売上の計上基準の種類とは?

商売をしていく上で最初に決断しなければならないことのひとつに、どの時点で売上を計上するか、つまり、「売上の計上基準」をどれにするかというものがあります。

売上の計上基準をいったん採用すると、正当な理由がない限り変更は認められていません。ここでは、売上の計上基準にある種類を学びながら、どの業種にはどの基準を採用するべきかを検証してみましょう。

売上の計上基準について

現金商売をしている個人店舗では、商品やサービスと引き換えに現金を受け取った時点で売上となります(現金主義)。しかし、ほとんどの取引が現金でない限り、入金時に売上を計上しても、税務署は認めてくれません。

現金ではなく売掛金や買掛金を利用して事業を運営する会社が採用する売上の計上時期は、業種または事業の運営方法によって異なっており、多くの場合、「実現主義」と呼ばれる原則が用いられています。

いずれにせよ、どの計上基準を採用するかは、業種や取引事情、事業の運営方法を考慮した上で決定されなければならず、会社の実情に沿った最も合理的な計上基準を採用し、毎期継続して適用しなければなりません。 

売上の計上基準を決める

実現主義とは、売上(収益)を計上する時期は取引が実現した時点であるとする考え方で、現金を受け取った時点ではありません。しかし、実現主義を原則とする計上基準にも、いくつかの種類があります。

例えば、ある会社が3月末に精密機械Aの注文を受けたとします。4月5日にその会社の倉庫からAが出荷され、4月7日にAを発注先に納品しました。

そして、4月10日に取引相手が検品を済ませ、問題がないという旨の連絡をしてきました。さて、この会社が精密機械Aの売上を計上するのはどの時点でしょう?

正解は・・・
この会社が売上の計上基準をどの時点に定めているかによって決まります。「出荷基準」を採用していれば4月5日に売上が帳簿に記録され、「納品基準」を採用していれば4月7日、「検収基準」を採用していれば4月10日となります。

商品・製品を売る場合

商品・製品を販売している会社にとって、収益が実現するのは、原則として商品が取引相手に引き渡された時点です。法人税法でも、棚卸資産の販売から得た売上(収益)は、「その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入」するよう定められています。

それでは、棚卸資産を扱う会社の主な売上の計上時期を見てみましょう。

「出荷基準」とは、商品・製品を店舗や倉庫から取引相手に出荷した時点で引き渡したとする基準で、物販業でよく採用されています。

商品が相手方に到着した時点ではないため、出荷したことを示す記録を保存しなければならないことが注意点として挙げられます。 

「納品基準」とは、出荷した日ではなく、相手に届いた日、つまり納品日に売上を計上する基準です。納品したことの証拠として、納品書に取引先の相手から日付入りの受領印を押してもらうことが一般的です。

「検収基準」とは、納品する商品の品質や種類、数量が重視される場合に用いられ、製造業者間の取引や前述の例で取り上げた精密機械のように試運転が必要な場合によく使われる基準です。

取引相手が納品されたものを検収したことで、引渡しが完了したとみなされます。

土地・建物を売る場合

そのほか、「使用収益開始基準」は、土地・建物を販売する不動産業などで採用され、取引相手が商品を利用し、収益をあげることが可能になった時点を基準とします。

請負の場合

注文物を作り、完成品を引き渡した時点で売上を計上する「完成引渡基準」や、完成部分のみを納めた時点で売上計上する「部分完成基準」は、請負の建築・建設工事業で多く採用されています。

そのほかにも、受注制作のソフトウェアの制作や、建設業で工事が完成した時点に計上する「工事完成基準」、工事の進行具合に応じた売上を期間ごとに分配して計上する「工事進行基準」などがあります。

売上の計上基準は頻繁に変えられる!?

このように、売上の計上基準にはさまざまな種類があり、いったん採用すると、決定した基準は継続して使用することになっています。変更は、取引事情や販売方法、契約条件が変わった場合など、正当な理由がない限り認められていません。

まとめ

もし、税務調査や監査役の会計監査で売上の計上基準が適格でないと判断されるなら、財務諸表には売上(収益)が正確に反映されてないとみなされます。計上基準を決定する際には、その基準が合理的かつ会社の実情を的確に反映しているかを判断し、慎重に決断しなければなりません。

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監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
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