フリーランスの救世主?クラウドソーシングのメリットとデメリット

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「クラウドソーシング」という言葉を生み出した人物、ジェフ・ハウとマーク・ロビンソンによれば、クラウドソーシングは以下の定義となります。

「クラウドソーシングは、かつて従業員によって実行されていた機能を、公募するような形で不特定(かつ一般的には大規模な)人々のネットワークにアウトソーシングする企業や機関の行為のことを指す。これは、集団労働(作業が協調的に取り組まれる場合)の形を取ることができるが、しばしば、単独の個人によっても行われる。重要な前提条件は、公募形式と潜在的な労働者の大規模なネットワークを使用することである。」

出典:Wikipedia

この定義にあるように、専門性の高い仕事をwebにより不特定多数に外注できるようになったことで、フリーランスにとってはひとつの転機が訪れました。

例えば、クラウドソーシングの出現の最大の影響として、「仕事の相場の変化」があります。これまで「価格があって無きが如く」だった業界に、「価格の見える化」が持ち込まれることは、必然的に相場の下落がもたらされます。

また、新規参入障壁も下がるため、コンペティションも増えることとなります。

一方で、「営業が苦手」で「人脈が少なく」ても、仕事を容易に見つけることができたり、「指名を受けられる」人は逆に仕事を選ぶことができたりと、メリットもあります。

従って、クラウドソーシングは、それを使うか、使わないかにかかわらず、フリーランスのあり方を変化させるのです。

今回は、そのような現状を踏まえ、クラウドソーシングのメリットと、デメリットについて、改めて考えてみたいと思います。

クラウドソーシングのメリット、デメリット

まずは、クラウドソーシングのメリットと思われることです。

クラウドソーシングのメリット

1.営業しなくて良い。

フリーランスの方々は「元営業」という方よりは、「元技術者」の方が多いと思います。それ故、「営業」はそれなりに高いハードルです。

もちろん営業抜きにフリーランスを続けていくことはできないですが、初期の頃の営業に不慣れな部分をカバーするという使い方はできるでしょう。

2.仕事の選択可能性の広がり

特定の顧客との付き合いが深まると、時として「苦手」であったり、「あまり気の進まない」仕事をやらざるを得なかったりする場面が出てくるかもしれません。

そういったしがらみのないクラウドソーシングであれば、得意で、好きな仕事を選んで行うことが可能です。

3.業務負荷の平均化が可能

クラウドソーシングには一般的に、「半年、1年かかる」重い仕事はありません。1週間単位でこなせるような仕事が大半を占めます。

したがって、「業務負荷の先が読める」ことで、一時期に負荷が集中し、仕事のクオリティを下げてしまうようなことを避けるコントロールが可能です。

4.新規開拓の容易さ

フリーランスにとって、新規開拓は大きな課題の一つです。いつまでも特定の顧客に依存するということは、大きなリスクを抱え込むことになるからです。

新規開拓は一般的に容易ではありません。しかし、クラウドソーシングを利用することにより、新規開拓のハードルは劇的に下がります。

クラウドソーシングのデメリット

1.相場の下落

最も大きなデメリットとして多くの方が挙げるのは、相場の下落です。例えば今まで50万円程度で受注していた案件が、クラウドソーシングでは10万円で募集されている、しかも10万円で引き受けている人が存在している、という事象は珍しくありません。一種の「ダンピング」という方もいます。

2.顧客とのコミュニケーション障害が発生する

良い仕事をするには、顧客との良いコミュニケーションが不可欠です。しかし、発注者の知識レベルや受注側の経験などが不十分な場合、しばしば顧客とフリーランスの間でコミュニケーション障害が発生し、これが「フリーランス不信」や、「金銭の揉め事」の原因になっています。

3.仕事のクオリティの低下

1で触れた相場下落に伴い、クラウドソーシングに依存しているフリーランスは、より多くの仕事を短時間でこなさなければならない状況に陥っています。

そのため、「もう少し時間をかければクオリティが上がるのに」と言う仕事でも、効率を重視するあまり手をかけない、と言う事象も頻繁に発生しています。

「使い回し」や「コピペ」しただけの成果物が溢れ、クラウドソーシング市場の仕事のクオリティがますます下がる恐れがあります。

4.リピート顧客の減少

実は、フリーランスが期待している、「この仕事は安く受けたけど、リピートを期待している」がなかなか実現しない土壌がクラウドソーシングには存在しています。

例えば、ある案件で非常に有能であると思ったフリーランスがいたとします。では、次もその方を使うか…というと、そうではありません。

発注側の出した案件に対して常に10件以上の応募が集まるので、毎回ゼロから探すことが簡単です。新しい人を探す手間のほうが、過去に頼んだ人に改めて頼むよりも簡単であるケースが多いのです。

本当に儲けが出る「リピート顧客」をあまりつかむことができなければ、クラウドソーシングを用いているフリーランスは疲弊するだけでしょう。

今後のクラウドソーシングの展望と、利用法

以上、クラウドソーシングのメリットとデメリットを挙げてみましたが、いかがでしょうか。もともとプロではなかった人が、参入障壁の低さを見て入ってくる。あるいは主婦の方々のように、時間がかなりある方々も入ってくるクラウドソーシングでは、価格下落の圧力が常に働いています。

一方で、「修業の場」「実績を積む」と言う目的で使うならば、簡単に新規顧客に出会うことのできるクラウドソーシングは魅力的でもあります。

ですがやはり、価格下落圧力の強いクラウドソーシングだけで食べていく、というのは専業の方には少し厳しいかもしれません。

そこで、少し視点を変え、「発注者としてクラウドソーシングを使う」のはどうでしょうか。多少大きな案件もクラウドソーシングを用いれば複数人で手早くこなすこともできます。また、顧客サイドに立ち、自分を仲介者としてクラウドソーシングを活用することも可能です。

「営業努力」は継続し、自分で顧客の開拓を行う。そして、「発注側として安価にクラウドソーシングを活用する」という姿が、専業者がクラウドソーシングを使う一つのモデルとなるかもしれません。

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