税理士法人TOTAL

導入事例

4年かけて手入力はほぼ0に。15拠点に「クラウド会計」が浸透するまで

マネーフォワード クラウド公認メンバー

税理士法人TOTAL

高橋寿克様、鈴木智子様、村野綾乃様

4年かけて手入力はほぼ0に。15拠点に「クラウド会計」が浸透するまで

税理士法人TOTAL

高橋寿克様、鈴木智子様、村野綾乃様

業種

会計事務所

都道府県

千葉県

人数

100名以上

利用サービス

  • クラウド会計・確定申告
  • STREAMED

国内に15拠点を持ちながら、その拠点すべてに「マネーフォワード クラウド会計」を浸透させた税理士法人TOTAL様。
2023年にはマネーフォワードが毎年活躍した士業事務所様を表彰する「マネーフォワード クラウドアワード」において、顧問先様への価値提供を実現する取り組みをしている事務所様に贈られる「クラウドマスターCHALLENGE賞」を受賞されました。
この記事ではクラウド化を推進する意思決定の背景や、推進時の工夫についてお伺いしてきました。

目的

業務改善・効率化

解決策

マネーフォワード クラウド・STREAMEDの導入

効果

業務改善・効率化、属人化・計算ミスの防止

経理代行での活用と経験が全社導入のきっかけ

「マネーフォワード クラウド会計」を全社で導入しようと思った背景をお聞かせください

鈴木様(以下敬称略):顧問先様で経理代行を行うなかで、単純な作業を人間がやることに課題を感じていました。特に、紙の資料を手で入力している時間は非常に生産性が低いです。
単純な作業を10教えて10正確にやってもらうことは人間より、機械の方が得意だと思います。うまくツールを使って入力作業を効率化していきたいと思い、経理代行で「マネーフォワード クラウド会計」を活用するようになりました。

高橋様(以下敬称略):鈴木が経理代行で活用しているのを見ていて、これからは「クラウド会計」だと思いました。
日本の将来はどうしても人口が減ります。そうなると一人あたりの生産性を上げていくしかありません。
また、当時はそこまで強く思っていませんでしたが、インボイス制度や電子帳簿保存法についても意識をしていました。これらの制度対応については、人手で行うには無理があると感じていました。生産性を上げる、デジタル化をしていくという時代の波に乗り遅れたら、当社でも危ないという危機感があったと思います。
経理代行で「マネーフォワード クラウド会計」を使いこなす鈴木の能力も分かったので、これを全社で導入すればかなり効率化できるという確信がありました。
そのような背景もあり、2019年に全社でクラウド化を進めていく意思決定をしました。

村野様(以下敬省略):船橋塚田事務所の事務所長として働くなかで、今後生産性を上げていく必要性や、人がなかなか採用できないという課題を感じていました。その課題を解決するためにクラウドを活用しようという決断は鈴木も私も非常に納得ができました。
また自分だったらクラウド推進にあたって周囲に働きかけができる、組織に対しても何らかの結果をきっと残すことができると思えたので、推進していこうと思いました。

新しいものへの不安は分割して対応

税理士法人TOTAL様のような規模の大きな法人で「マネーフォワード クラウド会計」を全社に導入するに際し、懸念や不安な点はありましたか

高橋:新しいツールである「マネーフォワード クラウド会計」を入れるにあたって、最初からすべてがうまくいくとは考えていませんでした。課題は2つありました。
1つ目は「マネーフォワード クラウド会計」を使いこなす社内の習熟度の部分です。
社内への浸透や習熟度の向上については、鈴木と村野に任せると決めたので実務面での心配は少なかったです。
2つ目は「マネーフォワード クラウド会計」そのものの機能の部分です。
当時「マネーフォワード クラウド会計」にはまだほしい機能が足りていなかったので、今後どこまで機能が充実するか不安ではありました。ただ、こちらから開発要望を伝えていく中で次第に機能が増えていったので、リクエストをすれば真摯に向き合ってくれる姿勢が伝わってきました。

鈴木:現場目線で言うと、オンプレミス型のソフトと比べたときに、「クラウド会計」はプロダクトの特性上、どうしても操作時に通信が発生します。そのため手入力の際に挙動が遅いと感じることはありました。従来通りの会計ソフトのつもりで使っても、時間の短縮にはつながらないだろうという心配はありました。
ただ、それは使い方の問題で、データ連携に強い「クラウド会計」によって手入力の手間が削減できるとは感じていました。「これからどうやって『クラウド会計』に合わせた使い方をしていこう」と考えていました。
高橋寿克様、鈴木智子様、村野綾乃様

社内用の質問フォームで職員の不安を払拭

社内で推進するにあたり、年単位で「STREAMED」、「マネーフォワード クラウド会計」、次に「マネーフォワード クラウド給与」と順を追ってプロダクトを推進したとお聞きしました

鈴木:そうですね。まずは2019年に自動記帳サービスの「STREAMED」を導入しました。社内としては初のクラウドツールだったので、いきなり多くの機能を使おうとすると全員が慣れるまでに時間がかかってしまうと考えました。特に「STREAMED」はスキャンしてから仕訳になるまで最大1営業日かかるので、手入力に慣れた人にとって、初めは違和感があったようです。
そのため、最初は通帳のスキャンと仕訳化だけを行ってもらい、まずは「『STREAMED』が便利である」という認識を持ってもらうようにしました。
社内に「STREAMED」が浸透したのち、2021年には代表の高橋が「マネーフォワード クラウド会計」への一斉移行を宣言しました。当社は拠点が多いので推進メンバーを各事務所ごとに2、 3人ずつ選任し、月に一回の会議で顧問先様への移行の進捗管理を行いました。
紙をスキャンするだけで仕訳データ化「STREAMED」

全拠点への浸透は、大規模法人ならではの課題ですね。税理士法人TOTAL様で工夫した点があれば、お聞かせください

鈴木:社内全体に向けて工夫した点としては、「マネーフォワード クラウド会計」について社員もわからないことが多かったので、少しでも負担が減るように社内用の質問フォームを作成しました。フォームで「分からないことは何でも聞いてください」という形で質問を受け付けたところ、1年で123件の質問がありました。それ以外にも、メールやチャット、電話で質問が来るものについてはすべて答えました。合計で約100件ほどだったと思います。

社内用の質問フォームですか。初めてお聞きしました

村野:やはり誰でも自分が経験のないことや、慣れないツールについては漠然とした不安を抱きます。そのようなときに、すぐ聞ける人が近くにいるかいないか、ということは大きな差だと思います。私たちの働く船橋塚田事務所では、幸運にも習熟度の高い職員がいたので周りに聞ける相手がいました。反対に、聞ける相手が少ない事務所では、その都度疑問を解消できるような工夫が必要でした。その工夫が、質問フォームです。

鈴木:各事務所ごとに「周りの人にまずは聞いてください」とか「各事務所の推進メンバーに聞いてください」と私から言ってしまうと、悩みを抱えた職員が「鈴木に質問してはいけないのでは?」と考えて精神的なハードルが上がる懸念がありました。そのため各事務所からの質問はどんなに細かい質問でも全部答えました。
あとは社内向けに研修を行い、オンプレミス型とクラウド型の会計ソフトで入力についての考え方が異なる点を伝えたり、「マネーフォワード クラウド会計」での自動仕訳ルールについても伝えていきました。

村野:社内からの質問に対して、些細なものでも鈴木が丁寧に対応したうえで、「疑問が解消したら事務所の人たちと一緒に考えてください」とメッセージを伝えていました。事務所同士が物理的に離れており、なかなか対面でのフォローが難しい分、オンラインでのフォローに力を入れていました。

各事務所で進捗管理をするにあたり、どのような点に力を入れていましたか

鈴木:事務所ごとに進捗はさまざまでしたが、顧問先様へ提案が進んでいない場合は、推進メンバーに毎月リマインドをしていました。「マネーフォワード クラウド会計」の仕様上向いていないところを除き、基本的にすべて移行する方針でした。

村野:各事務所の推進メンバーには、「マネーフォワード クラウド会計の推進」という業務を与えていますので、作業をするだけではいけないと思います。単に上司から言われたことをこなしたり、下に伝言を伝えるだけでは不十分です。
特定の顧問先様が「マネーフォワード クラウド会計」に移行できない理由をそのまま伝聞のように会議で報告する場面もありましたが、このようなときには注意をしていました。できない理由をそのまま鵜呑みにするのではなく、どうやったら上手くいくかを考えるのが推進メンバーの仕事なのだと繰り返し意識づけをしていきました。

顧問先への導入は経理のワークフロー設計を意識

顧問先様へ導入する際に工夫した点があればお聞かせください

鈴木:顧問先様へ導入する際には、必要に応じて面談にも同席をして金融機関の連携方法や操作方法についてご案内しました。

データ連携については通帳とクレジットカード以外でもデータ連携できるものはないかヒアリングをするようにしています。特に、自計の顧問先様との面談をする際には、もともと使っていた会計ソフトでの入力の進め方について聞き取りをしたうえで、提案をしていました。
例えば「マネーフォワード クラウド会計」の自動仕訳ルールが活用できる部分や辞書機能で入力の手間が削減できる部分などです。面談では、事前に顧問先様の試算表や仕訳の摘要欄を見るようにしています。ある程度仕訳や経理の流れのイメージを頭に入れておき、バックオフィスの自動化ができるように提案や説明をしています。
今後ご契約される顧問先様については、「マネーフォワード クラウド会計」「マネーフォワード クラウド給与」と「マネーフォワード クラウド請求書」をセットで導入していただくような形で契約を進め、給与と請求書の利用件数を増やしていこうと思っています。
マネーフォワードクラウド会計のプロダクト連携

村野:このあたりの提案については、過去に経理代行を商品化するときの経験が生きていると思います。そのときの経験や外部研修での知見があったからこそ、自計化先で複雑な業務フローを組んでいる顧問先様についてもソフトの移行ができました。

2023年現在では手入力はほぼ0に

「STREAMED」や「マネーフォワード クラウド」を導入後、どのような変化がありましたか

鈴木:良い部分もありますが、工夫していきたい部分もあります。
良い面はまず単純な入力作業がほぼなくなりました。あとは、補助科目の使い方が変わりました。今までオンプレミス型の会計ソフトを使っていたときは、入力を早くするために、年に3回以上取引がある支払い先は補助科目を作るルールにしていました。
現在では「マネーフォワード クラウド」で支払先が連携されたり、「STREAMED」では支払先の名前が摘要に自動入力されたりするので、わざわざ補助科目を設定する必要が減りました。結果として補助科目の数も減り、試算表も見やすくなりました。

一方で、チェックのときの進め方にも変化があります。今はデータ連携で仕訳を作るので、手入力をするときほど仕訳帳を注視する時間は減りました。試算表の質を担保するためには、データを精査する時間をより多く取るべきだと考えています。
入力の時間が減った分、データ精査に時間を割くことになるので、チェックの体制には工夫の余地があると思っています。

高橋:ちなみに、全社で習熟度が高まってきたのでちょうど今月(2023年12月)にクラウド推進チームを解散しました。各事務所で「マネーフォワード クラウド会計」が浸透し、自走できるようになったため、今までのように月ごとの進捗状況の確認は不要だと判断しました。やはり浸透度に合わせて組織の形態も変えていかなきゃいけないと思います。

繁忙期の労働時間に変化はありましたか

村野:事務所ごとに違いはありますが、私たちの働く船橋塚田事務所では基本的に20時以降に働く職員はほとんどおりません。
以前はもっと残業は多かったのですが「マネーフォワード クラウド会計」の利用以外にもいろいろな工夫をした結果、残業時間を減少させられました。
例えば、確定申告では年が明けたら一斉に案内を顧問先様に送っています。担当者によって初動が遅れることはなくなりましたので、1月中には資料を全部回収しています。回収の際にも定型のファイルを使ってるので資料の前裁きに時間を取られることは基本ありません。

トータルに顧問先様の悩みを解決できるグループを目指す

今後の展望をお聞かせください

高橋:税理士という仕事は経営者の相談相手だと思っています。経営者は本当に多くの悩みを抱えていると感じます。そのような経営者のさまざまな悩みに対して、解決方法を総合的に考えるという意味で法人名にも「TOTAL」とつけています。

一方で、労働人口の減少は将来必ずやってくるので、生産性を上げていかなければ対応できません。士業としてまずできることとして、今後は当グループの税理士と社労士を連携させて人の問題に対処することがあげられます。そのためには会計や給与計算ではクラウドをうまく使って、効率化した分で十分なリソースを確保したいです。

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