導入事例
クラウドは業界活性につながるツール。人柄重視の採用が取り組みの原動力に。
マネーフォワード クラウド公認メンバー
ミカタ税理士法人
高瀬大祐様
マネーフォワードでは毎年、活躍した士業事務所様に対し「マネーフォワード クラウドアワード」という名の表彰を行っています。ミカタ税理士法人様は2023年において、「マネーフォワード クラウド」をERPシステムとして活用し、顧問先様のバックオフィス改革を実現される取り組みをされている「バックオフィス改革CHALLENGE賞」を受賞されました。
そこで今回は、社内でクラウド推進を担っている高瀬様に、クラウドが社内に浸透していく過程や浸透後の変化についてお伺いしました。
目的
業務改善・効率化、顧問先拡大
解決策
STREAMED、マネーフォワード クラウドの導入
効果
アワード受賞でスタッフの頑張りが目に見えるように
まずは2023年の「マネーフォワード クラウドアワード『バックオフィス改革CHALLENGE賞』」受賞おめでとうございます
ありがとうございます。
この賞をいただいて一番良かったことは、スタッフの日々の頑張りが目に見えたことだと思います。お客様の経理を便利にするべくIT化やクラウド化を進めていく中で、自分たちの頑張りというものを俯瞰して見る機会はなかなかありません。
アワード受賞という目に見える形で成果に表れたことで、スタッフの自信につながったと思います。
お客様にとって経営と人生の味方になる
税理士法人の理念や大事にされていることはありますか?
社名にもあるように当社のビジョンは「経営と人生の味方になる」です。私たちのお客様は基本的に中小企業のオーナー経営者が多く、基本的に会社の経営と人生が密接につながっています。
私たちは会計と税務以外にも労務や法務などの専門的知識をベースに、お客様の経営がうまくいくようにサポートをしています。さらに、経営者とその家族も幸せになってほしいので、資産形成や相続などについても横断的にお手伝いしています。経営と人生の両方に対してサポートしていくというのが、お客様に対する基本の思想です。
将来に向けてクラウドを取り入れる必要を感じた
2017年に公認メンバーに加入いただきました。当時の加入の背景にはどのようなものがありますか?
日本の労働力人口が減っていること、そして税理士試験の受験者数がピーク時の3分の2まで減っていることからも、税理士業界を志望する人が減少しているのは明らかです。そして税理士業界の生産性の低さも課題として感じていました。
そのような背景から代表の柴田をはじめ、当社の経営陣には何とかして生産性を上げていかなければいけない、という気持ちがありました。一方で、生産性を上げる手段としてシステムを活用しようとしたとき、ひと昔前ではシステムを導入できるのは何千万円もの導入費用が払える会社だけでした。
今ではシステムを使いたいときには、クラウドに代表されるように比較的安価に使えるものがあります。お客様の導入コストの低さもあり、クラウド会計を活用しようと会社として決断しました。
数あるクラウド会計の中から、「マネーフォワード クラウド会計」を選んだ決め手は何だったのでしょうか
「マネーフォワード クラウド会計」を使おうと思った決め手は、我々税理士法人や会計事務所に寄り添った姿勢や設計思想です。
いくつかクラウド会計ソフトを検討し会社の方からお話も聞く中で、マネーフォワードの理念に共感でき、辻社長や社員のお人柄が良かった点が好印象でした。またクラウド会計のシステム自体も会計事務所に寄り添った設計思想になっており、我々に寄り添ってくれている実感がありました。
スキルより人柄重視で採用したことが原動力になった
会社として「マネーフォワード クラウド会計」を使おう、と意思決定したあとに高瀬さんが推進担当になったと聞きました。心がけたポイントはありますか?
私自身はクラウド推進の担当をしましたが、どちらかというと現場のみんなが動いてくれたことが非常に大きかったです。
個人的にも先ほどの生産性に関する課題を感じており、「『マネーフォワード クラウド会計』で自動化の割合を増やしていこう。生産性を上げていこう」と現場に声をかけていきました。その中で20〜30代を中心としたスタッフの数名がすごく興味を持ってくれ、彼らを中心に社内に広がっていきました。
若い世代が活躍する税理士法人は珍しいですね。
当社は20代後半から30代・40代前半ぐらいまでのスタッフが多いです。
採用にあたって会社として重要視している考え方に「知識と技術は増やせるけれど、思想や考え方・仕事のやり方は変えにくい」というものがあります。
一定のやり方が染みついた人ばかりが集まると、属人的な仕事が中心になってしまいます。そうなると組織としては動きづらく、新しいことにも挑戦しにくくなる弊害も生まれます。
税理士業界はどうしても属人化しやすく、仕事も抱え込みやすい側面があります。
だからこそ経営として組織化する、再現性を高めていくということが重要だと思っています。そのため、考え方が素直で、この業界に興味を持っている若い人はスキルが低めでもポテンシャルに期待ができるため採用していく、という方針が以前よりありました。その方針が、結果的にクラウド会計を新たに始めるときに大きな推進力になったと実感しています。
ただし、採用活動では経験者層も貴重な人材ですので、実際は若手と経験者のバランスを考えて採用しています。
最初は若手中心に取り組んだクラウド会計導入ですが、社内に一定の得意なメンバーが生まれてくると、今後は税務会計スキルの高い40代以上のスタッフも前向きに取り組んでくれるようになりました。そういった意味で、当社には若手からベテランまで前向きで素直なスタッフが多く非常に助けられています。
お客様への導入に関して気を付けた点はありますか?
「マネーフォワード クラウド会計」を推進するにあたっては、まずは「クラウド会計」を使うと生産的になるお客様を明確に定義して、該当するお客様を優先的に移行していきました。
あとは、当社にスタートアップのお客様が多くいらっしゃる点もプラスに働きました。当社のお客様には上場手前の企業や伝統企業などさまざまな層のお客様がいらっしゃいますが、中でもスタートアップのお客様は「クラウド会計」に抵抗のない方が多く、事業規模も小さい時点からスタートするため導入がしやすかったです。
さらに事業の拡大に伴って経理業務も増えていきますので、お客様の経理について効率的な運用を考えるうちにスタッフも一緒に成長することができました。
また本当に効率化できるかどうかは、お客様への支援内容や設定次第だと思います。「クラウド会計」の特性である金融機関やクレジットカードの取引明細の自動取得、他のプロダクトである「マネーフォワード クラウド債務支払」や「クラウド請求書」などとの連携を活かすことがとても重要です。
これらのデータ連携を活かせるようにお客様に必要な情報を与え、設定を進めていくようお手伝いしていくことで自動処理の割合が増えて、業務スピードが早くなっていくと感じます。
導入後は効率化を実感でき、業務の質も変わった
「マネーフォワード クラウド会計」を導入して社内に浸透するまでにどれくらいかかりましたか?
2017年に「マネーフォワード クラウド公認メンバー」に加入して、3年経った2020年くらいには社内の意識が変わっていたと思います。
特に当時はコロナ禍ということもあり、お客様とはオンラインミーティングをすることも多く、その際に「クラウド会計」を使った方がお客様と同じ画面に触れるので便利さを実感できました。
何か確認する際にも同じ画面を一緒に見ることができるので、紙を印刷して郵送したりPDFをメール添付したりするといった作業も減りました。このような細かい事務作業を減らすという積み重ねも、効率化につながっていると思います。
社内に「マネーフォワード クラウド会計」が浸透したあと、課題であった生産性について変化はありましたか?
「マネーフォワード クラウド会計」も含めた複合的な取り組みにはなりますが、大きな変化としては繁忙期の休日出勤がなくなり、残業時間も短縮されました。
現在は繁忙期でも土日は休み、平日の残業も減らすことができるようになっています。
複合的な取り組みとはどのようなものがありますか?
「マネーフォワード クラウド」の活用のほか、製販分離をしています。
以前は「月次入力」や「月次監査」、「決算申告」まで現場のスタッフが1人でやっていました。そのスタッフの成果物に対して、現場の上司がチェックするという業務の流れでしたが、忙しい人のところで業務が止まりがちです。
ある一定の人に業務が集中するからボトルネックが生まれるので、役割を明確に分けて分業することでボトルネックの解消ができるはずだと思い、製販分離を試みました。もちろん製販分離や分業には業務によって向き不向きはありますが、仕事を1人が抱えるよりチームで抱える方が組織としてうまく機能するはずです。
その他に「マネーフォワード クラウド会計」で業務が変わったことはありますか?
「マネーフォワード クラウド会計」には学習機能があるので、一部マニュアルの役割を担っていると感じます。オンプレミス型の会計ソフトだと、仕訳を作成する際に過去仕訳を参照する手間が生じることがあります。一方で、「クラウド会計」は学習された過去データからスムーズに仕訳を提案してくれるので、とても便利です。
専門家としての研鑽は今後も当然必要ではありますが、経験の浅いスタッフにとっては実務処理を身に付ける機会になっています。
お客様の会社で経理スタッフが辞めるときによく「次の経理スタッフの採用や教育をどうしよう」と相談を受けるのですが、「『マネーフォワード クラウド会計』で属人化していた業務がうまく社内共有されるようになります」とご提案しています。
税理士業務も企業の経理もベテランの方が業務を抱えていて、特定の人がいなくなったら業務が止まるという状態は望ましいとはいえません。例えば、会計ならある程度自動で処理がされ、業務内容もオープンになっていて、さらにマニュアル化することで生産性が上がるだろうと思っています。
他の変化としては担当先数です。当社では現在の1人あたりの担当先数は30件から40件くらいになっています。ひと昔前の会計事務所の1人あたりの担当先数は20件から25件くらいが相場でしたが、これは訪問が多かったせいもあると思います。お客様への訪問自体は必要な場合はもちろんありますが、移動時間は仕事ができないことも多かったと思います。
お客様の層にもよりますが、お互いにとって不要な訪問を減らしていった結果、移動がなくなった分の稼働時間も増え、スタッフレベルでは30件から40件くらいの担当先数になりました。
同じ時間で担当数を増やすことができれば、会計事務所の生産性もアップしますし、担当者のやりがいやスキルアップ、給与アップにも繋がると考えています。
「経営と人生の味方になる」という理念がある中で、経営者と向き合う時間には変化はありましたか?
変化はあったと思います。以前は仕事が追いつかず、お客様から「私たちの話を全然聞いてくれない」というご不満を耳にすることはありましたが、現在は以前よりも時間が取れるようになってきています。
また税務や会計についても単なる事務処理をしたり数字を伝えるだけでなく、お客様の事業に興味を持って税法の特例や他社の事例を共有する、といった有益な情報提供にも気を回せていると思います。
魅力ある税理士業界のために変えていきたいこと
今後の展望について教えてください
改めてになりますが、我々の仕事は顧問先企業の納税や経営の数字を出すだけでなく、経営に役立つ専門的なサポートをすることです。サポートの結果、顧問先の経営が良くなり、顧問先の従業員や家族の暮らしが良くなり、地域の税収も良くなれば、国の成長にも寄与できるはずです。
このように税理士業界というものはとてもやりがいのある仕事をしていますし、当社もその一部を担えているのは大変ありがたいことです。
当社として今後この業界をもっと活性化したいと考えたときに、他業種からも税理士業界に人が来てくれるように考えていかないといけないと思っています。
もし前時代的な属人的で紙資料が多い仕事の仕方や、きちんと仕事を教えてくれない環境が続けば、優秀な人は来てくれないかもしれません。税理士業界は今後、高い専門性を持ちながらも組織として人を活用できる、企業経営をしていく必要があるでしょう。
未経験者でも業界に魅力を感じてもらえるように、優秀な人が想いを持っていい仕事ができるようにしていけば、税理士業界はもっと魅力的になると思います。これから業界全体を伸ばしていかなきゃいけないと思っています。
また、会計事務所として組織的になっていく、業務を効率的にしていくときに「マネーフォワード クラウド」の利用というのは今後どんどん広げていきたいと考えています。
現在は「クラウド会計」や「クラウド給与」が社内に浸透してきたと実感していますので、今後は「クラウド年末調整」「クラウド社会保険」「クラウド経費精算」「クラウド債務支払」「クラウド請求書」などの各プロダクトの習熟を高めていきたいです。社内のできる人が増えていけばお客様にもスムーズに導入でき、お客様の経理がもっと効率的になると考えています。
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