導入事例

「重要だけど時間がかかる手作業」はすべてAIへ。オンプレからクラウド、そして「自分よりも優秀な部下」との協働で生まれる『膨大な余白』の価値

佐藤憲亮税理士事務所
代表税理士 佐藤 憲亮様

佐藤憲亮税理士事務所

代表税理士 佐藤 憲亮様

業種
会計事務所
都道府県
京都府
事務所人数
1〜4名
利用サービス
  • クラウド会計・確定申告

AIとクラウドを徹底的に活用し、少人数体制ながら驚異的なスピードと効率で実務を回す佐藤憲亮税理士事務所様。その先進的な取り組みの根底にあるのは、「お客様が本当に困ったときに、同じ目線に立って、素早く的確なアドバイスを届けたい」という温かな理念です。
1日8〜10時間 AIと対話しながら独自の自動化を進め、実務の中心が「作業する時間」から「判断する時間」へ移りました。そこで生まれた膨大な「余白」を、自身の学びや情報発信、社会へのナレッジ還元に投資しています。AIとクラウドによって実現した、新しい税理士の働き方についてお話を伺いました。

目的
業務改善・効率化、リアルタイムで数字を把握
解決策
マネーフォワード クラウドの導入、段階的なAI活用
効果
業務が作業から判断へ、効率化で生まれた余白の活用、面談が過去の確認から未来の成長支援へ、AIノウハウを業界へ広く発信・還元

「一人支店長」時代の原体験が、自身の手を空けて「税理士にしかできない仕事」に集中する仕組みへ

はじめに、事務所の体制や、大切にされている姿勢について教えてください。

佐藤様(以下、敬称略):当事務所は、私と、社会保険労務士の資格を持つパートスタッフ1名の2名体制で運営しています。
私たちが最も大切にしているのは、「お客様が本当に困ったときに、同じ目線に立ちながら、的確なアドバイスをスピーディーに提供する」ということです。距離の近い、何でも気軽に相談できるパートナーシップを築くことを目指しています。

徹底した仕組み化・自動化を追求されたきっかけは何でしょうか。

佐藤:かつて、すべての業務を自分1人で回さなければならなかった「一人支店長」のような過酷な環境を経験したことが原点にあります。毎日の実務の中には「重要だけど、正直、この作業は時間がかかりすぎる」と感じるものが多々ありましたし、「ここに手間をかけるのはもったいない、もっとシンプルにできるはずだ」という問題意識を強く持っていました。
こうした日々の小さなストレスを解決したいという探究心が、AIを活用して独自のシステムを構築する大きな原動力になりました。
税理士の仕事はどうしても、日々の仕訳や書類整理などの定型業務が多くなりがちです。しかし、そこに自分自身の貴重な時間が奪われていては、お客様のための本質的なサポートができません。そこで、徹底的な自動化によって実務作業から自分自身を解放し、税理士にしかできないコンサルティング業務や、有益情報のインプット、自分にしかできないアウトプットに時間を使う。これこそが、私が仕組み化を追求した最大の理由です。

開業時からメイン基盤としてマネーフォワード クラウドを選んだ理由

数ある会計ソフトの中から、マネーフォワード クラウドを選定された理由を教えてください。

佐藤:開業時にマネーフォワードを選んだのは、勤務税理士時代にその使い勝手の良さを実感し、確信していたからです。

クラウド会計が出始める前の話です。かつて勤務していた事務所ではオンプレミス型のソフトを使っていて、データを特定のPCでしか扱えない不便さや、手作業での入力が大半を占める環境に限界を感じていました。おかげで入力スピードだけはめちゃくちゃ速くなりましたが(笑)、そこには効率化の余地がほとんどありませんでした。

そんな折、クラウド会計がリリースされ『なんやこれ、めっちゃ便利やん!』と強い衝撃を受けたのを覚えています。ただ、当時の環境では導入が叶わず…。その後、クラウド会計を実践できる環境へ身を移して、徹底的に使いこなす中で、『自分の事務所を持つなら、最初からクラウドを前提に設計しよう』と強く決意したのです。
マネーフォワードは金融機関やカードとの連携が非常に直感的で、複式簿記のロジックを守りつつ、アナログな入力を徹底排除できます。操作性とメリットのバランスが私の求めていたものと一致しており、確かな実績を肌で知っていたため、迷わず導入を決めました。
結果論ではありますが、このクラウド基盤があったからこそ、後にAIを組み合わせた高度な『自動化フロー』をこれほどスムーズに構築できたと思っています。

もし仮にオンプレミス型のソフトを使い続けていた場合、今のようなAI活用のスピード感は実現できなかったのでしょうか?

佐藤:間違いなく、無理だったと思います。そもそもオンプレミスだとデータが特定のPCに閉じ込められてしまいますから、外部のAIと連携させること自体が非常に困難です。APIを通じて安全かつリアルタイムにデータをつなぐには、データがオンライン上で常時連携可能な状態である必要があります。
これから本気でAI活用を目指すなら『クラウド会計』という基盤は、もはや絶対的な前提条件でしょうね。オンプレミス型の堅実さや安定感は理解していますが、AIを活用して、業務を自律的に回していくという現代の新しい働き方を実現するには、クラウドという器がどうしても不可欠なのです。

夜間にAIが自律的に動く「2段階自動化フロー」

生成AIを組み合わせた独自の「自動化フロー」について教えてください。

佐藤:マネーフォワードが公式にAI機能をリリースする以前から、独自にAI(ClaudeやChatGPTなど)を活用して自動化を進めていました。1日8〜10時間はAIと対話しています。
当時はまだ「Claude Code」のような開発ツールを使っていなかったので、「こういう自動化をやりたい」とAIに伝えてはコードを出してもらい、自分のPCにコツコツ貼り付けて動作テストをする、という地道な試行錯誤を重ねて独自の自動化システムを構築しました。
2025年からClaude Codeを本格的に利用し実務に取り入れるようになり、Claude Codeを主軸に、数十ものシステムを自作・運用するまでになりました。今では夜間にAIたちが自律的に動いてくれる『2段階の自動化モデル』が、今の事務所の基盤になっています。

佐藤憲亮様

1.AIによる自動仕訳と質問文案の作成(夜間):マネーフォワードが自動で取り込んだ明細のうち、AIが判断に迷ったものや、顧問先様から届いたChatworkの質問を自動で拾い上げます。過去の仕訳履歴や事務所ルールに基づいて判断がつくものは「仕訳の登録」まで行い、迷ったものは登録せずに顧問先様への「質問の文案」を作るとともに、Chatworkの質問に対する「回答の文案」も夜間のうちに自動で作成し、翌朝スムーズに確認・レビューできるようにしておいてくれます。

2.確認と「送信OK」の指示(翌朝):翌朝は、AIが準備した仕訳や回答案をチェックするのが私の「朝のタスク」です。中身を確認して「これでOK」と伝えるだけで、あとはAIが自動でチャット送信やシステム連携を行ってくれます。私が最終判断という「確認タスク」に徹し、作成・登録などの実務はすべてAIに任せることで、事務所の業務はほぼ自動で回るようになりました。

導入段階でのエラーや、AIを使いこなすための壁にはどう向き合いましたか。

佐藤:導入当初はイレギュラーな取引や勘定科目の判断ミスなど、エラーは頻繁に発生していました。
普段は使っていない勘定科目に勝手に登録したり、いつも付けている補助科目をまったく付けずに登録したり、といったことが散見されたのです。外に出るところでも事故はありました。顧問先様への不明点の返信文を作ってほしいと頼んだだけなのに、そのまま送信してしまったことがあります。ブログの記事でも、「大筋これでオッケー、ただしここは直して」と伝えたところ、「オッケー」という言葉だけに反応して勝手に公開されてしまいました。

そこでブレーキを作ることにしたのですが、最初は条件を緩くしすぎ、その反動で今度は硬くしすぎて何も通らなくなりました。AIと話し合いながら、ガードを一つずつ外していくという調整を繰り返しています。

最終的に行き着いたのが、総勘定元帳を辞書として使う方法です。過去に複数回、同じ勘定科目で登録されている取引と一致したものだけを、無条件で登録させます。それ以外は顧問先様ごとの個別ルールとして、私が一つずつ教え込んでいきます。10万円以上の備品を購入したときのように、固定資産になる可能性があるものは、そこで登録を止めるようにしています。

AIはこちらが教えれば教えるほど賢くなります。失敗や抵抗感を乗り越え、この「ルールを教えて育てていく」という泥臭いステップを踏んだからこそ、今のシステムが実現できました。

安全は注意ではなく構造で守る。AIセキュリティにおける「権限の分離」と「データ制御」の設計思想

AIを安全に業務で活用するためのセキュリティはどのように設計されていますか。

佐藤: AIを実務で安全に利用するためのルール作りも徹底しています。
たとえば当事務所では「転記・調べる・下書きを作るといった『泥臭い作業』はAIに徹底して任せるが、最終判断や決定は人間が行う」という明確な役割分担を構築しています。
ここで特に意識しているのが「判断が迷うものは勝手に実行させない」というルールです。AIが過去のデータと照らし合わせて「少しでも曖昧だ」と判断したものは、処理を完結させずにそこでストップさせ、翌朝の私の確認フローへ強制的に回すよう設定しています。
プロセスに必ず「人間の目」を通すことで、いわゆるセキュリティの『権限の分離』を徹底しているのです。AIがどれだけ優秀であっても、最終的な責任を負うのは人間ですから、この「自律と承認の分離」は徹底しています。
また、データの取り扱いについても、もう一つの構造的な工夫があります。それが、AIへのデータ連携における『許可リスト』ではなく『除外リスト』による制御です。連携してよいファイルを都度指定する「許可リスト」方式だと、新しいデータが増えるたびに手動で登録せねばならず、更新漏れのリスクがあります。そこで発想を逆転させ、経営数値などの極秘情報だけを「除外リスト」に登録し、それ以外はすべて自動でAIに同期される構造にしました。これにより、人間の介入なしで安全に、常に最新のナレッジを漏れなくAIに蓄積し続けることができます。

自動化が生んだ膨大な「余白」を、自らのインプットと社会へのAIナレッジ還元にすべて投資する

徹底した自動化によって、佐藤先生ご自身の時間の使い方や、お客様との関係性にはどのような変化がありましたか。

佐藤: 一番大きな変化は、自分の時間の「量」が劇的に増え、その「質」が180度変わったことです。
自動化で生まれた膨大な「余白の時間」を、本やブログ、SNSでのアウトプット、AI・DX関連のセミナーへの登壇など、これまで時間がなくて諦めていた「価値ある知的活動」にすべて投資できています。私には「自分だけがAIを使って楽になっても意味がない。この素晴らしい恩恵を、広くみんなで分かち合いたい」という強い想いがあります。だからこそ、自分が1日8〜10時間、AIと対話して得た生きたノウハウを、SNSや書籍、セミナーなどを通じてすべてオープンに発信しているんです。
バックオフィスの効率化に悩む中小企業や、同じように実務の忙しさから抜け出したいと願う同業の税理士たちを広く支えること。自らが先頭に立って新しい働き方を証明し、それを社会に還元していくことこそが、今の私の大切な役割であり、一番ワクワクする挑戦です。

お客様との向き合い方も変わりそうですね。

佐藤:AIとマネーフォワードのおかげで、最新の数字をいつでもお客様と共有できる状態にしているため、面談の場で、過去の数字が合っているかどうかを突き合わせる時間がなくなりましたね。 面談時間のすべてを、「これから売上をどう伸ばしていくか」「どう事業を拡大するか」という未来の具体的な対話に使えるようになっています。

AIは「自分よりも優秀な部下」。とにかく使い倒して、みんなで一緒に新時代へ進む

最後に、これからAIを導入したい、あるいはクラウド化を進めたいと考えている方に向けて、アドバイスをお願いします。

佐藤: 大前提として、AIを実務に活かすためには、業務プロセスやデータがマネーフォワード等でしっかりとデジタル化(DX)されている必要があります。 そのうえで、AIの導入について難しく考える必要はありません。AIは、どんなに無理な注文をしても、夜遅くに仕事を振っても決して嫌な顔をしない「自分よりも優秀な部下」です。まずは1日30分でも、日常的に対話を楽しんでみることから始めてください。

そのとき、キーボードで打つのではなく、音声入力アプリなどを使って、声で話しかけてみてください。打ち込もうとすると考えながら手が止まってしまい、そのまま進まなくなって嫌になり、やめてしまう方が多いのです。声で話しかけるだけで、入口のハードルは一段下がります。
実務への導入も、いきなり全体を自動化しようとするのではなく、最も効率化の恩恵を感じやすい「仕訳」から、一部の顧問先様を対象にスモールスタートでテストすることをおすすめします。そこでエラーが出たら、その都度ルールを教えて育てていけばいいのです。

失敗を恐れず、みんなで一緒に「自分よりも優秀な部下」との協働を楽しみながら、新しい一歩を踏み出しましょう。

<お知らせ>士業サミット2026 でミニセミナー開催

本記事でご紹介した佐藤憲亮先生は、2026年10月2日(金)に開催される「士業サミット2026」にご登壇されます。
・テーマ:喋るだけで月次が終わる、開業3年目の1人事務所のAI事務所OS
・内容 :税務判断・記帳・顧客対応などを一人で担いながら、AIを“仮想スタッフ”のように組み込む先進的な事務所運営の実践手法をご紹介
AIを実務で活用するノウハウを知りたい方、お一人で事務所を運営されている方、開業を考えている方にも、特におすすめです。AIとクラウドの協働による新しい士業の働き方を、ぜひ会場で体感してください!
※ミニセミナーはオフライン会場での開催となります。

士業サミット2026

<お知らせ>先生の情報は以下から確認

佐藤憲亮先生はSNS等で随時情報発信をしております。是非ご覧ください。(それぞれ外部サイトに遷移します)
 👉️ Podcast │ 「AI税理士のふたりごと」
 👉️ X │ さとうのごはん🍚税理士

会計事務所さま向け サービス資料3点セット
会計事務所さま向け サービス資料3点セット