導入事例
クラウド会計が切り拓く、「時間削減」ではない成長モデル
「業務時間を削減する」のではなく、「1時間で100仕訳を処理できるようにする」。税理士法人マッチポイント様が目指すのは、単なる業務効率化ではありません。クラウドやRPAを活用して一人ひとりの生産性を高め、その状態を維持したまま組織を拡大していくことです。
効率化によって生まれた時間を「余った時間」にするのではなく、より多くの業務を担うための時間に変える。まず一人ひとりができる仕事量を増やし、そのうえで人員を増やしていくことで、事務所全体の処理量を大きく伸ばし、組織のスケール化につなげています。
そのために取り組んでいるのが、マネーフォワード クラウドの活用を軸とした業務・組織改革です。職員の生産性を高めるKPI設計や、顧客への有料導入支援、組織全体の質を高める研修など、実践されているさまざまな取り組みについて、代表の植島様、浦瀧様にお伺いしました。
- 目的
- 業務改善・効率化、属人化・計算ミスの防止、リアルタイムで数字を把握
- 解決策
- STREAMED、マネーフォワード クラウドの導入
- 効果
- 業務効率化・品質向上
顧客の困りごとを「なんとかする」独自の経営スタイル
貴所の経営理念や、日頃大切にされている考え方についてお聞かせください。
植島様(以下、敬称略):私たちは「全ての人と企業の幸せの起点となる」という理念を掲げています。自分たちが幸せで、仕事にやりがいを感じていなければ、お客様や世の中に幸せを広げることはできません。そのため、事務所の環境整備や文化づくりには強いこだわりを持っています。
また、私たちの大きなテーマの一つに、「なんとかする会社。」という姿勢があります。「それはうちの業務範囲外です」と断るのではなく、お客様が困っていることがあれば、まずは「なんとかする」方法を考える。この姿勢を徹底しています。

「このままでは時代に取り残される」トップダウンで断行したクラウドへの一斉移行
クラウド化や業務効率化というと、「作業時間を○時間削減する」といった目標を掲げる会計事務所様も多いと思います。マッチポイント様では、異なるアプローチを取られているそうですね。
植島:はい。私たちは「業務時間を○時間削減する」「工数を減らす」といったことを、目標にはしていません。時間を減らすことを目標にすると、職員は「自分の仕事や雇用が奪われるのではないか」と不安を感じてしまいます。
また、日々の業務に追われる中で、さらに効率化を求められることがプレッシャーとなり、クラウド導入やAI活用への抵抗感につながることもあります。
そこで私たちが設定したのが、「1時間あたり100仕訳を入力・処理できるようにする」という能力向上型のKPIです。例えば、これまで1時間に50仕訳だった職員が、100仕訳処理できるようになる。「時間を減らせ」と言われると、どうしても受け身になってしまいます。しかし、「1時間で100仕訳を達成するためには、マネーフォワードやSTREAMED、RPAなどのツールをどう使いこなせばいいか?」と問いかけることで、職員自身が「もっと速く処理するにはどうすればいいか」を考えるようになります。その結果、一人ひとりの処理能力が高まり、組織全体の生産性向上につながっています。
処理速度だけでなく、作業時間の確保や評価の仕組みにも工夫があるとお聞きしました。
植島:記帳担当者には「1時間100仕訳」という処理速度の指標に加えて、「1人あたり月100時間を仕訳作業に充てる」という時間の使い方に関する目標も設定しています。業務の合間に発生する空白時間も含め、いかに仕訳作業の時間を確保するかを意識してもらうためです。
さらに、実際に処理した仕訳数と給与が連動する評価制度も整備しています。単に「効率化してください」と求めるのではなく、成果を評価・還元する仕組みまで含めて、前向きに目標へ挑戦できる環境をつくっています。
クラウド導入を成功させる「有料伴走支援」
もう一つの大きな特徴が、顧客へのクラウド会計導入における「有料導入支援」だと伺いました。
浦瀧様(以下、敬称略):まず前提として、お客様が自己流でクラウドソフトを導入すると、初期設定や口座連携のルールなどが適切に設定されず、後からデータを修正する必要が出てくるケースがあります。そうなると、会計事務所側が後からデータを解きほぐして、修正や再指導をしなければなりません。結果として、双方にとって二重、三重の手間やコストが発生してしまいます。
だからこそ、お客様の「自分でできます」にそのまま任せるのではなく、最初に専門家が入って、正しい仕組みをつくることが重要だと考えています。
植島:また、各顧問担当者が個人のサービス精神で無償対応してしまうと、担当者に負担が偏り、長続きしません。そこで専門部署を設け、組織として初期3か月間の有料伴走支援を提供する体制を整えました。
浦瀧:導入支援については、会計・給与・請求・勤怠などのプロダクト別に加え、業種・規模・売上高・作業リスクなどを踏まえた明確な料金表(メニュー表)を作成しています。例えば会計ソフトの導入サポートであれば、「3か月で約10万円〜」とし、過去データの移行作業などは別料金として体系化しています。
料金メニューを明確にしたことで、フロントの営業担当者も迷うことなく、自信を持って提案・受託できるようになりました。
自社でマネーフォワード クラウドを使うからこそ生まれる「提案力」
マネーフォワード クラウドの活用によって、どのような成果や強みが生まれましたか?
植島:仕訳データの自動連携やRPAの活用によって、記帳代行の処理速度は大きく向上しました。世間では「AIやクラウドで時間を削減し、人を減らす」という議論になりがちですが、私たちの考え方は逆です。
クラウドやAIを活用しているのは、まず一人あたりの生産量を向上させるためです。1人ひとりの生産性が高い状態で人員を増やし、組織規模を拡大していくことで、世の中全体に対してマッチポイントの影響力をより大きく及ぼしていけると考えています。
また、会計だけでなく、給与・経費精算・見積書作成などにもマネーフォワードを活用しています。自分たち自身が日常的に使っているからこそ、会計以外のサービスについても、実体験に基づいた説得力のある提案ができます。
「この機能があります」と説明するだけではなく、「私たちも実際にこう使っています」と伝えられることが、お客様への提案力につながっています。
規模を拡大しても、サービス品質を落とさない
組織の拡大に伴うサービス品質の維持・向上については、どのような取り組みを行っていますか?
植島:月1回、丸1日かけて「マッチポイントカレッジ」という研修を開催しています。決算や申告に関する知識だけではありません。投資信託、保険、不動産、M&Aなど、よりお客様のニーズにつながる知識やスキルを磨いています。
クラウドやAIによって業務を効率化するだけでは、事務所の価値は高まりません。お客様のお困りごとをきちんと受け止めて、お客様へのより良い提案やサービスに振り向ける。「効率化」と「サービス品質の向上」を両立させることを大切にしています。

5年後300人体制、その先に描く「日本一の会計事務所」
最後に、貴所の今後の展望や目指す目標についてお聞かせください。
植島:今後5年で300人体制を構築することを目指しています。そして将来的には、「日本一の会計事務所」を掲げ、挑戦を続けていきます。構想しているのは、全国各地にフロント拠点を置きながら、記帳や決算などのバックオフィス実務は札幌に集約して処理するモデルです。
クラウドやAIを活用して一人ひとりの処理能力を高め、組織としてより多くのお客様を支えられる体制をつくる。そして、その先には、地元・北海道に大きな雇用と経済効果を生み出し、地域社会の活性化に貢献するという目標があります。
私たちにとってクラウドやAIは、単に「仕事を楽にするためのツール」ではありません。一人ひとりの力を最大化し、より大きな組織へ成長していくための基盤です。
