経理業務の効率化を実現するクラウドシステム

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会計ソフトだけではなく、会社のバックオフィスで使用できるクラウドシステムは増え続け、さらに進化が進んでいます。会計処理、給与計算、データ保存、セキュリティ管理など、さまざまな業務ニーズに合わせて、多くのソフトが提供されています。

一般的なクラウドシステムの種類として、以下のようなものが挙げられます。

クラウドストレージサービス

これらは、データやファイルをオンライン上で保存したり、共有したりするサービスです。代表的なものとしては、Google Drive、Dropbox、Microsoft OneDrive などがあります。

クラウドストレージサービスがない時代は、ファイル共有はメール添付による送受信や、自社管理のサーバーに設置した共有フォルダで行っていました。クラウドストレージサービスを利用すると、それらの手間が省けるので、効率化とコストダウンにつながります。

クラウドオフィスシステム

ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションなどのオフィス関連のツールをクラウド上で提供するサービスです。例えば、Google Workspace、Microsoft 365 があります。文書やスプレッドシートをクラウドで共有でき、複数人での作業が可能なため、業務が効率化します。

クラウド会計ソフト

会計業務をオンライン上で行うためのソフトウェアで、国内利用されているものはマネーフォワードやfreeeが代表的です。

クラウドCRM (顧客関係管理) ソフト

顧客情報やセールスプロセスの管理を行うためのソフトウェア。Salesforceなどが代表的です。

クラウドプロジェクト管理ツール

プロジェクトの計画、進捗管理、タスクの割り当てなどを行うためのツール。Trello、Asanaなどがあります。

このほかにも、データベースをクラウド上で管理できるクラウドデータベース、セキュリティサービスをクラウド上で提供するクラウドセキュリティサービスなどがあり、企業のニーズに合わせて選択され、活用されています。

システムの導入にあたっては、自社のメリットだけでなく、セキュリティ、コスト、機能性などを総合的に考慮するとよいでしょう。

経理で活用できる主なクラウドシステムの基本とメリット

クラウドシステムを利用することにより、経理部門においては、業務効率の向上や、データのセキュリティ強化などを実現することが可能です。経理部門で活用できるクラウドシステムの種類別に、メリットを考えてみましょう。

クラウドシステムを使用することで実現できる基本的機能と、主なメリットは以下のとおりです。

クラウド会計ソフトの基本的機能とメリット

インターネットがあれば、いつでも、どこからでも、経理データにアクセスが可能です。担当者が不在や休暇でも、データを確認できます。

また、請求書やクレジットカードの利用履歴からなどの仕訳作成が自動化され、手入力で時間がかかっていた業務が効率化します。さらに、データの入力ミスや計算ミスが減少し、正確な帳簿の作成が可能になります。

クラウド給与計算ソフトの基本的機能とメリット

給与計算が手入力から自動計算に変わることで、給与計算や源泉徴収票の発行などのプロセスが効率化し、計算の正確性も向上します。

また、インストール型のソフトと異なり、常に法令の変更に対応するため、間違う可能性が低くなります。従業員も給与明細や勤怠情報にアクセスが可能になるため、情報共有もスムーズに行えます。

その他のクラウドシステムも業務効率化につながるものが多いので、経理部門で情報収集や作業に工数がかかっている部分があれば、システム導入による効率化を検討してもよいでしょう。

クラウド会計ソフトによる効率化事例

クラウド会計システムを使って経理業務を効率的に行うためには、事前に検討すべき手順があります。

データのリアルタイム入力

クレジットカードやインターネットバンキングのデータは随時、システムに取り込まれますが、現金で支払った経費など、一部は自動で仕訳が作成されません。クラウド会計システムを導入する前に、会社全体の売上・支払のプロセスを確認し、自動で仕訳が作成されない取引はなるべく減らすと効率的です。

他機能との連携

多くのクラウド会計システムは、他システムとの連携が可能です。給与計算システムや請求書作成システム、経費精算システムなど、他システムとの連携をあらかじめ行っておくと、業務が効率化できるだけでなく、各システム間の情報も統一されるため、データの正確性が高まるでしょう。

クラウドシステムによる勤怠管理・経費精算・請求書処理の効率化事例

クラウドシステムを導入することで、勤怠管理、経費精算、請求書処理の業務を効率化し、正確性を向上させることは可能ですが、適切なシステムの選択と導入、トレーニングが重要です。

経理部門だけでなく、データを入力する他部門との意思統一も重要になるので、密なコミュニケーションを心がけるとよいでしょう。

クラウドシステム導入時の注意点

クラウドシステムを導入する際の最も多い失敗パターンは、システムを使いこなせないことです。事前にプロセスを検討せずに導入してしまうと、やり方が従業員に浸透せず、逆に手間が増えることになりかねません。

効率化のためには事前準備が必要なため、時間をかけて準備を行うとともに、必要に応じて専門家に相談しましょう。

まとめ

今回はITスキルで経理業務を効率化する方法について解説しました。本記事のまとめは以下のとおりです。

  • クラウドシステムは多数あり、導入で業務が効率化する
  • システム導入には事前準備が重要なため、現状に応じて検討を行う
  • 自社のみでの対応が難しい場合は、必要に応じて専門家に相談する

次回は「経理業務で役立つコミュニケーションスキル」について解説いたします。次回もぜひご覧ください。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

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