
導入事例
伝統ある事務所で革新を進めるには? クラウド推進部署で事務所の未来を描く
マネーフォワード クラウド公認メンバー
税理士法人三部会計事務所
三部夕貴(さんべゆうき)様、三部志清(さんべしせい)様、塩田ちひろ様

税理士法人三部会計事務所
三部夕貴(さんべゆうき)様、三部志清(さんべしせい)様、塩田ちひろ様
昭和40年に開業し、福島県で長年地域に貢献し続けてきた、税理士法人三部会計事務所様。時代の流れに乗りつつ、顧問先の経営課題にもよりしっかりと向き合うため、クラウド会計の導入を決意されました。創業者の孫であり公認会計士の三部夕貴(さんべゆうき)様、夕貴様の夫であり税理士である三部志清(さんべしせい)様、クラウド推進部署の塩田ちひろ様に、クラウド推進に踏み切ったきっかけや工夫をお伺いしました。
目的
業務改善・効率化
解決策
マネーフォワード クラウド・STREAMEDの導入
効果
亡き創業者の想いを継ぎ「中小企業のドクター」に
お二人が今の会計事務所で働こうと思ったきっかけを教えてください
三部夕貴様(以下、夕貴※敬称略):この会計事務所の創業者(以下、会長)が、私の祖父です。私は小さい頃から祖父の会計事務所に遊びに行っていて、働く祖父の背中を見て育ちました。それがきっかけで、自分も会計士になろうと思いましたし、将来はこの事務所に戻ってきて、祖父を支えられたらとも思っていました。一旦は東京の監査法人で勤務していましたが、経験を積んだのちにこの会計事務所に戻ってきたのは、自然の流れでしたね。
三部志清様(以下、志清※敬称略):今の会計事務所で働くことになったとき、私はすでに妻(夕貴)と結婚していたので、「一緒に行けばいい」と思っていました。ですので、そこまで重く考えているわけではありませんでした。
ただ、「三部会計を守るんだ」という会長の教えは、しっかり守らなければと考えていました。会長は2022年に亡くなったのですが、それまで「三部会計を守る」ということは妻にも常々言っていましたし、私自身もその重要性を感じていました。このポリシーは、今でも自分の使命になっています。
同時に、事務所の従業員やその家族、顧問先の方々のこともしっかり守っていこうという決意が生まれました。当時は税理士法人だけで考えても、従業員は70名弱いましたので、その家族も含めると200名前後になります。その雇用を守りつつ、地域にも貢献しなければと考えていました。
事務所のご紹介を兼ねて、理念や大事にしていることを教えてください
夕貴:大事にしているのは、会長の「中小企業のドクターを目指す」というポリシーです。これは、会長がこの会計事務所を作った理由なのですが、「単なる事務屋ではなく、お客様の経営課題も解決していきたい」という思いが込められています。
「中小企業のドクター」とは珍しい言い回しですね
志清:会長は当初医師を目指していたのですが、大学生時代に結核を患ってしまい、医師を断念された経緯があります。当時、結核は治りづらい病気でしたが、医師に救ってもらった経験から、自分も医師になっていろいろな人を助けたかったそうです。
ただ、その後障がい者認定が下りてしまい医師にはなれなかったため、公認会計士として「中小企業のドクター」になろうと考えたそうです。地域のため、家族のためにという思いがあったのでしょう。そして、彼が中小企業のドクターとして、顧問先の経営課題まで解決してきたおかげで、今の三部会計グループがあるのだと思います。
時代の流れと2つの付加価値に着目し、クラウド化を決意
クラウド会計に切り替えたきっかけや、背景となった課題感があれば教えてください
夕貴:会長が以前から「将来、私たちの仕事はAIに取って代わられる」「そうならないように何か考えなければ」と言っていたことが、ひとつのきっかけです。当初は私も「そうなんだね」くらいの気持ちで聞いていたのですが、近年のクラウド会計の盛り上がりを見て、時代が本当に変わってきていることを感じました。そして、「時代が変わってから追いつくのでは遅い」「最初から自分たちもクラウド会計を使っていかなければ」と感じていました。
クラウド会計を導入することで、具体的にどのような効果を期待されていましたか
志清:クラウド会計を導入することで、2つの付加価値が得られると考えました。
1つは「従業員の働き方を改善できること」、もう1つは「顧問先のニーズに素早く対応できること」です。クラウド会計を導入すれば、仕訳を一つひとつ入力していく必要がなくなるため、従業員はより顧問先の経営課題に取り組みやすくなります。在宅ワークもしやすくなりますよね。
また、顧問先から「試算表を早く見たい」と要望を受けた場合、クラウド会計ならそれを実現できます。昔は、手入力で帳簿を作成すること自体に大きな価値がありましたが、最近の流れとしてはそれよりも、顧客先の経営課題により向き合う必要があると思います。
夕貴:「私たちは単なる事務屋ではない」というポリシーを掲げる一方で、事務作業に追われていると、顧問先の経営課題にはなかなか取り組めません。クラウド会計ソフトを利用することで、仕訳入力など事務作業に関する手間が軽減されれば、顧問先の経営課題により注力できるのでは、という期待もありました。
塩田ちひろ様(以下、塩田※敬称略):これまではオンプレミス型の会計ソフトを使っていたので、手入力にものすごく時間がかかっていました。それはやはり無駄ですので、少しでも自動化しようということで、「マネーフォワード クラウド会計」を導入しました。同時に「STREAMED」も導入しています。
志清:あとは、これから新卒採用をしていくにあたり、「クラウド会計を導入していない会計事務所は、魅力がないよね」と、応募が減ってしまうかもしれません。新卒者の皆さんに向けて、働き方に関する取り組みを宣伝する意味でも、クラウド会計を取り入れる意味があると感じました。
スピード感を重視し、クラウド推進部署を新設
クラウドユニットを立ち上げた理由をお聞かせください
志清:クラウド会計の導入については、構想としてはコロナ禍の前からありました。ただ、58年もの事務所の長い歴史があり、グループで80名を超える従業員がいるため、ベテラン層と若手層だと考え方にかなり違いがあります。従業員の考え方を一つに統一したくても、なかなか難しい状況がありました。
そこで2023年の4月に、クラウドユニットを立ち上げました。夕貴に統括、塩田にスタッフとして入ってもらい、導入に本腰を入れるようになりました。今は導入が進んできていて、やっと形ができてきたところです。
夕貴:別の支店を作る動きもあったのですが、スピード感を持って導入を進めるためにも、ユニットという形でクラウド推進部署を作りました。塩田をはじめとして、クラウド会計に馴染みのある従業員に声をかけ、まずは顧問先への影響が少ない記帳代行作業から取り組んでいます。
クラウド会計導入の進捗率はいかがでしょうか
夕貴:現在、顧問先の約25%が「マネーフォワード クラウド会計」を導入しています。「マネーフォワード クラウド会計」への切り替えのタイミングは、既存のオンプレミス型会計ソフトの、リース契約の更新時期です。更新に伴い、大きなサーバーを購入し直す必要があったことも、切り替えの理由のひとつですね。
塩田:今はまだ手探りの段階ですが、新しいことを覚える業務は自分のモチベーションも上がるので、楽しみながら取り組んでいます。その積み重ねで得たスキルを共有していくうちに、少しずつ事務所内にも、クラウド会計に興味を持つ人が増えてきているようです。
志清:例えば確定申告の作業なら、「STREAMED」を利用して経費や医療費の集計を行っている従業員も多かった気がします。そのおかげで、おそらく手作業の手間は減っていると思います。継続して利用していけば、いずれはもっと作業が楽になるのではないでしょうか。
職員1人あたりの担当社数は何社くらいですか
塩田:個人差もありますが、クラウドユニットでは1人あたり40社ほどの顧問先を受け持っています。記帳代行の新規顧問先はクラウドユニットで請け負いつつ、既存のオンプレミス型を利用している顧問先は、ユニットからは減らしてもらっています。
実際にクラウド会計を導入してみた感想をいただけますか
塩田:効率だけでなく品質も向上している実感があります。
クレジットカードは「マネーフォワード クラウド会計」に連携することで、定期的な支払いは定型の仕訳として学習させ、自動化しています。また不定期な支払いについては経過勘定項目に一度集約しています。
紙の領収書については業種ごとにルールを設定して相手科目を経過勘定にして「STREAMED」で仕訳にしています。「STREAMED」で読み込むことで仕訳が半自動で完成している印象です。
これらの入力処理が終わったあとは経過勘定が相殺されますので、仮に経過勘定が残っている場合は異常が検知できる仕組みで運用しています。
自動化ももちろんですが、ミスに気づきやすい仕組みにできた点が業務品質の向上につながっています。
地域貢献をベースに、採用・顧問契約の全国展開を目指す
今後の展望について教えてください
塩田:クラウド会計の導入を進めて作業の手間を省き、顧問先の経理により深く関わることで、内部からの合理化を進めていきたいです。そして、事務所内でクラウド会計を使えるスタッフが今5~6人しかいないので、もう少しクラウド人材を増やせたらと思います。
夕貴:まだ構想段階ですが、クラウド会計の導入を推進するにあたり、事務所内でのマニュアルをもっと充実させたいです。今後クラウド会計を使える人材を増やすなら、作業パターンを統一する必要性が高いので。便利な補助科目の使い方まで統一できると、決算処理の短縮化も実現できそうです。
志清:個人的な将来像ではありますが、クラウド会計を活用することで、ゆくゆくは全国採用を実現したいです。そして、従業員がどこにいても会計業務に取り組めるような環境を作りたいですね。そうすることで、全国の顧問先に対応できるようになると思います。「地域に根ざし、地域で発展していく」という方針も大事にしつつ、今後は全国的に展開する。それが、私が実現したい未来ですね。
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