、最も重視したのは、上場を見据えた内部統制に必要な機能を備えているかどうかです。具体的には、仕訳の起票者と承認者を分けられること、担当者ごとに権限を設定できること、変更履歴を確認できることなどが挙げられます。

また、複数名が同時に起票したり閲覧を行えるよう、クラウド型であることも重要な条件でした。

事業年度途中のデータ移行を乗り越え、上場に対応できる会計基盤を構築

ーー導入にあたり、大変だったことは何でしたか。それをどのように乗り越えましたか。

野村様:事業年度の途中で導入することになったため、既存の会計データの移行が最も大きな課題でした。しかし、マネーフォワード クラウドの導入支援サービスを利用したため、スムーズな移行作業が実現できました。

導入支援のサポートを受けて、無事に切り替え前のデータを取り込むことができ、非常に助かりました。質問にもチャットですぐに回答してくださったのも便利でした。

また、導入事業年度だけでなく、その前事業年度のデータについても取り込みを支援していただけたため、大変助かり、安心して導入を進めることができました。

ーーマネーフォワード クラウド会計Plusを利用した感想を教えてください。

野村様:私は、マネーフォワード クラウド会計Plusの利用は初めてでしたが、関が話していたとおり、会計実務経験者にとって使いやすい設計になっていると思います。

また、社内マニュアルも作成し、使い方を統一していますが、マネーフォワード クラウド会計Plusはとりわけ会計経験者にとってわかりやすいシステムなので特に心配はありません。スタッフが入れ替わっても引継ぎがスムーズにできるのが利点だと思います。

なお、月次で発生する定型仕訳は、CSVで取り込む運用にしており、入力作業を省力化したことで作業時間を短縮できています。操作方法について分からないことがあればチャットで気軽に問い合わせができ、回答も迅速で、導入当初は頻繁に利用しました。

ーーマネーフォワード クラウド会計Plusを導入したことで上場準備にプラスの影響はありましたか?

野村様:上場準備を進めていく中で、マネーフォワード クラウド会計Plusを利用していることについて、上場審査などでシステム上の問題を指摘されることはありませんでした。むしろ、内部統制に対応した運用ができる点が、上場準備において役立ちました。

マネーフォワード クラウド会計Plusには、仕訳の起票・承認、権限管理、変更履歴の確認など、当社が内部統制上必要としていた機能が揃っており、上場準備を進める上でも有効だったと振り返っています。

また、上場後の内部監査などにおいても、仕訳の承認状況や変更履歴などをシステム上で確認できるため、内部統制対応にも役立っています。

関様:経費精算システムや給与計算システムなどともデータ連携でき、バックオフィス業務の効率化につながりました。

勘定科目の仕訳パターンを学習させ、自動化を進めたことで、スタッフは自動作成された仕訳の最終確認を行うだけでよくなり、日常的な入力作業を大幅に削減できました。その結果、業務の標準化が進み、担当者による処理のばらつきを抑えられた点もよかったと思います。

上場準備の早期から会計業務を標準化することの大切さを痛感。クラウドとAIで管理部門をさらに高度化

ーー上場準備とマネーフォワード クラウド会計Plusの導入時期を振り返ってみて、気付きはありましたか?

関様:上場有無を問わず、業務を標準化することは重要です。仮に、会計システムの自動仕訳機能を活用できていないと、担当者によって仕訳ルールが変動し、担当者の色が出てしまいます。

経理担当者によって、勘定科目の選び方や解釈が異なり、仕訳ルールが整っていなければ、財務データの正確性にも大きな影響を及ぼします。

そのため、マネーフォワード クラウド会計Plusのように仕訳ルールをインプットし、自動化してくれるクラウド会計システムを活用したほうが良いと思いました。

ーー内部統制への取り組みにおいて、困難をどのように乗り越えましたか。

関様:会計まわりの上場準備中は、過年度に仕訳した内容と、現在の内容に誤差が出てしまう点が課題でした。

上場にあたり、N-2期まで開示が求められたのですが、N-2期は旧システムを利用していたため、旧システムの情報と、マネーフォワード クラウド会計Plusを導入後のN-1期の情報のあいだで、整合性をとることに苦労しました。

振り返ってみると、もしN-2期やN-3期など、早期のタイミングからマネーフォワード クラウド会計Plusを導入していたら、もっとスムーズに準備ができていたのではと思います。

また、旧システムは手動でアップデートが必要で、かなりの手間がかかっていました。一方、マネーフォワード クラウド会計Plusは自動的に最新バージョンがアップデートされるため業務効率化につながりました。

ーー上場前後で、管理部門の体制や業務はどのように変わりましたか。

関様:上場準備を始めたN-3期頃は、管理部門の人数がまだ少なく、経理と財務を兼任するような体制でした。申請者と承認者を分けるなどの対応はしていたものの、現在ほど厳格に運用できていたわけではありません。

上場準備から上場後にかけて管理部門の人数が増え、ようやく業務分担や内部統制の体制が整ってきたところです。

ーー会社全体で、業務の取り組みや体制が変化したことはありますか?

関様:会社全体では、AIの活用がより進み、少人数でも高度な業務に取り組めるように変化しました。例えば、社員や幹部向けのインセンティブプランを検討する際には、企画の壁打ち相手としてAIを活用しています。

また、提案資料の作成・補正やPowerPoint資料の作成にもAIを活用しており、従来3〜4日かかっていた資料作成を2時間程度で終えられることもあります。単なる時間短縮にとどまらず、資料の質を高められる点もAI活用のメリットだと感じています。

マネーフォワード クラウド会計Plusの導入によって経理業務を標準化・効率化できたことも、こうした変化を後押ししています。定型業務にかかる時間を減らせた分、経理に限らず各部門が企画や改善、新たな施策の検討といった、会社の成長につながる業務へ時間を使えるようになりました。

少人数でも業務の幅を広げながら、継続的な成長に向けて取り組める体制へ変化したと感じています。

ーーマネーフォワード クラウド会計Plusを周辺システムと連携させ、活用していると伺いました。どのように運用されているか教えてください。

関様:以前は、会計システムなどからデータを抽出し、Excel上で突合・加工したうえで、BIツールを用いて経営指標を可視化していました。当社は営業キャッシュフローをはじめとする各種指標も、Excelで管理していました。

しかし会計・販売・営業など、部門ごとのデータが別々のシステムに分かれてしまうと、必要な情報を集めて確認するまでに手間がかかることが課題でした。

マネーフォワード クラウド会計Plusの導入後は、販売管理システムや営業支援システムなどの周辺システムと会計システムを連携させ、各部門のデータをつなぐことで、経営指標をより正確かつ迅速に把握できるようになりました。

今後は、蓄積・連携されたデータにAIによる分析を組み合わせ、経営判断に必要な情報を自動的に提示する流れが進んでいくと考えています。

正確なデータを迅速な経営判断へ。事業の成長を支える管理部門を目指す

ーー今後の業務効率化や会社体制についてお考えになっていることを教えてください。

関様:これまでは必要なデータを手作業で集め、加工することに時間がかかっていました。しかし、マネーフォワード クラウド会計PlusやAIの活用により、経営上確認したい指標をより早く見られるようになってきました。今後も、バックオフィスの効率化と高度化を進めていきたいと考えています。

近年は、チーム別・製品別の採算管理やアメーバ経営(※2)のような小組織単位での損益管理、商品・サービスごとの管理にも取り組みやすくなってきました。これまで把握することが難しかったこのようなデータを、経営判断に活かしていきたいです。

そして、データをもとに迅速に判断し、経営を動かし、人を動かす部門としての役割を果たしたいと考えています。

経年でデータを比較・分析するためには、担当者によって勘定科目や処理が異なる状態をなくし、データの粒度をそろえることが重要です。ビジネスチャンスを逃さないためにも、正確で一貫したデータを速やかに確認できる体制を構築していきます。

※2:アメーバ経営とは、京セラ創業者 稲盛和夫氏が提唱した、部門やチームなどを小さな組織単位に分け、それぞれの売上・費用・利益を把握しながら運営する経営手法です。

ーー上場を目指す企業や、システム導入を検討している企業様にひとこといただけますか。

関様:上場を目指す際、売上と利益を伸ばしていくことが最も重要だと考えています。売上・利益は、いわば身体の血液です。管理部門は、その血液の循環を良くする役割を持ち、会社のお金や情報の流れを整えて、事業の成長を支えるポジションといえます。

管理部門は、無駄な作業や余分な業務をできる限り削ぎ落とし、より重要な業務に時間を使える状態をつくることが大切です。

マネーフォワード クラウド会計Plusは中小企業から上場企業まで活用できるシステムであり、成長段階に応じて使い続けやすいサービスです。上場を目指すなら、早い段階で導入を検討してみてはいかがでしょうか。

公開日:2026年10月30日 公開当時の情報となります

株式会社TMH
2012年創業。2024年12月に東京証券取引所グロース市場および福岡証券取引所Q-Boardへ上場。社名の由来である「Technology Makes Happiness」のもと、「人とテクノロジーの力で、半導体の未来を支え、社会の進化に貢献する企業体へ」をMISSIONに掲げ、半導体工場向けに「越境ECプラットフォーム等を利用した部品販売・修理サービス」および「エンジニアリング力を活用した装置販売サービス」を展開し、韓国・中国への現地法人設立を通じてグローバル事業基盤の拡充を進めています。