導入事例
事業承継を機に脱アナログ体制 地域のITを推進する税理士事務所へ
マネーフォワード クラウド公認メンバー
税理士法人ネクスト・プラス
東 大智様
1985年に前身の税理士事務所を創業、2019年法人化。自身の経験を活かして事業承継を得意としつつ、税理士の枠に囚われずに多様な事業展開をしている税理士法人ネクスト・プラス。事業承継時に、インフラ整備から始め、クラウド化を一気に推進しました。事業承継時の心構えやクラウドツールの活用方法ついて、代表の東氏にお話を伺いました。
目的
業務改善・効率化
解決策
マネーフォワード クラウドの導入、業務フローの改善
効果
時間・空間の自由度を高め、働きやすさを最大限に
税理士法人ネクスト・プラスの特徴やこだわりについて教えてください
当法人は、1985年に父が創業した税理士事務所を事業承継し、法人化した事務所です。お客様の未来に安心を届けることを経営理念に掲げ、事業拡大に積極的な経営者を後押しする姿勢で日々業務に臨んでいます。
長崎県の諫早市と長崎市の2カ所に事務所を構え、長崎県の県南地域を基盤に営業展開しています。ファミリーサポート休暇やリフレッシュ休暇などの法定外有給休暇制度を充実させるとともに、フレックスタイムや時差出勤の制度、テレワークの推進など、時間と空間の自由度を高める働き方を志向しています。
インフラ整備から始め、クラウドの体制を実現
事務所を引き継いだときに感じた課題をお聞かせください
顧客数と従業員数が数年にわたり減少しており、昭和の時代から続く慣習を変えなければならないと思いました。 例えば、従業員は顧客よりもワンマン所長に叱られないことを重視した対応をしていました。長時間労働・休日出勤は当たり前の前提で、仕事の指示が出ていました。もちろん、時間外労働に対する給与支給はありませんでした。
女性の給与が圧倒的に低く、朝から女性が熱いお茶を全員に出しているような、男尊女卑の社会でした。ダサい制服の着用が強制で、男性と同じ仕事・役割をしているにもかかわらず補助者に見えるような扱いでした。
具体的な業務についてはいかがでしたか
従業員15名に対しPCは3台で、PCに入力する前に手書きの資料を作成しなくてはならなかったんです。何でもアナログ(手書き)なので、壁に貼っている進捗管理表はリアルタイムではなく、所長は誰がどこに行っているのか、今日何をやっているのかが分からないと嘆いていました。
何でも残しておきなさいという方針のため、机の周りは書類であふれ、足元にファイルが散乱し、使えそうもない古いPCなども廃棄されずに新陳代謝が進んでいない状態でした。顧客に対しては、記帳・決算・税務申告だけのサービスで、資金や設備投資に関する相談などに対応するサービスはありませんでした。
東先生が事業を引き継がれて、一気にクラウド化に舵を切られたと思いますが、大変な点などございましたか
はじめに、税理士事務所向けのグループウェア(クラウド)「MyKomon」を導入しました。全員に4G回線付きのiPadや軽いノートパソコン、携帯電話を支給し、多数の従業員が使っているiPhoneと操作を統一できたので、スムーズに行きました。 その過程でアナログ掲示板を廃止し、クラウド化への一番の障害となるであろうPCを使ったことがないガラケーユーザーの所長に、iPadを贈呈しました。そのおかげで、ブラウザでインターネットを見るようになりました。「MyKomon」についても、「誰がどこで何をしているのかが分かって便利」という感想をもったようでした。
その後、現在の「Google Workspace」を導入し、ファイルの保存先を社内サーバーからGoogleドライブに変更し、その後、会計ソフトもクラウド会計ソフトに変更しました。従業員にとっては、「MyKomon」導入の経験から、クラウドであればスケジュールや進捗が容易に共有できるということが分かっていたので、スムーズに進行しました。
4G回線付きのiPadを全員に配布し、インフラを整えたことで、どこからでも何でもできるということが簡単になったということが、ポイントになったのかなと思います。
「マネーフォワード クラウド」を知ったきっかけや、決めた理由などがありましたら教えてください
実は、知ったきっかけは覚えていません。
当時マネーフォワードさんともう一社さんがクラウド会計で先行していたことは知っていました。また、当時は上場前でしたが、辻社長も当社を訪問してくれました。当時の九州支社長の方の尽力があったからこそ、当社内で普及していったのだと思います。従業員からは「マネーフォワード クラウド会計」が使いやすいと評判でしたので、顧客にも自然と推奨するようになっていきました。
自らの経験を活かし、寄り添った提案を実践
20社以上の事業承継に携わってこられたと思いますが、その際バックオフィスのソフトは変更されるのでしょうか
事業承継の有無にかかわらず、クラウド会計ではない顧客については、「マネーフォワード クラウド会計」への切替を提案しています。地方でも、クラウドへの保存やSNSを活用したやりとりはそこそこ普及しており、そういった背景からも会計ソフトの変更に抵抗感は少ないようです。
また、これまでは抵抗感を抱えていた顧客であっても、まずは利用してみて小さな成功を積めば普及はどんどん進んでいくと思います。実際に、これまでクラウドの利用に興味を示さない顧客に利用を提案したところ、「もっと早く切り替えればよかった」とまで言われました。
貴社が顧問先の事業承継に注力されている理由などお聞かせください
当社が事業承継を経験しているからです。私だけでなく、従業員も従業員の立場で経験をしています。事業承継の過程でどのようなことが起きたかといった部分まで経験しているため、財務の部分だけでなく、顧客が実際に悩んでいることや困っていることに対し自分ごとに捉えて話をすることができる。それが強みだと思います。
事業承継後に税理士は新しい経営者に対してどのようなサービスを届ければよいでしょうか?心構えや大事にしたい内容があればご教示ください
新しい経営者は、決算や金融機関からの与信、資金繰りなどの知識、経験が少ない場合が多いですね。そのため、新しい経営者に寄り添うサービスを創り、提案すべきだと思います。税務顧問の中に何でもかんでも含めている事務所が多いのではないかと推測しますが、それとは別サービスとして創ることをお勧めします。
何を必要とするかは、顧客が選択できる状態が望ましいと思います。
また、税理士はどちらかというと慎重な対応をアドバイスする傾向があると思います。新しい経営者は、あれをしよう、これを変えようという意欲にあふれた方が多く、そのような方に対して慎重なアドバイスをすればするほど、新しい経営者との距離が遠くなります。そうすると、この税理士は前の経営者の税理士であり私の税理士ではない、という感情が生まれ、税理士の変更につながってしまいます。前向きな経営者ほど、どのようにすればそれが実現に近づくのかという視点で、リスクを取りながらでも一歩前に進むようなアドバイスを心がけるといいと思います。
地域のDXを推進する存在に
事務所の今後の展望を教えてください
税理士事務所は、地域のIT先進企業となるべきだと思います。まずは、自社のIT化を留まることなく進め、その経験値を顧客に還元するサービスを作り提供していくことが大事だと思います。
当社は、DX学校諫早校というITの学校を立ち上げました。上げた背景は、このようなサービスが無く、当社が実際に困った経験があるからです。
税理士事務所は、地域のIT先進企業になるべきと申し上げましたが、実務としてたまたま経験はできても、体系立てて学ぶことができる環境が見当たらないと感じて立ち上げました。自分が必要としているサービスや商品が無ければ、経営上のリスク判断も考慮しつつ、それなら自分で立ち上げる、ということも大事だと考えております。
DX学校諫早校だけでなく、2018年には、企業主導型保育事業「みらいの保育園」も立ち上げています。
このようなことを通して、中小企業に対する様々なサービスラインナップをもつことにより、当社に対する興味関心をもってもらえますし、新たな顧客層も広がります。
採用する人材についても税理士事務所としての適性だけではなく、別の能力や経験・資質を求めています。
これらの人材が交わることによって、新たなウェーブが起きることを信じています。
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