<図で考えると数字は良くなる> 第3回 遅刻をする人ほど売上意識が低い理由

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第3回 遅刻をする人ほど売上意識が低い理由

仕事になぜビジネスマナーが必要なのか

第3回 遅刻をする人ほど売上意識が低い理由

遅刻をしないことや挨拶など、いわゆる「ビジネスマナー」は、これまでは「当たり前のこと」として理屈は抜きにしてそういうものだと教えられ、また教えられたほうもそういうものだと思い、自分の後輩などにも教えてきた気がします。

しかし最近は、「担当している仕事さえできていれば別にいいんじゃないですか」と考える人も増えてきたのではないかと思います。そしてそのように言い返されてしまう経営者や管理職の悩みを伺う機会も増えました。

今回は、計数的な観点からビジネスマナーについて論理的にその意義について考えたいと思います。

ビジネスマナーがないと、本来は売上を得られない

多くの人にはなぜビジネスマナーが必要なのか。それは、これらができないと、売上が得られないからです。

たとえば一人で独立して、売上を得ようと思ったら、まず「相手に不快感を与えない身だしなみ」で、「時間通りに」相手先を訪問し、最初に「挨拶」をし、「失礼のない言葉遣い」で、自分の売り物の説明をしない限り、モノやサービスを売るチャンスすら与えてもらえません。中には「そんなことはない」と言う人もいるかもしれませんが、実際にやってみるとわかります。

著名人が訪問してきたなら手放しで喜ぶ人もいるでしょうが、無名の一般人が得体のしれない格好で突然会社の受付に来たら、誰もが警戒します。そして断られることがほとんどでしょう。

また、事前にアポイントをとった人が1時間経っても来なかったり、オンライン打合せで、待てど暮らせどログインされなかったりしたら、「もう結構」と、二度とチャンスはないでしょう。

このように、売上を獲得するためには「ビジネスマナーの要素」が必要になるため、多くの経営者、特に自分のお金や担保だけで起業した人はそのプロセスを経験してきているので、社員の遅刻や挨拶にも厳しいのです。

誰かの失礼は、他の誰かがそれを背負う

第3回 遅刻をする人ほど売上意識が低い理由

「営業などはわかるけれど、内勤やエンジニアなどの専門職は関係がないのでは」と思う方もいるかもしれません。

しかしそれはあくまでも会社が大きくなって作業が分掌されてそう思えるだけで、もともとはどの会社も一人か数人で始まり、内勤の処理作業やプログラミングなども兼任しながら営業をしていたはずです。

だから経営者の立場からすると、ビジネスマナーの「マインド」に関しては、外部の人間と接する接しないといったことに関係なく、どの職種の人でも、こうしたビジネスマナーのマインドは保持してほしいと思います。

そうしないと、売上や利益は、徐々に下降線をたどっていくと経営者は考えていますし、実際にそうなります。

たとえば100人社員がいて、10人恒常的に遅刻をしてくる会社があったら、その10人は、「別に遅刻をしたって会社は存続してるし何も変わらないじゃないか」と思っています。

しかし実際には、残りの90人が、本来負う必要のない10人分の負荷を分担し、「失礼」を背負ってカバーしているだけの話なのです。ただ、そのような状態が改善されない状態が続けば、90人の中にも、「自分は真面目にやっているのにバカバカしい」と、その組織から離脱する人も出てきます。

それが繰り返されていくと、徐々に「一部の失礼」を組織としてカバーできなくなり、外部から見たら「ビジネスマナーの悪い会社」とみなされ、取引をしようという気持ちがなくなっていくのです。ビジネスマナーの良い人と悪い人がいて、あえて悪いほうを選んで仕事をしたいと思う人などいません。

このように考えると、「別に10分遅刻したくらいで売上や利益に何の関係があるのか」ということも、理屈を辿っていくと関係があるのだということがおわかりになると思います。

本当の「自分流」は会社を飛び出す必要がある

確かに一部の著名な文化人の中には、ビジネスマナーとは無縁の個性的な言動で人気を集めている人たちもいます。それに影響を受けて「自分はビジネスマナーとか一般常識とか蹴散らして自分流で、会社で結果を出していくので」という人もいるかもしれません。

ただ、そうした文化人の方たちはネットで経歴を調べればすぐにわかりますが、「10代で既に自分流のやり方を押し通してブレイクした経験のある人」です。10代で「自分流」でブレイクした人たちは、自分自身で稼げるオリジナルの理論を10代で編み出しているので、 自己完結能力、自己責任能力が非常に高いです。

そのため、逆に既存の一般常識に押し込めるとむしろ本来の実力を発揮できないことがあります。その場合は、周囲の人間がビジネスマナーや一般常識をその人に1から教え込むというよりも、その人の生き方、考え方を尊重しつつ、サポート役のような形で接すると、その方が活躍し続けられます。

10代から自分で活躍できる人たちは、遅刻癖があっても挨拶ができなくても、身だしなみを気にしていなくても、「それでもいいから仕事をお願いしたい」とオファーがある、つまり「売上がとれる人」なのです。

しかし、世の中の多くはそういったタイプではありません。大人になってから地道にスキルを積み上げて結果を出していく努力型ではないでしょうか。そもそも「自分流でやっていきます」という人が、一般企業に入社して安定した給与をもらおうとしていること自体が矛盾しています。

まず自分が10代から遅くとも20代前半までに日本中の人が知っている活躍を自分の力だけでしたことがあるかどうかを考えてみると、自分流を貫くべきか、それともビジネスマナーや一般常識を備えつつ地道にスキルを積んだ先に自分のオリジナリティを出していくべきか、どちらが自分に向いているのかが見えてくると思います。

活躍している「異端児」は、遅刻をしていない

ちなみに、「異端」と呼ばれる人も、実際は最低限のビジネスマナーは備えている方がほとんどです。その証拠に、テレビのコメンテーターや、講演、セミナーで、「異端児」として登場する方も、時間通りに遅刻をせず会場入りしたり、パソコンの前でオンライン講演の開始時間を待ったりしています。本当の異端児でしたら、そうした講演会も無断欠席や遅刻を繰り返しているはずです。

企業側も遅刻癖のある人に講演依頼などはしませんので、異端と言われる方たちも、それは演出の部分がかなりあり、一見異端に見える人も「全て異端」ではなく、「考え方」「発想の仕方」などが異端であるだけで、「売上」について必要なビジネスマナーの部分は極めて全うな常識感覚を備えているのです。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:前田 康二郎 (まえだ こうじろう)

フリーランステレワーカー。数社の民間企業で経理総務・IPO業務等を行い、海外での駐在業務を経て独立。現在はフリーランスでのコンサルタント活動、講演・執筆活動の他、節約アプリ『節約ウオッチ』(iOS版)を運営している。 著書に『スーパー経理部長が実践する50の習慣』『AI経理 良い合理化 最悪の自動化』『職場がヤバい!不正に走る普通の人たち』『伸びる会社の経理が大切にしたい50の習慣』(以上 日本経済新聞出版社)、『スピード経理で会社が儲かる』(ダイヤモンド社)、『ムダな仕事をなくす数字をよむ技術』『自分らしくはたらく手帳』『つぶれない会社のリアルな経営経理戦略』(以上 クロスメディア・パブリッシング)、『経営を強くする戦略経理』(日本能率協会マネジメントセンター)など。最新刊は『図で考えると会社は良くなる』(クロスメディア・パブリッシング)

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