税理士登録時の面接で聞かれることとは?落ちることはある?

税理士登録

税理士登録時の面接で聞かれることとは?落ちることはある?
税理士登録をする際に面接があることはご存知でしょうか。面接の結果によって、税理士登録ができなくなるのではと、気になっている方も多いと思います。そこで本記事では、税理士登録時の面接の流れから、聞かれる内容やどのように進むのかなどを詳しく解説していきます。

税理士登録時の面接とは

税理士試験に合格し、通算2年以上の実務経験期間を満たすことで税理士登録が可能となります。登録申請を行う際には、「登録申請書」や「在職証明書」などの申請書類を提出するだけでなく、税理士会の支部による面接調査が実施されます。面接調査実施までの流れや当日の持ち物などに誤解や漏れがないよう、事前にしっかりと確認して面接調査に臨みましょう。

面接までの流れ

税理士登録を行う際は、申請書類一式を税理士会経由で、日本税理士会連合会へ提出します。その後、所属予定の税理士会や支部によって「登録調査」が実施されます。「登録調査」には「面接調査」が含まれ、税理士登録のためには面接を通過することが必要不可欠です。

「面接調査」に関しては、申請書類の提出時に面接予定日に関するアナウンスがあります。その後、詳しい時間帯については改めて支部より電話連絡が入ります。提示された日時で問題なければ、最終的に税理士会からはがきで面接日時の確定通知が送付され、所属予定の支部にて面接調査が行われます。

「面接調査」は月に一度しか実施しない支部も多いため、スケジュールが合わなければ税理士登録自体も先延ばしとなってしまいます。早めに税理士登録を済ませたい場合には、面接調査に合わせて有給休暇を取得するなど、可能な限りスケジュール調整を行うようにしましょう。支部によって多少の違いはあるものの、基本的には平日の日中に実施されるケースが多く、所要時間は30分から1時間程度が目安となります。

服装や持ち物はどうする?

「面接調査」での服装については特に指定はありませんが、スーツが無難といえるでしょう。夏場のクールビズ期間では、ネクタイやジャケットを着用せずに面接調査を受けるケースもあるようですが、できる限りフォーマルな身だしなみで臨むように心掛けましょう。

当日の持ち物は、はがきに記載されています。「面接調査」の際には「登録前に税理士業務を行わないこと」などを記した誓約書に捺印が必要であるため、申請書類で使用した印鑑やボールペンなどの筆記用具を持参してください。「登録前にすでに税理士を名乗っていないか」と、面接官から確認を受ける場合もあります。
支部によっては、現在の勤務先での名刺の提出を依頼されるケースもあります。念のため、名刺も持参すると良いでしょう。

税理士登録時の面接で聞かれること

「面接調査」は、すでに税理士試験という大きな関門を突破した人物を対象に実施されるので、基本的には「落とすための審査」ではありません。それよりも「事実確認としての聞き取り調査」といった意味合いが強く、過度に不安視する必要はないでしょう。

ただし、面接の目的や流れをまったく把握していなければ、回答に困窮してしまう可能性もあります。
下図のように、大まかな質問内容を理解した上で臨むことをお勧めします。
 

 

書類の確認

「面接調査」では、税理士登録申請で提出された書類について、記載内容の適否について聞き取りが行われます。質問内容としては、以下の項目を中心にヒアリングが行われるケースが一般的です。

  • 登録申請書や履歴書に記載した経歴について
  • 現在の勤務先での業務内容について
  • 無職期間がある場合にはその経緯について
  • 実務経験に一般事業会社やアルバイトでの勤務期間がある場合、その業務内容の確認
  • 税理士登録前に税理士業務を行っていないか
  • 開業登録の場合には、事務所の所在地やレイアウトについて

質問事項の多くは申請書類に基づいており、「通算2年以上の実務経験期間を適切に満たしているかどうか」についての口頭確認が行われる場合が多いです。一般事業会社での勤務期間や、税理士事務所でのアルバイト期間が含まれているケースでは、実務経験としてカウントできる業務かどうか質問を受ける場合もあります。

実務経験期間や業務内容に関しては、勤務先からの署名や押印を受けた「職務経歴書」などの証明書類を添付しているため、あくまで記載内容との整合性のチェックが中心となります。

「面接調査」では、申請書類の記載内容を翻すことがない限り、問題となるリスクは小さいでしょう。仮に、申請書類の記載内容に不備があった場合にも、ただちに税理士登録を不適格とするのではなく、改善指導が行われるケースが一般的です。

また、税理士登録とともに独立開業を行う場合には、開業予定地や勤務先の退職予定日についてもヒアリングされる可能性があります。その際にも、提出した申請書類に基づいて回答すれば十分でしょう。事務所環境やレイアウトに関して改善点がある場合でも、面接官からの指導に留まるケースが多いため、焦らずに丁寧な対応を心掛けてください。

登録の動機や今後の展望

「面接調査」においては申請書類に関するヒアリングのほかに「税理士の志望動機」や「これまでの業務経験」「登録後に税理士としてどのような活動をしたいか」など、現在までの経歴や今後の展望に関して質問される場合もあります。

ただし、これらの質問内容に関しては正解・不正解が存在するものではないため、模範解答を意識する必要はありません。むしろ面接官の善意により、緊張を和らげることを意図して答えやすい質問を投げかける場合も多いです。

あくまで雑談のように和やかな雰囲気で進展するケースが多いため、自信を持って自らの想いを率直に伝えましょう。

また、「面接調査」では面接官からの質問だけでなく、所属予定の支部に関する簡単なオリエンテーションが行われるケースもあります。支部によっては部活動や委員会、同好会などさまざまな活動が行われており、税理士業界の高齢化という背景も相まって、新規会員の税理士が勧誘を受ける場合も多いです。

もちろん勧誘されるがままに入部や入会する必要はありませんが、支部活動を先輩税理士との接点を確保する貴重な機会として、前向きに捉えましょう。

税理士登録時の面接後の流れ

税理士登録申請における面接調査後の流れは下図のとおりです。
 

 
日本税理士会連合会や税理士会による登録調査が終わることで、正式に税理士登録が認可されます。

税理士登録のための申請書類を提出し、最終的に税理士証票や税理士バッジが交付されるまでの期間としてはおおむね3ヶ月程度かかるケースが一般的です。税理士登録の完了時期によって独立開業のスケジュールにも影響を及ぼす可能性も考えられるため、スケジュールに余裕を持って申請手続きを行ってください。

交付式への参加

面接調査が行われた後、税理士会や日本税理士会連合会によって税理士登録に関する審査が実施されます。すべての審査にクリアし、無事に税理士登録が認められた場合には、面接調査から約1ヶ月後に「税理士登録通知」や「税理士証票交付式の日程に関するお知らせ」が届きます。

税理士証票交付式では、管轄の税理士会ごとに新規会員の税理士が一堂に会します。税理士法や税理士としての心得などに関する説明に加え、税理士証票や税理士バッジが交付されます。税理士証票や税理士バッジを受け取ることで、税理士登録手続きが完了することとなりますので、交付式には必ず出席してください。

また、税理士証票交付式は、自らと同時期に税理士登録を行った「同期」と顔を合わせる貴重な機会となります。税理士証票交付式の後に、懇親会が開催されるケースも多いです。懇親会などを通じて他の税理士と親交を深め、同期として情報交換や切磋琢磨し合える関係性を構築することも有用でしょう。

他士業とのネットワークだけでなく税理士同士でのコミュニティを広げる機会として、税理士証票交付式を有効に活用することをお勧めします。

開業登録の場合は実地調査

「開業税理士」として税理士登録と同時に独立開業を行う場合には、事務所の開業予定地での実地調査が行われます。実地調査が行われる場合には、「面接調査後にそのまま実地調査へ移行」するケースや、「申請書類の審査完了後に実施」されるケースなど、支部によって対応が異なるためご注意ください。

実地調査ではクライアントに対する守秘義務の観点から、「事務所スペースとして独立性が保たれているか」「適切な書類の保管場所が確保されているか」など、事務所環境としての適否がチェックされます。

面接調査と同様に、実地調査に関しても「落とすための審査」ではないため、基本的には和やかな雰囲気で進むことが一般的です。職場環境について、登録調査官からアドバイスを受けるケースもあるでしょう。

事務所スペースとしては自宅の一室でも問題ありませんが、雑多な印象を与えてしまわぬよう、実地調査が行われる場合にはプライベート空間と仕事スペースはできる限り切り分けておくことをお勧めします。

また近年では、シェアオフィスやレンタルオフィスを活用して事務所を開業するケースが増加しています。そのような事務所形態でも、守秘義務を遵守できるのであれば開業は可能ですが、実地調査の際には「事務所としての独立性」や、「クライアントに関する情報管理の安全性」を説明できるように準備しましょう。

自信を持って税理士登録時の面接に臨もう

税理士登録の際に行われる面接調査は、基本的には「落とすための審査」ではありません。あくまで申請書類の事実確認の意味合いが強いです。

面接自体は終始和やかな雰囲気で進む場合が多く、登録申請者を困らせることを意図した質問は少ないといえるでしょう。面接調査においては面接官から聞かれたことに対して臆することなく、自信を持って答えることが望ましいです。

面接の目的や大まかな流れなどを把握し、当日は過度に緊張することなくリラックスして面接調査に臨みましょう。

よくある質問

税理士登録での面接調査とは?

登録手続きでは、書類の審査に加えて税理士会支部による面接調査が実施されます。面接調査は「落とすための審査」ではなく、あくまで申請書類の事実確認が中心であり、和やかな雰囲気で行われるケースが一般的です。

面接調査ではどのようなことを聞かれる?

申請書類に記載した経歴や、実務経験期間をきちんと満たしているかどうかの確認が行われるケースが多いです。また登録後の展望や支部での委員会活動に関する案内など、雑談のような会話が展開されることもあります。

面接調査から登録完了までの流れは?

面接調査後は税理士会や日本税理士会連合会による審査を経て、「登録通知」や「税理士証票交付式」への案内が送付されます。交付式にて税理士証票や税理士バッジを受け取ることで、一連の登録手続きが完了します。

【監修】税理士・中小企業診断士 服部 大

2020年2月、30歳のときに名古屋市内にて税理士事務所を開業。
平均年齢が60歳を超える税理士業界の数少ない若手税理士として、顧問先の会計や税務だけでなく、創業融資やクラウド会計導入支援、補助金申請など、若手経営者を幅広く支援できるように奮闘中。
執筆や監修業務も承っており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えられる専門家を志している。

記事一覧ページへ

関連記事

税理士登録ハンドブック