有給管理の管理業務における実態調査
作成日:2026年5月22日
1. 調査概要
本レポートは、お勤め先において従業員の有給休暇の管理業務(付与日数の算出、取得状況の把握、ルールの運用など)に携わる人事・労務担当者646名を対象に実施した調査結果をまとめたものです。有給管理に用いるツールや申請方法、実務上のボトルネック、運用において重視されるポイントの実態を明らかにし、自社の制度設計・運用改善にお役立ていただけます。
- 調査時期:2026年4月
- 調査方法:Fastaskによるアンケート調査
- 調査対象:お勤め先で従業員の有給休暇の管理業務に携わる人事・労務実務担当者
- 有効回答数:646名(全回答者837名のうち、管理業務に「携わっている」と回答した77.2%)
- 回答者属性:従業員10名以下~1,001名以上まで幅広い企業規模を網羅
回答者の勤務先従業員規模
- 1,001名以上:23.7%
- 101名~300名:21.1%
- 51名~100名:17.0%
- 11名~50名:15.0%
- 501名~1,000名:9.1%
- 301名~500名:7.9%
- 10名以下:6.0%
- わからない/答えられない:0.2%
2. 調査結果サマリー
4つのポイント
- 管理ツールは「専用クラウドサービス」と「Excel」が拮抗し、デジタルとアナログが混在
- 申請方法は「システム直接入力」がトップだが、約3割が「紙の申請書」を併用
- 工数のボトルネックは「複雑な取得形態への対応」と「日数の計算・時効管理」
- 運用で重視されるのは「システム連携」「従業員の自己解決」「アラート機能」
3. 調査結果の詳細
3-1. 有給休暇の管理ツール・方法
現在どのようなツールや方法を用いて有給休暇を管理しているかを尋ねました。
- 勤怠管理に特化したクラウドサービス・パッケージソフト:44.1%
- 表計算ソフト(Excel、Googleスプレッドシート等):40.9%
- 人事情報全般を管理する統合型システム(ERP等):28.8%
- 紙の台帳や書類:25.2%
- 自社開発の独自システム:22.0%
- 具体的な管理ツールは特になく、各現場や個人に一任している:1.9%
- その他:0.8%
- わからない/答えられない:0.6%
「勤怠管理に特化したクラウドサービス・パッケージソフト」(44.1%)が最多でしたが、次いで「表計算ソフト(Excel等)」(40.9%)が拮抗し、「紙の台帳や書類」(25.2%)も4分の1を占めるなど、デジタルとアナログが混在している現状が明らかになりました。とりわけ女性40代では「表計算ソフト」がクラウドサービスを上回っており、現場の裁量でExcel等が多用されている実態がうかがえます。
3-2. 有給休暇の主な申請・受付方法(複数回答)
従業員が有給休暇を取得する際の申請・受付方法を尋ねました。
- 勤怠・人事システム上での直接入力・申請:41.8%
- 紙の休暇申請書の提出:33.4%
- メールやチャットツール(Slack、Teams等)での連絡:32.7%
- 社内ワークフローシステムや専用フォームからの申請:30.8%
- 口頭による報告:26.6%
- その他:0.3%
- わからない/答えられない:0.5%
「勤怠・人事システム上での直接入力・申請」(41.8%)がトップである一方、「紙の休暇申請書の提出」(33.4%)や「メールやチャットツール」(32.7%)、「口頭による報告」(26.6%)も根強く残っており、複数の申請ルートが並存していることがわかります。若手層ではチャットベースのカジュアルな申請が浸透している傾向も見られ、申請経路の分散が管理の煩雑さにつながっていると考えられます。
3-3. 管理実務において特に工数がかかっている作業(複数回答)
管理実務において特に工数がかかっている作業を尋ねました。
- 半日単位や時間単位など、複雑な取得形態への対応:29.6%
- 繰り越し分の有効期限(時効)の管理:28.9%
- 入社時期や労働条件に応じた付与日数の算出:28.5%
- 休暇の申請・承認フローの処理:26.9%
- 給与計算システムへのデータ連携:25.9%
- 取得状況の定期的なモニタリング:22.3%
- 従業員本人や現場責任者への取得に関する案内・共有:19.3%
- 特に負担となっている作業はない:8.0%
- その他:0.5%
- わからない/答えられない:0.5%
「複雑な取得形態への対応」(29.6%)、「繰り越し分の有効期限(時効)の管理」(28.9%)、「付与日数の算出」(28.5%)など、計算やイレギュラー対応に関連する項目が上位に挙がりました。単なる記録ではなく、条件によって変わる日数の計算や、半休・時間休といった変則的な処理が人事の負担となっている実態が浮き彫りになっています。特に男性20代では付与日数の算出を課題とする割合が突出して高く、若手担当者が複雑な算出業務に苦労している様子がうかがえます。
3-4. 運用において実務担当者が最も重視している点
現在の管理方法やツールの運用において最も重視している点を尋ねました。
- 既存の給与・人事システムとのデータ連携のしやすさ:18.1%
- 従業員本人がリアルタイムに残日数を確認できる利便性:17.8%
- 操作がシンプルで、ITに詳しくない従業員でも利用できること:17.6%
- 導入や維持にかかるコストの低さ:14.4%
- 取得状況の可視化やアラート機能など、管理漏れを防ぐ仕組み:13.5%
- 法改正などへの自動的なアップデート対応:13.3%
- 特に重視している点はない:4.3%
- わからない/答えられない:0.9%
- その他:0.0%
「既存の給与・人事システムとのデータ連携のしやすさ」(18.1%)が最多となり、次いで「従業員本人がリアルタイムに残日数を確認できる利便性」(17.8%)、「操作のシンプルさ」(17.6%)が続きました。システム間の分断による二度手間の解消に加え、従業員からの個別の残日数照会に対応する手間を省きたいという、現場の切実なニーズが表れています。
4. 調査結果から見える課題と対策
本調査の結果から、有給休暇の管理において多くの企業が直面する3つの課題と、その対策の方向性が浮かび上がりました。
課題①:Excel・紙の台帳に依存した「名もなき計算作業」の限界
約4割がExcelを利用し、4分の1が紙の台帳を併用しています。人によって違う付与日数の計算や、2年で消滅する繰り越し分の時効管理を手作業で行うことは、従業員数が増えるほど破綻のリスクが高まります。
対策の方向性:付与から消滅までを自動計算できる仕組みを導入し、入社時期や労働条件に応じた個別計算や時効管理を自動化することで、属人的な手計算によるミスと工数を削減することが重要です。
課題②:複雑化する取得形態への対応負担
多様な働き方に合わせて半休・時間休などを導入した結果、最も工数がかかる作業が「複雑な取得形態への対応」(29.6%)となっています。変則的な処理は計算ミスや管理漏れを招きやすく、担当者の大きな負担となっています。
対策の方向性:半日単位・時間単位の取得にも対応したツールを活用し、就業規則の整備と合わせて運用ルールを標準化することで、変則的な処理を仕組みで吸収できる体制を構築しましょう。
課題③:従業員対応の属人化と問い合わせ負担
運用で重視される点の上位に「従業員本人がリアルタイムに残日数を確認できる利便性」が挙がっています。これは裏を返せば、従業員から「私の有給、あと何日残っていますか」と個別に問い合わせを受ける対応が、担当者の地味なストレスになっていることを示しています。
対策の方向性:従業員自身がスマホ等から残日数を確認・申請できる環境を整え、年5日の取得義務に対する自動アラートを設定することで、問い合わせ対応をゼロに近づけつつ、法令違反のリスクも防ぐことができます。
5. まとめ
本調査により、有給休暇の管理において多くの企業が「アナログ依存の計算負担」「複雑な取得形態への対応」「従業員対応の属人化」という3つの課題を抱えていることが明らかになりました。
- アナログ依存の計算負担:約4割がExcel、約4分の1が紙の台帳を併用 → 付与計算・時効管理の手作業によるミスと工数の増大
- 複雑な取得形態への対応:最大の工数ボトルネックが半休・時間休などの変則処理 → 計算ミス・管理漏れのリスク
- 従業員対応の属人化:残日数照会への個別対応が担当者の負担 → 問い合わせ工数の増加と取得義務未達のリスク
これらの課題を解消するためには、付与・時効計算の自動化、半休・時間休を含む取得形態への対応、従業員のセルフ確認・申請環境の整備を一体で進めることが重要です。担当者を悩ませる「複雑な個別計算」と「アナログな管理・やり取り」を仕組みで解消することが、人事の生産性向上と従業員満足の両立につながります。
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出典
マネーフォワード クラウド、有給管理に関する調査データ(回答者:837名(有効回答:有給休暇の管理業務に携わる646名)、集計期間:2026年4月実施)
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