『RPAツール』と『マネーフォワード クラウド経費』との共通点

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今さら聞けない『RPAの基礎知識』 RPAとエクセルマクロとの違い、ほか。

「経理業務の自動化」で効率化を図りたい━━。しかし一口に「自動化」といっても、それぞれのツールが「得意とするところ」は異なり、一方で「共通点」もあります。

今回は、『RPAツール』と『マネーフォワード クラウド経費』の共通点から、「自動化」というものとちょっとだけ深く向き合ってみます。前回に引き続き、『RPAのはじめかた』著者のカワサキタカシさんに教えてもらいます。

「マネーフォワード クラウド経費」はRPAツール?

みなさま、前回の『RPAの基礎知識』はご覧いただきましたか?

『RPA』とは、「新しいものを生み出すこと」が得意な私たち『人間』と、「素早く・正確に作業をすること」が得意な『事務作業用のロボット』が一緒に仕事をする、“新しい仕事のカタチ“のことでしたね。

そして、私たちがパソコンで行う定型作業について、一連の流れを「分解」して、ひとつひとつの操作として「記録」、順番に「再生」することで、あたかも私たちの代わりに仕事をしているようなロボットを作り出す、というのが『RPAツール』なのでした。

ふむふむ。基礎の基礎はわかりましたね。

……おや?そう言えば、みなさまが普段使っている『マネーフォワード クラウド経費』もまた、さまざまな「ロボット機能(自動化機能)」が動いているツールですね。これって、RPAツールと呼んで良いのでしょうか?

RPAのロボットは、働き方改革を進める大きなソリューションだ!なんて言われていますが、マネーフォワードだって、最先端のバックオフィスツール群です。それでも、RPAツールがなければ自動化ってできないものなのでしょうか?

今回は、みなさまが使っている「マネーフォワード クラウド経費」を見ながら、『RPAロボットとの共通点』を考えてみることにしましょう。RPAツールを導入しないといけないような気はするものの、そもそも、今使っているマネーフォワードの仕組みとどう組み合わせるものなのか、曖昧になっている境界線の「スッキリ化」に挑戦です。

「RPAツール」と「マネーフォワード クラウド経費」の自動化機能の共通点

「RPAツール」と「マネーフォワード クラウド経費」、この2つのツールには、『自動化機能』に関して沢山の共通点があります。例えば、みなさまもマネーフォワード クラウド経費上でこんな機能を使っていますよね。

“口座・カード画面で口座やカードの情報を設定しておくことで、システムが自動的に対象のサイトにログインして、取引データを取得してきてくれる機能”

これは、「STEP1 Webサイトにアクセス」「STEP2 ログイン処理」「STEP3 カード利用履歴データの取得」「STEP4 Excelやデータベースにデータを格納」という、RPAのロボットが得意としている自動化作業のひとつです。

領収書一括アップロード画面で領収書をアップロードしたら、OCRシステムが領収書上の日付や金額を自動的に読み取って経費データに変換してくれる機能”

これは、「スキャナーで撮ったPDFデータの中の情報を、デジタルデータに自動的に変換させる」、所謂『AI-OCR』と呼ばれる、RPAの業界でも今非常に注目されている最先端の自動化機能のひとつです。

……あれ?なんだかRPAツールの紹介文を書いている気分がしてきましたよ。「一般的な自動化機能」から、「最先端の自動化機能」まで使えるとなると、もはやマネーフォワード クラウド経費もRPAツールと言えるのかもしれませんね。

要するに、『経費精算という業務に特化して、必要な分の自動化機能があらかじめ組み込まれている』のが、マネーフォワード クラウド経費なのです。

正直なところ、マネーフォワード クラウド経費を「単体」で使う分には、RPAツールを使う場面はほとんどないと思います。それくらい「経費精算」という業務について、自動化まで含めた処理手順がシッカリと考えられているツールなのです。

「RPAツール」と「マネーフォワード クラウド経費」を組み合わせる場面とは?

では、「マネーフォワード クラウド経費」を使っていて、さらに「RPAツール」を組み合わせる場面、というのは、どういう場面なのでしょう?

それは、「マネーフォワード クラウド経費の『外側』とのやり取りが発生していて、しかも、相手側のツールとの自動連携機能がマネーフォワード クラウド経費に用意されていないとき」です。

例えば、

マネーフォワード クラウド経費と「昔ながらの業務システム」
マネーフォワード クラウド経費と「一般的なWebサイト」
マネーフォワード クラウド経費と「Excelやスプレッドシート」

このようなツールと連携しようとすると、マネーフォワード クラウド経費に予め組み込まれている自動化機能では対応できない場面が出てきます。

いくらひとつのツールが優れた自動化機能を持っていたとしても、パソコン上で動く全てのツールが同じような仕組みで作られているわけではありません。ツールが作られた時代も、根底にある設計思想も違うわけですから、それは仕方がないことなのです。

そんな時こそ、RPAツールの出番です。RPAツールは、別名「接着剤ツール」と呼ばれていて(主にワタシに)、異なる複数のツールを『くっつけること』が得意なツールです。「面倒臭いなー」と思いながらも手作業で行っている、マネーフォワード クラウド経費の『外側』の部分の作業を、RPAのロボットに手伝ってもらう、というのが彼らの力を最大限に発揮させられる考え方なのですね。

「RPAツール」と「マネーフォワード クラウド経費」の考え方の共通点

せっかくここまで来ましたので、もう少しだけ踏み込んでみましょうか。

「RPAツール」と「マネーフォワード クラウド経費」、この2つのツールには、「自動化機能」だけではなく、ツールとしての『考え方』にも共通点があります。

それは、どちらのツールも「スーパーマンの『ベストプラクティス』を、全員の業務に反映させる」というテーマで作られているツール、ということなのです。

……おっと、なにやら急にムズカシイ話になってきましたよ。では、ほんの少しペースを落として、一歩ずつ解説をしていきましょう。

私たちが毎日使っているパソコンは本当に便利な機械です。一度入力したことはいつまでも覚えていてくれますし、わからないことは世界の果てまで調べてきてくれます。何より、文句のひとつも言わずに朝から晩まで休まず仕事をしてくれるのは大変助かります。こんなにも働き者のお手伝いさんが、少しのお金で手に入るのですから、良い時代になったものです。

ただ、これだけ時代が進んでも、未だにコンピューターが『自分で考えて仕事をする時代』は来ていません。朝会社に行ったら、パソコン君が全てのメールに対して適切な返信を送っていて、何ならお得意様との会話が盛り上がっていて、「カワサキサン、モウアナタハヒツヨウアリマセンヨ」とか言われちゃう。そんな「ロボットの反乱前夜」みたいな状況は(幸いにも)起こっていないのです。

これだけ優秀ながら、『未だに道具である』ということが、パソコンの現状です。しかし、それは同時に、『使う側(我々人間)の技量次第で、発揮できる性能に大きな差が出てしまう』ということを表しています。

つまり、『Aさんが2時間かけてやった作業を、Bさんは10分で終わらせる』ということが起きてしまう、ということなのですね。人間はコンピューターのように「画一的な性能」を持っていませんので、これはある意味「仕方がないこと」です。

ただ、それはBさんにとっては「すごいね!」と褒められることなのですが、組織全体という視点で見てみると、必ずしも「最善なこと」ではありませんよね。

Bさんというスーパーマンが行う「最適な作業の組み立て方」を、Aさんをはじめ組織内の誰でも使えるようにする。これが、『ベストプラクティス』という考え方です。

RPAのロボットは、機能的には「ものまねロボット」ですので、単に私たち一人一人の作業を『代わりにやらせる』というイメージがあると思います。しかし、実際の導入においては、まず「自分たちの作業における最適な手順は何か」ということを考え、その『最適な作業手順』に従ってロボットを作成することが重要なポイントになるのです。

当然、今まで我流で作業を行っていたAさんにしてみれば、(Bさん流の最適な作業手順に従って作られた)ロボットに合わせて作業を行うことに、最初は戸惑う場面が出てきます。

「今までのやり方のほうがわかりやすかったのに−!」
「あれ?次はどうすれば良かったんだっけ?」

うんうん、どこかで見たような景色ですね。そうです、「旧来のITツール」から、『マネーフォワード クラウド経費』に切り替えた時に見たのと同じ光景です。

ただ単にツールを導入する、というのではなく、ツールを導入することをキッカケに、業務(作業)の見直しを行う必要が出てくる。そうすることで、ツールが持つ本来の力を発揮できるようになると同時に、私達の仕事もより効率が良いものにレベルアップする。

この2つのツールには、そんな共通点もあるのですね。

RPAロボットを上手に迎え入れるコツ

おつかれさまでした!『RPAツールとマネーフォワード クラウド経費との共通点』、いかがでしたか?今回は、一見全く違うように見える2つのツールの「似ている部分」を、ググッと掘り下げて見てみました。

最先端のツールは、どれも実に豊富な機能を持っています。それ自体はもちろん良いことなのですが……少しだけ困ったことに、別物だと思って導入してみたら「実は意外と機能が重複していた」、なんてことも少なくありません。特にRPAツールは、そんなややこしさを持っているツールだと思います。

大切なことは、RPAツールが謳っている「自動化」や「ロボット」というキラキラした言葉の響きに心を奪われずに、まずは今自分たちが使っているツールについて、「何が得意で」と「何が苦手か」という境界線をスッキリさせておくことなのです。

『RPAツールを導入してみたけど、なんだか期待外れだったなー』

この言葉、実は意外とよく聞く言葉だったりします。せっかく高いRPAツールを思い切って導入したのに、そんなことになってしまっては元も子もないですし、RPAロボット君たちもパソコンの中で「そんなー!」と悲しんでいるに違いありませんね。

最先端のツールは機能が沢山あって追いかけるのが大変なのですが、ひとつひとつ必要な情報を整理して、ちゃんと彼らが大活躍できる場面を見極めてから、暖かく迎え入れてあげましょう。上手く馴染むことさえできれば、彼らは日々誰かのベストプラクティスを組み込んで、皆の業務の効率をみるみる上げてくれますよ。

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