「復職」に重要な4つのマインドセット|前田康二郎さんに聞くハイ・パフォーマーの“心を折らない“マネジメント術Vol.2

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毎回大好評の前田康二郎さんの新連載をお届けします。

テーマはすばり、「デキる上司がデキる部下を潰してしまう。はなぜ起こるのか?~経理編~」です。

第2回は、「復職」について。復職する方、そしてそれを見守る上司が持ちたいマインドセットと、加えてクラウドソフトウェアの、隠れたメリットについて解説いただきます。

前田さんの最新刊『デキる上司がデキる部下を潰してしまう。はなぜ起こるのか?』(クロスメディア・パブリッシング社刊)の特別版として、経理やバックオフィスをご担当のみなさまにお届けします。

【連載一覧】
デキる部下を守れるのはデキる上司だけ!|前田康二郎さんに聞くハイ・パフォーマーの“心を折らない“マネジメント術Vol.1
「復職」に重要な4つのマインドセット|前田康二郎さんに聞くハイ・パフォーマーの”心を折らない”マネジメント術Vol.2(本記事)

復職してもすぐダウンしてしまう人がいるのはなぜなのか?

私の周囲の経理の職場でも、優秀な社員が心身を崩して休職した後、復職してもまたすぐ仕事のし過ぎでダウンしてしまう、ということがよく起こります。

理由はさまざまあるでしょうが、私は復職する人自身が「自分は優秀だったから会社が価値を認めてくれていたんだ。だから一日も早く以前のように優秀な社員として復帰しないと会社からも周囲からも認めてもらえないし、何より自分の居心地が悪い」というマインドセットが、そうさせていることの一因ではないかと思っています。

だからいくら上司が「無理しないでね」「できるところまででいいからね」「疲れたらすぐ帰ってもいいからね」と声掛けしても本人は余計に焦ってしまう、ということではないかと思います。そこで、部下に復職する方がいる方、またはご自身がこれから復職される場合には、次の4つのマインドセットをお持ちいただき、徐々に仕事を体に慣らしていただきたいと思います。

復職する部下とそれを見守る上司がお持ちいただく4つのマインドセット

1.「他人よりレベルの高い仕事をしないと自分は評価されない」と思わない

「以前の自分は、他の社員よりもレベルが高い仕事をしていたから認められていたのであって、それができない今の自分は価値のない存在になってしまうのではないか」と焦っていたら、それは間違いです。

そもそもレベルが高い低いというのは「見る人」によって変わります。自分ではハイレベルの仕事だと思っていても、さらに仕事ができる人から見たらそれは初歩的な仕事に見えることもあります。逆に自分では普通の仕事だと思っていても、別の人から見たらすごく難しい仕事をしているように見えることもあります。

レベルの評価というのはそれくらい流動的なものなのです。だから「すぐにレベルの高い仕事をして職場復帰しなければ」と焦って最新の税務の情報やハイレベルな会計知識を詰め込もうとせず、まずは会社や上司と相談して、無理のない範囲から体を慣らしていきましょう。

2.「他人より無理な要求に応えないと自分は評価をされない」と思わない

「以前の自分は、上司や顧客などの無理難題なリクエストに応えてきたから認められていたのであって、それができない今の自分は価値のない存在になってしまうのではないか」と焦っていたら、それは間違いです。

無理難題なリクエストに応えてきたということは、通常求められている仕事が余裕を持ってできていたから周囲も「追加で」お願いをしていたのです。だから、それ自体を対応できなくても、そもそも「十分デキる人」であり給与分の仕事をしているのです。

無理な要求というのはあくまでも「オプション」ですから、それができればプラス評価になるでしょう。しかし、それができないからといってネガティブに考える必要はありません。だから安心して、まずは自分の決められた経理業務の範囲の仕事を就業時間内でやり終えることを目標に身体を慣らしていきましょう。

上司の方もデキる部下に期待して「じゃあ復職して早速で悪いけれど、超特急で経理の業務改善を進めてほしいんだけど…」などと、休職前の部下のレベルを求めて無茶ぶりをしないようにしてください。

3.「他人より責任感や忍耐力が強くないと自分は評価をされない」と思わない

「以前の自分は、他の人よりも不条理な仕事の状況下でも耐えられる責任感や忍耐力があったから認められていたのであって、それができない今の自分は価値のない存在になってしまうのではないか」と焦っていたら、それは間違いです。

責任感や忍耐力はその人に備わった個性ですから、今も変わらず宿しているはずです。ただ今度は、その責任感や忍耐力を使う矛先をいつもとは少し変えてみましょう。会社の産業医の先生や人事担当者、上司などと約束した以上勝手に経理業務をしない、という約束を守る「責任感」、そして約束した仕事量よりもたくさん経理処理をしたい、という自分の欲求を抑える「忍耐力」。

心身が回復し、安定するまではそこに責任感と忍耐力を使いましょう。「今日は調子がいいからもう少し無理をしても大丈夫だろう」と、自己判断で周囲と約束した以上の仕事量をしてしまい、また心身を壊してしまうことのないよう、責任感や忍耐力のある皆さんでしたら、自分自身に対しても敬意をもって約束ができるはずです。

4.量をこなすことで緊張や不安を一掃しようとしない

取引先の社長や管理職の方たちなどに話を伺うと、20代の時にひたすら膨大な仕事量をやった(やらされた、やらざるを得なかった、も含む)時期があったおかげで、自分のビジネスパーソンとしての基礎ができ、自信がついた、という方が多くいらっしゃいます。

私もそうでした。ただ、それは心身が健康であることが絶対条件です。話を伺った方々も、自分の心身の限度を理解したうえで、その限度の範囲内で仕事をしつつ、うまく気分転換や休息なども取り入れて働かれていたはずです。

職場復帰をする際にも、自分の「過去の限界」ではなく「今日現在の健康状態での限界」を超えないように、特に仕事の「量」に気を付けなければいけません。早く以前のような経理の仕事量をこなしたくて、焦りから休憩もとらず、とにかく量をこなすことで不安や緊張を一掃しようとする方がいますが、それではすぐ心身の限界に到達してしまい、体調不良を起こしてしまいます。

職場復帰するにあたって不安や緊張があるのは当たり前ですし、むしろ私はあったほうがいいと思います。不安や緊張があったほうが、人は準備をします。そして過信をしません。

「今日は体調がいいからもっとやっても大丈夫だろう」と過信するより「今日は体調がいいけど、調子に乗らずに今日はここまでにしておこう」ということです。経理は特に処理量をこなそうと思えば無限にこなせてしまう職種ですから、自分で自分に上限をかける意識を常に心がけてください。

クラウドのソフトウェアは復職をサポートする最適なツール

そして経理部門においては、クラウド環境の整ったソフトウェアが、復職する社員にとって大きなサポートツールとなります。クラウド非対応の会社の場合、業務に取り組む以前に、まず「毎日出社をしなければならない」というハードルがあります。

復職したばかりの方は日によって体調も変わるので、体調の良いときは出社して仕事もできるけれど、「出社をするだけで体力を使い果たしてしまって仕事が手につかない」「目が覚めても起き上がるのに時間がかかる」という日もあります。

働く意欲はあるのに「毎日出社」「終日着座して仕事をする」という体力的なハードルが高く、そこでまた体調を崩して休職してしまい、離職につながっているケースも見受けられます。経理部門にクラウド対応のソフトウェアを導入すれば、復職する人も、まずは自宅から会計ソフトなどを開いて復職できます。

「もし通勤途中や職場で急に体調が悪くなったらどうしよう」という不安があっても、「自宅ならすぐ一旦横になればいいな」と安心して仕事に取り組めます。そして「会社や皆とつながっている」という安心感にもつながり、焦ることなく本人のペースで作業復帰ができます。

「休まないことで評価を得る」から「きちんと休んでも評価を得る」へ

デキる上司の方は、ハードワークが得意で「ちょっとしたことでは休まない」という方も多いと思います。

それ自体は上司として頼りになりますし、良いことなのですが、休めるときにさえも休まないような方が上司だと、デキる部下の場合「体調が悪いのだけど上司になかなか休みたいとは言いづらいな」「体調が悪いと言ったら上司に『自己管理がなっていない』と、軽蔑されるかもしれない」と思い、心身の不調時になかなか上司に言い出せずに症状を悪化させてしまうというリスクもあります。

デキる上司の方はその点は配慮していただき、部下の方たちには「無理を押して会社を休まないことで評価を得るのではなく、休むべきときは休んでも経理の業務内容で評価を得られる方向性を目指しましょう」とお伝えいただければと思います。

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