商社向けの会計ソフトの選び方・比較すべき項目
更新日:2024年2月13日
商社が会計業務の効率化を進めるべき理由
商社の基本的な事業内容は、商材の売り手と買い手の仲介をすることです。しかし商社業界は変化が激しく、商社の仲介なしで直に取引を行う会社が増えている中で、事業への投資や新たな事業の経営を行う商社も増えています。
この流れに伴い、取引先の数や業界の種類も増え、取引数も多くなるでしょう。さまざまな取引内容や取引先の情報を管理し、把握する必要性が高まっています。規模や事業内容の拡大によって、国内外に拠点を増やす商社もあるでしょう。どの拠点に属していても、自社全体の状態を把握しておくことは大切です。
どのような商社であっても、経営資源には限りがあります。商社の業務量は膨大であるため、効率的に取引に関する情報を管理して、経営に活かしていく必要があります。
商社における会計業務で悩みがちなポイント
①損益データをスピーディーに確認したい

商社で取り扱う商材の数や種類は多く、仕入先や得意先の業界もさまざまです。取引数も多いため、「どこから何をどれだけ仕入れたのか」「どこに何をどれだけ売り上げたのか」を管理する必要があります。
入力作業に時間がかかってしまうと、全体や分野ごとの損益データを把握するのが遅くなってしまうでしょう。とくに変化の激しい商社業界では、損益データを迅速に把握し、経営に活かしたいものです。
②売上の記帳を効率化したい

全体や分野ごとの損益データを把握するには、一つひとつの取引の入力が不可欠です。ただし、膨大な量の取引を正確に入力するには時間がかかり、従業員の負担も少なくありません。
とくに売上は、複数の取引先が月末などの同じタイミングで入金することが多く、処理の負担が集中します。しかし、入金日のためだけに増員することも現実的ではありません。従業員の負担を抑えた効率的な記帳の方法を考える必要があります。
③顧問税理士や他拠点とリアルタイムで連係したい

顧問税理士のサポートを受けている場合は、情報の共有が重要です。税理士と経営状況を共有することで、適切な戦略の策定や経営事項の決定ができるでしょう。
しかし、共有するためにその都度ファイルを送信しなければならなかったり、税理士に見せるために情報をまとめる作業が必要であったりすれば、従業員の負担となるうえにタイムラグも生じます。
商社における会計業務に役立つクラウド会計ソフトの機能
①リアルタイムでレポートを作成する機能
会計ソフトを導入するメリットの一つは、自動的にレポートが作成される点です。必要な数値をグラフ化したり、期間ごとの試算表を作成したりできるものがあります。
この機能を活用すれば、情報共有のためにわざわざデータを作成する必要はありません。入力を行うとすぐにデータに反映されるため、常にリアルタイムの状況を把握できます。
②銀行口座・クレジットカードとの連係
銀行口座やクレジットカードの取引明細と連携できる会計ソフトを選べば、自動で入出金のデータを取得可能です。会計ソフトによっては、AIが仕訳を予測して提案するものもあります。従業員は正しい仕訳かどうかをチェックし、承認や修正をするだけで入力が完了します。一つひとつの仕訳をすべて入力することに比べて遥かに迅速に入力でき、大幅に効率化できるでしょう。
③複数人、複数拠点で同じデータを確認できる
クラウド型の会計ソフトなら、パソコンとインターネット環境さえあればログインできます。そのため、複数の拠点を持つ商社であっても、すべての拠点で同じデータの確認が可能です。税理士との情報共有にも活用できるでしょう。複数人が同時に処理や確認ができる点もメリットであり、それぞれが必要なタイミングで必要な情報を得られます。
参考となる会計ソフトの導入事例
会計ソフトと他サービスの連携で支払業務を削減
水産加工食品や冷凍魚介類の製造や商社・卸売と幅広い事業を行う株式会社オカフーズさまは、仕事環境の整備や業務改善に力を入れられています。
「マネーフォワード クラウド会計」と関連ソフトを連携して活用することで、支払業務の手順を半数以下に減らしました。経理業務の80%以上を在宅でできる環境構築に成功し、オフィスをよりよくしていくためのプロジェクトに着手するなど、新しい取り組みにつながっています。
リモートワーク対応と経営状況の把握を両立
株式会社藤井大丸さまは、商社・卸売・小売を行う京都の老舗百貨店です。リモートワークへの対応とスピーディーな経営状況の把握を目指して、自社システムから「マネーフォワード クラウド会計Plus」へ移行されました。操作画面の見やすさや使いやすさも導入の決め手の一つとなったそうです。
月次決算にかかる日数が3日ほど短縮され、従来に比べて紙の利用が半分以下になるなど、さまざまな効率化につながっています。