交渉力のあるフリーランスになるには

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フリーランスには交渉力が必要です。

価格交渉、業務の範囲交渉、そして納期の交渉など、交渉が必要なシーンはいくらでもあります。ただ、営業出身のフリーランスの方であればともかく、技術者の出身のフリーランスの方では、「交渉が苦手」という方も少なくありません。

今回は、フリーランスの交渉力、について書いてみたいと思います。

フリーランスに交渉力が必要なシーン

例えばお客様から「この見積り、ざっくりでいいので今いくら位か、教えてくれない?」と言われた時、慌てて価格を言ってしまい、「安めの仕事になってしまった」という方も多いと思います。

また、「これ、作業的はちょっとしかないので、今の業務範囲に含めて欲しいんだけど?」と顧客から交渉を持ちかけられた時も、「いいですよ」と安請け合いしてしまい、後悔した方も少なくないのではないでしょうか。

上のようなシーンで役に立つのが、「交渉力」です。交渉は慣れによって上達するため、ある程度実践して経験を積まないとうまくなりませんが、それでも原則を知っているのと知らないのとでは上達のスピードがかなり違うのではないかと思います。

交渉力をつける施策

それでは、交渉力をどのように上達させるか、原則をご紹介していきましょう。

1.選択肢の確保

交渉力を強くするために最も必要なのは、「これの交渉を決裂させても構わない」という選択肢を持つことです。

実際、「取引先が1社しかない」状態では交渉はほぼ不可能です。交渉が決裂=敗北 となってしまい、相手の要求を飲む選択肢しか無い、という状態に陥ります。

「まあ、代わりはいくらでもいるから」という状態であれば、逆に交渉相手を値踏みし、相手に交渉の条件を検討させることができます。

従って、肝心なのは「交渉相手に執着しないでいられる」だけの、営業力やマーケティング力ということになります。多くの場合、仕事がたくさんある場合はますます条件が良くなり、仕事が少ししかない場合はますます条件が悪くなる、という循環ができますから、小手先の対策よりも営業とマーケティングに力を入れましょう。

2.後出し

交渉における原則の2番めは、「条件を言うのは相手よりも後」にすることです。

営業の経験がある方はよくご存知かもしれませんが、交渉は先に条件を言ったほうが完全に不利です。つまり後出しが交渉の原則です。

ただし、相手も交渉慣れしている場合はこちらに条件を先に言わせようとするでしょう。

その場合、こちらの条件は常に高めに言うようにします。高めに言うのは怖いのですが、実際に適正価格に合わせようとすれば、高めに言うほかはありません。

1.選択肢の確保ができていない場合はここで腰が引けてしまい、低めの金額を言ってしまうので後で後悔することが多いです。

また、面白い現象ですが「高めに言う」と、取引先はあなたをもっと魅力的に感じます。高いものは質が良いように感じるのです。

3.間を置く

交渉における原則の3番めは、「間をとる」というテクニックです。

例えばあなたが「予算はいくらですか?」と相手に聞き、それに相手が回答したとします。その回答があなたの思い通りの金額だった場合、即答したくなるのですが一度冷静になって考えて下さい。

・本当に相手の思っている条件と同じか?
・あなたが見落とした条件はないか?
・金額は本当に妥当か?

多くの場合、相手と自分が満足の行く条件、というのはかなり考え抜いた先に存在します。すぐに折り合いがつきそうな条件の時は一度疑ってみる必要があるのです。

したがって、重要なポイントについては必ず相手に質問をしましょう。確認できたら、交渉成立です。

4.文書をうまくつかう

相手も自分も話し合いにおいては同程度の交渉力だと仮定すると、次に交渉力の優劣を決めるのは、「文書化」です。交渉の内容は必ず文章や契約書にまとめましょう

この作業はやや面倒なのですが、「文章をまとめたほうが交渉力が高まる」と憶えておくとよいでしょう。なぜなら、すべての条件を話し合いにおいて決めることはできないため、契約書などをつくるときには「この条件、話していなかったけどこっちでとりあえず決めてしまおう」ということができるからです。

話し合いと異なり、こちらは「先出し」のほうが有利です。無論、取引先の法務などがチェックを入れる可能性はありますが、法務は現場をあまり知らないため、こちらの条件が多少有利でもあまり文句を言いません。

また、相手も契約書を丹念にチェックしていない方が多い場合はこちらの条件がそのまま通る、ということもありますので、支払いの時期や方法、検収期間などはそれなりに有利な条件で進めることも可能です。

5.交換条件

ここは相手の要求を飲むが、ここはこちらから要求を出す」という代替案を用意しておくことは、交渉のテーブルに付く前にかならずやっておく必要があります。

取引先が大手企業の場合、社内的な評価に響くので価格や納期については「絶対にここは引けない」というポイントが有ります。しかし、「絶対に引けないポイント」をこちらが飲むことで、多少の罪悪感は相手に残ります。それを利用し、こちらからの要求を出すことはとても重要なテクニックです。

まとめ

まとめると、ポイントは以下の5点です。

・交渉相手が全てではない、という選択肢を持つ
・交渉は後出しが有利
・即答は避け、質問する
・文書を出して機先を制する
・交換条件は事前に検討

相手が大手であっても交渉の余地はあります。また、交渉に応じない相手と取引をする必要は全くありません。

頑張ってください!

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