導入事例

AIを意識させない自然な自動化で、半年で生産性20%向上、給与10%ベースアップ!ゼロベース思考で挑む、「人」を主役にする組織変革

税理士法人コンダクト
植西 祐介様

税理士法人コンダクト

植西 祐介様

業種
会計事務所
都道府県
東京都
事務所人数
15〜39名
利用サービス
  • クラウド会計・確定申告

AIやAPIを活用した自社独自の「ポータルシステム」をわずか半年で開発し、業務プロセスを大きく変革した税理士法人コンダクト様。一見すると、テクノロジーを駆使して徹底的な効率化を進める「超効率化事務所」に見えるかもしれません。
しかし、代表の植西祐介様が大切にしているのは、単に一人ひとりの作業を効率化することではありません。目指しているのは、組織全体の生産性を高めること。そして、効率化によって生まれた成果を職員の給与に還元し、さらに顧問先との信頼関係を深めていくことです。
「AIはあくまでツールに過ぎない」と語る植西先生。変化を楽しむ「ゼロベース思考」の組織文化、そしてAIを組織全体の生産性向上につなげるための考え方や具体的な取り組みについて、お話を伺いました。

目的
業務改善・効率化
解決策
マネーフォワード クラウドの導入
効果
業務改善・圧倒的な効率化、高付加価値業務への注力

変化に対応するカルチャー、「ゼロベース思考」で挑む30名規模の組織づくり

事務所の立ち上げの背景と、植西先生のキャリアについて教えてください。

植西様(以下、敬称略): 私は公認会計士、税理士、社会保険労務士という3つの資格を持っていますが、もともとは企業の経営企画やコンサルティング、スタートアップでの実務経験が長く、純粋な士業の世界だけで育ってきたわけではありません。独立したのも、「自分の責任でオーナーシップを持って経営をしてみたい」という想いがあったからです。

そのため、当事務所の専門領域は単なる税務申告にとどまらず、より広い意味での経営管理、つまりコーポレート・バックオフィス全体の支援(管理部門支援)をメインに掲げています。現在は全体で30名規模の体制ですが、会計士や税理士、社労士といった有資格者だけでなく、マーケティング担当やコンサルタントなど、ビジネスサイドのメンバーも多数在籍しています。

急速な自動化に対して、現場の職員の皆様からの戸惑いや抵抗はありませんでしたか。

植西:正直、戸惑いや大変さはかなりあったと思います。何しろ今年の3月から自社開発を始めて、半年足らずで昨日までの仕事のやり方がガラリと変わってしまったわけですから(笑)。

しかし、当事務所には「ゼロベース思考」や「変化への挑戦」というコアバリューが、AI導入前からカルチャーとして深く根付いていました。そのため、ある意味で職員たちが「植西先生のやることだから、またすごいスピードで変わるぞ」と変化を楽しんでくれています。

何より、業務のあり方を大きく変えるには強力なトップダウンが不可欠ですが、トップ自身がそれを無理やりやるのではなく、本気で楽しんでいることが重要です。

私自身、AIの活用や自社開発を一つの挑戦として楽しんでいます。おもちゃを組み立てたり、シミュレーションゲームで街を作ったりする感覚の延長で、「仕事がきれいに自動化されていくのが楽しい」と思って取り組んでいます。トップ自身が本気で楽しみながら取り組んでいることは、変化を進めるうえで重要だと思います。

税理士法人コンダクト_居室

会計だけで選ばない。複数のクラウドツールを顧問先ごとに使い分ける理由

複数のクラウド会計ツールを状況に応じて使い分けていると伺いました。その経緯と理由を教えてください。

植西:私自身、スタートアップ企業で勤務していた2016年頃からマネーフォワード クラウドと他社のクラウド会計ソフトを利用しており、その利便性を早くから実感していました。独立の際も利便性・効率性などからクラウド会計ソフトを迷わず選択。当初は他社ソフトの利用からスタートしました。その後、組織の規模が大きくなり勤怠管理や給与計算など人事・労務領域でより充実した機能が必要になったことから、マネーフォワード クラウドの導入を行い、現在は顧問先の状況に応じて両社を使い分けています。

私たちは特定のツールにこだわらず、会計だけでなく、人事・労務を含めたバックオフィス全体を見て、顧問先に適したシステムを提案しています。実際、顧問先ではマネーフォワード クラウドと他社ソフトを半々程度の割合で利用しています。

例えば、フレックスや裁量労働制、手当・控除の計算など、勤怠・給与計算が複雑になる場合には、マネーフォワード クラウドが適していると考えています。一方、会計に詳しくない方にも使いやすい操作性を重視する場合などは、他社ソフトが適することもあります。会計ソフト単体で比較するのではなく、人事・労務を含む顧問先のバックオフィス全体を見て、最適なツールを選定することが重要だと考えています。

複数サービスを組み合わせて使えるイラスト_税理士法人コンダクト

また、会計以外にも複数のクラウドツールを活用しています。AI活用を目的にクラウド化したわけではありませんが、振り返ると、業務をデータとして扱える環境が整っていたことが、その後のAI活用を進める土台になったと思います。

個人のハックから組織の武器へ。AIを「組織の生産性向上」に結びつけるためのコツ

AIを個人の仕事を楽にするためではなく、「組織の生産性を上げるため」に活用するためのコツは何でしょうか。

植西:AIを導入するとき、私は「自分の作業を効率化すること」を中心には考えていません。個人の作業を少し楽にするのではなく、組織全体の仕事の流れやKPIをどう変えるか。それこそが経営層の責任だと考えているからです。

組織全体の生産性を大きく高めるために、私たちは6つのポイントを意識しました。

1. 「チャット」ではなく、業務そのものを自動化する

AIをチャットでの相談に使うだけでなく、組織全体の仕事の進め方を変えるために、業務そのものを自動化することを重視しています。そこで最初から、AIが単発で回答するだけではなく、システムが裏側で自動的に処理を進める「自動化ワークフロー」の構築を目指しました。

2. 職員には「AIを意識させない」

職員一人ひとりにAIを使いこなしてもらったり、プロンプトの書き方を覚えてもらうのではなく、普段使うポータルの機能の裏側にAIを組み込んでいます。職員がAIを使っていることを強く意識しなくても自然に使える。このような体験が、組織全体にAIを浸透させるうえで重要だと考えています。

3. セキュリティと情報へのアクセスを厳格に管理

顧問先の重要データを扱う以上、市販のAIに安易にそのままデータを通すのはリスクがあります。私たちは「Google Cloud」の基盤上でシステムを内製し、アクセスログの取得や細かな権限管理を徹底しています。

4.「AI」と「プログラム」の役割を明確に分ける

AIは毎回同じ結果が出るとは限らない「確率的な仕組み」です。一方でプログラムは、決められたルールに沿って同じ処理を正確に繰り返すことができます。そのため、財務や申告実務など、「絶対にミスをしてはいけない、決まりきった作業」はプログラムに任せ、推論やデータの整形・分析が必要な業務にはAIを組み合わせます。
このように、AIとプログラムの得意分野を明確に分けることで運用上のリスクを抑えています。

5. 効率化による成果を「給与」に還元する

AIを実務に取り入れ業務効率化に活かしたことで、直近半年で社内の生産性が20%向上しました。その成果を職員の給与10%ベースアップという形で還元しました。業務改革の成果を、マネジメントや処遇にも連動させています。

6. 自動化と一緒に「役割」も見直す

自動化によって生まれた時間を、別の付加価値業務に振り向けています。それに合わせて、職員のジョブディスクリプション(職務内容)やミッション、組織体制も見直し、顧問先とのコミュニケーションやリレーションシップを深める仕事へシフトしています。

あえて「全自動」にはしない。AIとプログラムを使い分ける「自社ポータル」

税理士法人コンダクトでは、Claude CodeやCodexなどのAIコーディングツールを活用し、AIとプログラムを組み合わせた独自の業務ポータルを自社で構築しています。ポータルは、マネーフォワード クラウド等とAPIで連携。源泉所得税、給与データ、請求書などに関する情報の取得・処理・確認を、一元的に進められる仕組みです。

現在のポータルを構築する以前は、どのように業務を自動化していたのでしょうか。

植西:もともとは、スプレッドシートやGAS、Zapierなどを使って、フォルダの作成やデータ処理といった業務を自動化していました。その後、ローコードツールの中にプログラムによる処理を組み込んだり、Webhookを使って外部サービスと連携したりするようになり、自動化の範囲を広げていきました。
ただ、それぞれのツールを個別に使うだけでは、業務全体を一つの流れとして管理することは難しい。そこで2026年3月から、日々の実務を一つの画面上で進められる自社ポータルの構築を始めました。これによって、職員の仕事の進め方も大きく変わりました。

2026年3月からわずか半年で開発された自社システムでは、具体的にどのような実務が自動化されているのでしょうか。

植西:マネーフォワードや外部ツールのAPIを連携させ、日々の実務の中心となる部分を自動化しています。

・源泉所得税の申告フローを自動化:約300社分の源泉所得税に関するデータを集計し、担当者による確認を経て、e-Tax用データの作成から申告までをポータル上で進められる仕組みを構築。

・給与データの自動処理:マネーフォワードや他社ソフトのAPIから給与データを取得し、必要な形式に整形。

・請求書の自動作成・連携:登録された顧問料などのデータをもとに請求書を作成し、マネーフォワード クラウド請求書のAPIへ連携。作成された請求書PDFもポータル上で確認可能。

外部連携APIで、マネーフォワードと外部ツールがつながる_税理士法人コンダクト

システム上のエラーの発生はどのように防いでいるのでしょうか。

植西:システム設計の大原則として「あえて全自動にはしない」ことを大切にしています。具体的には、業務の節目ごとに必ず人が確認する仕組みにしています。
AIが処理したデータや、プログラムが作成したe-Tax用データは、そのまま次の工程へ進むわけではありません。ポータル上の確認画面で担当者が内容を確認し、問題がないことを確認したうえで、次の処理や申告へ進む仕組みにしています。

テクノロジーによって作業時間を削減しながらも、最後は人が確認する。このバランスが、効率と正確性を両立するうえで重要だと考えています。

顧問先の重要な情報を扱う上で、セキュリティ面ではどのような対策を行っていますか。

植西:システムやデータベースはGoogle Cloudを基盤に構築し、顧問先の情報を管理しています。誰がどの情報にアクセスできるかを制御する権限ロール管理に加え、アクセスログの取得やバックアップも行っています。
単にAIツールを職員へ配布するのではなく、必要な機能を自社ポータルの中に組み込み、情報へのアクセスを管理できる状態にすることを重視しています。

自動化で生まれた時間を、顧問先との関係深化へ

自動化によって生まれた時間を、今後どのような業務に振り向けていくのでしょうか。

植西:自動化によって生まれた時間は、顧問先とのコミュニケーションや、リレーションシップを深めるために使うようにしています。そのため、業務を自動化するだけでなく、職員のジョブディスクリプションや組織体制も見直しました。

AI化や自動化は、それ自体が目的ではありません。AIはあくまでツールです。私たちのミッションは、コーポレート・バックオフィスの領域で新しい付加価値を生み出すことです。テクノロジーによって生まれた時間を、顧問先との関係を深める仕事に振り向けていきたいと考えています。

最後に、これからクラウドやAIの活用に踏み出そうと考えている他の会計事務所の皆様へメッセージをお願いします。

植西:AIはあくまでツールであり、経営戦略やビジョンに沿って活用するものです。AIを活用するためには、まず日々の業務を言語化し、デジタルデータとして扱える状態にする必要があります。会計領域であれば、マネーフォワード クラウドなどのSaaSツールを活用し、紙で行っていた作業をデータに移していく。まずは安定したクラウドツールを導入し、データを活用する習慣をつくることが、AIや自動化を実務に取り入れる最初の一歩になると思います。

会計事務所さま向け サービス資料3点セット
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