日本の企業の中に、Appleの役員が見学に来たことがある企業があります。しかも、その企業は都心ではなく、新潟にあります。会社の名前はスノーピーク、高品質なアウトドア製品を作る企業です。
では、スノーピークとはどんな会社なのでしょうか。今回は『スノーピーク「好きなことだけ!」を仕事にする経営』という本からその魅力とエピソードを紹介します。
1.徹底的に品質にこだわる
自社の製品にこだわりを持つことはどの企業でも実践していることでしょう。しかし、スノーピークの場合はそのこだわりが頭ひとつ突き抜けています。
スノーピークは、スノーピークウェイというキャンプイベントを開催しています。このイベントでは、社員とユーザーが一緒にキャンプをします。この時に、自分の作った製品に対して実際のユーザーから直接フィードバックを受け取ることができます。
こうした実際のユーザーとの触れ合いの機会を持つことで、ひとりよがりな製品が生まれることを防ぐのと同時に、ユーザーに恥ずかしい製品を売ることはできないという意識を社員が持つことにつながっています。
2.製品に哲学がある
スティーブ・ジョブズの作ったAppleの製品はどれにもAppleらしさが宿っています。それは、機能性へのこだわりであったり、製品自体を支えている精神的な価値によるものです。
スノーピークの山井太社長自身もAppleのファンであり、この姿勢に大きく刺激を受けてきました。そのため、製品の品質にこだわることはもちろん、販売店舗のディスプレイまでこだわっています。
Appleの商品は専用のブースで売られていることで有名です。スノーピークも同様に、専用の売り場を確保して製品を販売しています。また、販売スタッフの多くは専門のキャンプ研修を受け、販売製品の魅力を実体験を伴って顧客に伝えることができるようになっています。
自社の製品の品質はもちろん、届ける方法にまでこだわることで通常アウトドア製品の年間坪単価が100万円のところ、スノーピークは2.5倍の250万円を売り上げることができるようになりました。
3.キャンプをするために週休2日に変えた
スノーピークの経営戦略の特徴のひとつに、マーケティングをしないというものがあります。ですが、スノーピークの製品の中にはヒットしているものが多くあります。では、一体どうやって製品を企画しているのでしょうか。
それには2つの仕掛けがあります。ひとつ目の仕掛けは、ひとつの製品を一人の社員が責任をもって企画からデザイン、量産まで行っていることです。こうすることで、その製品に対して強いこだわりを生み出すことができます。さらに、先ほど紹介したスノーピークウェイなどのイベントでユーザーから直接フィードバックを受け取ることで次になにを改善すればいいのかを明確に理解することができます。
2つ目の仕掛けは、社員自身が積極的にキャンプを楽しんでいることです。スノーピークの本社は新潟県三条市のキャンプ場の中にあります。社員の中には1日会社で働いて、その夜は目の前のキャンプ場のテントで眠り翌朝出社するといった人もいます。
また、山井太社長がスノーピークに入社した当初は週休が1日でした。しかし、それではキャンプに出かけられないと当時の社長に訴え、週休2日に変えたというエピソードもあります。
4.売れなくても慌てない
スノーピークの特徴のひとつに、めったなことでは値引きをして販売しないというものが挙げられます。これは、高品質な製品にはそれだけコストが必要なため、適正な価格で販売しなければならないという信念があるためです。
適正な価格で販売することは、なかなか真似できることではありません。しかし、スノーピークは新潟に広大な土地を持つことで、在庫を自社倉庫で管理することができます。結果として、在庫の保管コストを小さく済ますことができます。
また、スノーピークは、無借金経営を続けており、財務的に強い状態であることがこれを可能にしています。自社の財務状況を適切に把握し、管理することで品質にこだわった製品を生み出し続けることを可能としているのです。
まとめ
スノーピークの魅力を一言で表すとその製品へのこだわりと言えるのではないでしょうか。製品にこだわるために、ユーザーとの交流を続け、製品の裏に信念を込め、届けるところまで設計します。そして、最後にこれらのこだわりを支えるために健全な財務体制を持つことにまでこだわっています。
みなさんは、自分の仕事に対してどんなこだわりをもっていますか?ぜひ一度振り返ってみてください。
▼出典▼
『スノーピーク「好きなことだけ!」を仕事にする経営』
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