経理業務の業務分析と効率化のポイント

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経理は事業運営に必須です。

税務申告など、外部報告のためだけでなく、業績を適時に把握するためにも、日々の経理作業が適切に行われていることが求められます。一方で、日々の処理が発生することから負担も大きく、経理業務効率化のニーズは多いです。

経理業務はITツールや会計ソフトの発展により、10年前に比べて大きく効率化できるようになりました。具体的な進め方の概要を紹介します。

業務分析の基本と目的

経理業務を効率化するためには、現状の業務分析を行うことがスタートです。

以下のプロセスで業務分析を行いましょう。

第一に、自社の経理業務をすべて洗い出します。請求書の発行、受領のプロセス、期日、担当者や決済のフロー、工数を可視化しましょう。業務内容を文書化し、課題を把握する準備を行いましょう。

第二に、洗い出した業務を分析し、工数が多い、属人化している、手作業が多いなどの課題を特定します。

よくある課題は、

①経費精算が適時に行われず滞留している

②受領した請求書が担当部署から経理担当者に回付されない

③個人の立替金が多く工数が増加している

――などです。いずれも規定の整備やツールの導入によって解消可能です。会社の状況に合わせて、課題解決方法を検討するとよいでしょう。

課題を特定したら、改善策を検討します。ITツール・システムの導入、ペーパーレス化・キャッシュレス化の推進、業務の見直し・改善、アウトソーシングの活用などの方法が考えられますが、予算を考えて導入を検討しましょう。

コストパフォーマンスを念頭に、導入後の効率アップと費用が見合っているかをチェックしましょう。

予算に見合う改善策を決定したら、実行します。実行後は、効果を検証し、必要に応じて効率化と改善プロセスを継続しましょう。

経理業務の業務分析手法

先述した業務分析は、以下の点に注意して行いましょう。

まず大事なことは、客観的な視点を持つことです。

経理業務は日々の繰り返しで業務フローが構築されているため、非効率なプロセスであっても、繰り返されているうちに、それが会社のルールになっている事例が多く見受けられます。

その過程で特定の業務が属人化してしまうと、効率化を目的としても、手が付けにくくなってしまいます。

業務が属人化すると、プロセスを変えることが難しくなるだけでなく、担当者が退社したときに業務がストップしてしまうことになりかねません。

そのため、効率化を目的に業務分析を行うにあたっては、担当者の主観ではなく、客観的な視点を持って取り組むことが重要です。複数の担当者や外部の専門家に協力してもらうとよいでしょう。

続いて重要な点は、データに基づいて分析を行うことです。

非効率な業務を変革しようとしても、担当者は現在の業務に慣れているため、プロセスの変更に抵抗する可能性があります。

従って、根拠をもって手続き変更を推進するためにも、業務分析では、データに基づいて行うことが重要です。業務の工数や時間、コストなどを可視化することで、課題をより正確に把握することができます。

もう一つ、大事な点は、改善策を検討する際に、実現可能性を考慮することです。

小規模企業によくありがちなのは、効率化のために便利なツールを導入しても、担当者が使いこなすことができず、コストと時間をかけても成果がなく、元のプロセスに戻ってしまうという事例です。

小規模企業は人員数も、担当者のツールに対する理解のレベルも、大企業に比べると整っていないことがほとんどなので、現実的な効率化につながるかを念頭において、プロセスの変革やツールの導入を進めるとよいでしょう。

ITツール・システムの導入や業務の見直し・改善などは、一定のコストや時間がかかります。そのため、自社の状況や予算に合わせて検討することが大切です。

効率化を実現する改善案の立案と実践

業務効率化の改善案は、

①プロセスの変更

②ツールの導入

③アウトソーシング

に分類されます。

業務分析過程で把握した課題と、自社の状況に合わせて、適切な対策を行いましょう。

具体的な業務効率化の改善案としては、以下のようなものが挙げられます。

ITツール・システムの導入
ITツール・システムを導入することで、業務の自動化や効率化が図れます。

ペーパーレス化・キャッシュレス化の推進
紙の書類や現金のやり取りを減らすことで、保管や管理のコストや手間を削減できます。

業務の見直し・改善
業務の流れや手順を見直し、非効率な部分を改善することで、作業時間を短縮できます。

アウトソーシングの活用
業務を外部に委託することで、自社の人員やリソースを他の業務に集中させることができます。

自社の状況や課題に合わせて、最適な方法を選択することが大切です。

効果測定と継続的な改善プロセス

改善のサイクルを確立したら、PDCAサイクルを回すことを継続的に行います。

立案した改善案を効果的にするため、改善案は具体的にし、関係者全員が理解できるように説明を行いましょう。

導入しても効果がなければ意味がないため、改善案の導入後、一定期間経過後に効果を検証し、必要に応じて改善を継続していきましょう。

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