RPA・BizRobo!が生んだ2拠点ワーク&ライフスタイル━━「ロボットと働く」は働きかたをどう変える?

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煩雑な事務作業をロボットで代替する「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」は、社員の働き方を変え、新たなライフスタイルの選択肢が生まれると期待されています。ロボットは実際にどのように業務で使われているのか、RPAホールディングス株式会社でバックオフィス業務を担当する保阪麻有さんにお話を伺いました。

半年前、保阪さんは夫の転勤により、「会社を辞めるしかない」というところまで追い詰められていたといいます。それを解決したのは、RPAの「BizRobo!」導入だったと言います。

会社の成長とともに、バックオフィス業務の効率化・標準化が急務に

――現在どのようなお仕事をされていますか。

RPAホールディングスはグループ会社6社の持ち株会社です。私の所属する経営管理部には、グループ会社のバックオフィスの役割があります。現在は私も含めた4名のスタッフがそれぞれ会社単位で担当して、経理を中心に関連する総務、労務、財務経理全般を行っています。

――RPAを導入する前の課題を教えてください。

現在グループ会社の売り上げが伸びている分、業務量がどんどん増えていくのがつらかったですね。請求業務、支払業務合わせてスタッフ1人あたり毎月数百件を処理しなければなりません。
請求業務は営業担当者から請求のデータをもらって私たちがシステムに入力するフローになっています。営業担当者も金額を確定させる調整作業に追われるため、締め日ギリギリになってからデータが来ることが多くなります。請求書の発行を遅らせることはできないので、月末は作業が集中して、深夜まで仕事をしていました。
コストセンターである私たちの部署では、人手を増やさずにより多くの業務量をこなすことがひとつの指標として求められます。そのため、業務の効率化は大きな課題でした。

私はもともと営業をやっていて、経理業務は未経験でした。最初はグループ会社6社のすべての経理業務を1人のスタッフが担当していて、その後会社単位でそれぞれのスタッフが業務を引き継いだのですが、手順が細かく決まっていたわけではないので、経験の浅い私や他のスタッフは業務を手探りで進めていました。その結果、スタッフごとに同じ業務でもやり方がバラバラになってしまったのも問題となっていました。

一番しんどくてやりたくない業務から、ロボットに任せる

――RPAはどのようにして導入したのでしょうか。

グループ会社であるRPAテクノロジーズでは、RPAツール「BizRobo!」を開発しています。そのためロボットを熟知しているエンジニアはたくさんいますが、私たちの業務を理解している人はいません。反対に私たちは業務はわかりますが、ロボットがどのように使えるのかわかりません。そこで、エンジニアと私たちでプロジェクトを立ち上げ、一緒にロボット導入に取り組みました。

プロジェクトでは、まずどの作業をロボットに任せるかを検討しました。具体的には、単純作業かつ量が多く、定期的に(毎月)発生するもの、また今後も確実に増えていくものをあげていきました。

その中でも、最初にロボットに移行する作業として選んだのは請求処理、月次決算です。業務は担当者それぞれで違ったやり方をしていたため、現状どのようなやり方をしているか、ひとりひとり作業手順を洗い出していき、業務の標準化を行いました。

そして、標準化した業務について、ロボットに任せる作業と人間の判断が必要な作業に分割していきました。どの業務でも人間の判断が必要な部分が必ずあるため、ロボットと人間とで作業を分担する必要があります。ロボットに任せるべき作業は、人が判断する必要性がない上、人の手によると多くの時間と手間を必要とする業務です。エンジニアに相談して、人間は入力するデータをExcelにまとめ、ロボットがExcelデータをもとにシステムに入力する作業を担当することになりました。最終的に、「Excelのこの列にこの値が入った時はこの処理をする」というように、ロボットの設定を決めました。

――かなり大変な作業ですね。

最初にロボットを導入する時が一番大変だと思います。みんなで集まって業務を標準化し、ロボットとの分担やロボットの細かい設定を検討するのは時間がかかります。しかも導入作業は普段の業務と並行してやらなければならないので、想像以上に大変でした。

ただ、最初のロボットを作ってしまえば業務が効率化されます。空いた時間を使って次のロボットを検討する、ロボットが増えたことでさらに空いた時間で次のロボットを検討する…というような流れができます。そうなると業務がどんどん楽になり、余裕が生まれました。

作業負荷軽減だけでなく、業務標準化のメリットも大きかった

――最初のロボットはどのような効果がありましたか。

請求処理と月次決算をロボットに任せたのですが、数日かけてやっていた入力作業をロボットの分担だけであれば数分で終わるようになりました。そのため請求業務が集中する日でも、深夜作業をすることはなくなりましたね。月次決算についても8営業日かかっていたものが4営業日で終了するようになりました。

業務を標準化することができたのも大きな収穫です。ルール化したことで他のメンバーと助け合って仕事をすることができるようになりました。また、他のスタッフと業務のやり方を統一する過程で、今までなんとなくやっていた無駄な作業を発見することができました。

今は社員の勤務時間の算出や、残業時間の上限の超過チェック、いろいろなデータを集めて経営資料を作成する業務など、ロボット化する業務の範囲を広げています。

RPAによって、働き方の選択肢が増えていく

――ロボットと仕事を分担することで、働き方が変わりましたか。

働き方の選択肢が増えたと思います。私はロボットを入れ始めたころに、夫の転勤で茨城に引っ越しました。しかも、毎日オフィスに通うのは難しい場所です。いろいろ考えると、退職するしかないかなとあきらめていたんです。でもロボットを導入してみると……、次第にある程度作業を任せられるようになり、ついには「このまま働き続ける選択肢もあるんじゃないか」という希望が芽生えてたんです。

ロボットがいるおかげで、コミュニケーションが必要な作業や請求書など紙が必要な作業以外はオフィスに出勤しなくても作業できます。そこで、月の半分をリモートワークさせてほしいと上長にお願いし、許可されました。知らない人ばかりの土地で新しい仕事を探すのを不安に思っていたので、ホッとしたのを覚えています。

今はコミュニケーションが必要な作業は他のスタッフにお願いして、その分1人でできる作業を引き受けるよう分担を少し変えて、月末と月初以外は自宅で作業をしています。ロボットを導入したことで、フルリモートで働くようになったスタッフもいます。ロボットがいなければ、リモートワークは不可能だったと思います。

――リモートワークをするようになって、ライフスタイルはどのように変わりましたか。

家事をするのがとても楽になりましたね。仕事しながら洗濯やちょっとした用事が片付けられるのでとても助かっています。あとは料理のメニューに煮込み料理が増えました(笑)。大根を煮るのは時間がかかりますが、火加減だけ見ていれば仕事をしながらでもできますからね。
また、通勤時間がなくなったこともとても大きいです。業務が終わったらすぐに夕飯の支度などに移れるので、その辺りはすごく助かっています。
今は仕事も家事も無理なくできて、生活が充実しています。

私たちの上司は、「さらに業務を効率化して週休3日にするのが目標」と言っています。働く時間や場所に制約がないスタッフも含めてです。週休3日になったら旅行にも行きやすくなりますし、楽しみが広がると思うとワクワクします。

関わるすべての人の働き方を良くしていきたい

――今後チャレンジしていきたいことはありますか。

紙の情報をデータ化したいですね。OCRも進化していて、異なる請求書のフォーマットをAIで判断することもできるようになってきているので、そうした技術を取り入れていきたいです。

またバックオフィス部門だけでなく、経費精算など事業部門が関わる業務も改善していければと考えています。さまざまな仕事している人の声を吸い上げて、すべての人の働き方を良くしていきたいですね。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:山際 貴子

早稲田大学文学部卒業後、システムエンジニアとして独立系SI会社など4社を経験し、プロジェクトリーダーとして大規模プロジェクトの開発に携わる。その後、フリーライターとして独立。企業取材、インタビュー、コラム執筆などを中心に活動している。独自の視点から複雑な事象をわかりやすく解説することを得意とする。ラーメン好き、落語好き、お酒好き。



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