税理士は独立開業しても食えないと言われる背景を解説。デジタル時代に求められる税理士のポイント

独立・開業

税理士業界は、かつて安定した職業として人気がありましたが、近年では独立の難易度や将来性への不安から「食えない」と言われることもあります。

しかし、デジタル時代においても、税理士として成功するための道は開かれています。本記事では、効果的な営業活動や適正な顧問料の設定、デジタル技術を駆使した高付加価値業務への取り組みなど、税理士が今後求められるポイントを詳しく解説します。

厳しい環境の中でも、業界内での地位を確立し、税理士として生き残るためのヒントをお届けします。

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独立開業した税理士は食えないと言われる理由

税理士という職業は、かつては安定した収入が期待できる職業として人気がありましたが、近年では独立開業した後に「食えない」と言われることが増えています。その背景には、以下のような要因が考えられます。

独立の難易度が高いと思う人が多い

税理士として独立することは、多くの人にとって大きな挑戦です。まず、独立開業には200万円程度の初期投資が必要であり、事務所の設立や設備の導入、スタッフの雇用など、資金面での負担が大きいです。

また、顧客を獲得するための営業力が求められます。特に新規開業の場合、既存の顧客基盤がないため、ゼロからのスタートとなります。

さらに、税理士業界は競争が激しく、他の税理士事務所との差別化が難しいため、独立の難易度が高いと感じる人が多いのです。これらの要因が、独立をためらう理由となっています。

将来性への不安を抱く人が多い

税理士業界は、AIやクラウド会計ソフトの普及により、業務の一部が自動化されつつあります。これにより、従来の記帳代行や申告書作成といった業務の需要が減少する可能性があります。このような技術の進化により、将来性に不安を抱く税理士が増えているのです。

また、顧客のニーズが多様化しており、単なる税務申告だけでなく、経営コンサルティングや資産運用のアドバイスなど、より高度なサービスが求められています。これに対応できない税理士は、顧客から選ばれにくくなっています。これらの技術の進化や顧客ニーズの変化により、将来性に不安を抱く税理士が増えています。

税理士が独立開業に失敗しないためのポイント

「食えない」と言われることが増えている税理士業界ですが、課題や業界の変化に対応することで、失敗を避けることは十分に可能です。

効果的な営業を行う

税理士事務所の経営において、新規顧客の獲得は不可欠です。しかし、多くの税理士が営業活動に苦手意識を持っているのが現状です。効果的な営業を行うためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

1. Webを活用した集客

現代のインターネット社会において、Webを活用した集客は非常に効果的です。具体的には、ホームページやブログ、Web広告、SNSを活用することで、低コストでターゲットを絞った集客が可能です。ホームページやブログでは、事務所の強みや専門性をアピールし、定期的な情報発信を心掛けましょう。Web広告は、ターゲットを絞って配信できるため、効率的な集客が期待できます。

2. 紹介ルートの活用

税理士マッチングサイトや金融機関、他の士業からの紹介も有効な手段です。これらのルートを活用することで、信頼性の高い顧客を獲得することができます。紹介を受けた場合には、顧客のニーズをしっかりとヒアリングし、的確な提案を行うことが重要です。

3. 顧客のニーズを捉えた提案

営業活動の本質は、顧客のニーズを的確に捉え、その解決策を提示することにあります。顧客ごとに異なる課題を理解し、共感を示すことで、信頼関係を築くことができます。自社のサービスが顧客の課題を解決できることを訴求し、他社との差別化を図りましょう。

これらのポイントを押さえた効果的な営業活動を通じて、税理士事務所の成長と顧客基盤の拡大を目指しましょう。

適正な顧問料を設定する

税理士業界では、サービスの提供が主な業務であり、事務所のリソースが売上の上限を決定します。そのため、適正な顧問料を設定することは、事務所の経営において非常に重要です。

リソースの限界を考慮する

顧問料を割安に設定すると、限られたリソースを過剰に消費し、本来受注すべき高付加価値の案件を逃す可能性があります。顧問料を値下げした場合、収入を確保するためにより多くの顧問先を抱える必要が生じますが、これにより1件あたりにかけられる時間が減少し、顧客満足度の低下やミスのリスクが高まります。

売上計画の策定

独立開業時には、自分のリソースを考慮した売上計画を作成することが推奨されます。例えば、年間の総売上高を1,000万円と設定し、顧問先1件あたりの年間売上高を100万円と想定する場合、「100万円×10件」の顧問契約が必要です。顧問料を下げると、より多くの契約が必要となり、リソースの消費が増加します。

適正な顧問料の算定

無計画な値下げは、キャパシティを圧迫し、売上目標の達成を困難にします。適正な顧問料を算定するためには、売上計画をしっかりと策定し、自らのリソースと照らし合わせることが重要です。適正な顧問料を把握することで、その金額に見合ったサービス内容やターゲット顧客層を明確にイメージでき、事務所の経営を安定させることができます。

今後の税理士に求められること

デジタル時代において、税理士に求められる役割も変化しています。

税理士業界は、AIやRPAの普及、中小企業の減少、税理士の高齢化など、さまざまな変化に直面しています。これらの変化をチャンスと捉え、以下の取り組みに励むことで、税理士としての競争力が高まり、業界内での地位を確立することが期待できます。

引き続きニーズがある税理士業務に取り組む

税理士業務の中には、AIや自動化技術では代替できない分野が依然として存在します。特に「事業承継」や「国際税務」など、高度な専門知識が求められる分野は、今後もニーズが高まると予想されます。これらの分野に注力することで、税理士としての存在価値を高めることができます。また、顧客の経営に関するコンサルティング業務も重要な役割を果たすでしょう。顧客のニーズを的確に捉え、専門性を活かしたサービスを提供することが求められます。

デジタルを駆使し、高付加価値業務に取り組む

AIやRPAなどのテクノロジーを活用することで、単純業務を効率化し、より高付加価値な業務に注力することが可能です。具体的には、経営コンサルティングや財務コンサルティング、DX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルティングなど、多岐にわたる分野での活躍が期待されます。これまでのノウハウを応用し、自らの強みを活かしたサービス展開を行うことで、他の税理士との差別化を図ることができます。顧客ニーズの変化を踏まえ、早めに行動を起こし、事務所の収益の柱となる高付加価値業務を育てることが重要です。

参考:RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション) | NRI

変化に対応し、生き残れる税理士へ

税理士業界は、デジタル化の進展や競争の激化により、厳しい状況に直面しています。しかし、効果的な営業活動や適正な顧問料の設定、デジタル技術の活用により、独立開業を成功させることは十分に可能です。

今後も変化する環境に柔軟に対応し、顧客にとって価値のあるサービスを提供することが、税理士としての成功の鍵となるでしょう。

また、独立・開業を検討している方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

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