2027年1月に訪れる重加算税が除外となる電子帳簿保存法の3要件

読了まで約 5

「電帳法対応は、もう済んでいる」――そう感じている経理担当者の方は多いのではないでしょうか。2024年1月の電子取引データ保存の義務化から2年半が経過し、請求書領収書をデータで受け取った場合の保存ルールにも慣れ、日々の業務として定着した企業も多いことと思います。

ただ、電子帳簿保存法は「2024年1月に対応して終わり」の制度ではありません。令和7年度・令和8年度の税制改正により、2027年1月からは重加算税の加重除外が、2027年分の所得税からは青色申告特別控除の優遇が、それぞれ盛り込まれています。義務化対応を「最低限」で乗り切ったままの企業ほど、この変化への準備が手薄になる可能性が高く、注意が必要です。

※本記事は、電子帳簿保存法に関するビジネス上の気づきを提供するものです。個別の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。

【執筆者】
株式会社マネーフォワード
ERPドメインリサーチャー
合江 篤

2019年に株式会社マネーフォワードに入社。Fintech研究所にて金融制度、年金制度、海外金融サービス動向を中心とする調査研究をはじめ、弊社Fintech研究所Blogにおける海外Fintech企業の動向の発信や、金融財政事情などの金融専門誌への寄稿などを行う。

2022年から電子帳簿保存法・インボイス制度対応など法制度関連のマーケティング施策に従事。2024年12月からERPマーケティング本部にて企業のバックオフィス業務効率化・DXを推進する取り組みや、企業の経理・財務領域を中心としたバックオフィスパーソンへの情報発信を行っている。

これまでの2年半:「総合勘案」という運用の実態

義務化当初は、要件を満たさない場合に重加算税が10%上乗せされたり、青色申告の承認が取り消されたりするという厳しいペナルティが注目されました。しかし国税庁の令和7年の「電子帳簿保存法一問一答」問88では、青色申告の承認取消しについて、違反の程度等を総合勘案した上で判断するとされています(※1)。

この記述から、実務では柔軟な運用がなされていることがうかがえます。ただし、これは「対応しなくてよい」という意味ではありません。要件を満たさない保存は原則として認められないため、引き続き適切な対応が前提になっている点には注意が必要です。

令和9年1月からの新ルール:重加算税除外の3要件

令和7年度の税制改正では、電子帳簿保存法において次の3つの要件を満たして電子取引データを送受信・保存している場合、重加算税の10%加重措置の対象から除外されます(※2)。

  1. 改ざん防止の確保
    データの送受信と保存を、訂正削除履歴が残るシステムやそもそも訂正削除ができないシステムで⾏うこと
  2. 記帳の適正性確保
    訂正削除の事実・内容を確認できるシステムを使用すること
  3. 電子帳簿との相互関連性確保
    電子取引データと電子帳簿との関連性を相互に確認できること

この措置の適用には、あらかじめ保存義務者による届出書の提出が必要になる点も、押さえておきたいポイントです。

個人事業者の方にとっても、控除額が増えるという前向きな変化もあります。令和9年分以降、複式簿記による記帳と電子申告(e-Tax)に加え、優良な電子帳簿や請求書データ等との自動連携の要件を満たす電子取引データ保存を行っている場合、青色申告特別控除額が65万円から75万円に引き上げられます(※3)。

すでに電子申告を行っている事業者であれば、利用中の会計や請求書システムが対応要件を満たしているかを確認するだけで、控除額を10万円上乗せできる可能性があります。

今のうちに確認しておきたいこと

  • 利用中の会計システムなどが、重加算税除外の3要件(改ざん防止の確保、記帳の適正性確保、電子帳簿との相互関連性確保)を満たしているか
  • 重加算税除外措置の適用を受けるための届出について、期限や必要書類を把握できているか
  • 個人事業主であれば、青色申告特別控除75万円の要件を満たせているか

義務化対応を「ゴール」として捉えるのではなく、次の制度改正を見据えて備えておく視点が、これからの経理実務には求められるといえるでしょう。

なお、今回取り上げた内容も含め、電子帳簿保存法の基本ルールから今後の対応のポイントまで、より詳しく知りたい方は「2025年10月最新版 電子帳簿保存法 徹底解説」もご覧ください。



【出典・参考文献】
※1 出典:国税庁『電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】』(国税庁、2025年6月)P57,58、https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/03-6.pdf(最終閲覧日:2026年8月24日)
※2 出典:国税庁『請求書等を帳簿に自動連携する仕組みに対応した制度が新設されました~令和7年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要~』(国税庁、2025年4月)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0025003-097_01.pdf(最終閲覧日:2026年8月24日)
※3 出典:国税庁『電子帳簿等保存制度を活用して、デジタル化をさらに進めてみませんか?』(国税庁、2026年6月)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0026006-122.pdf(最終閲覧日:2026年8月24日)

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。