税理士登録のやり方を詳しく解説!登録の流れや必要な書類とは?

税理士登録

税理士登録のやり方を詳しく解説!登録の流れや必要な書類とは?
税理士試験に合格後、税理士として仕事を行うためには税理士登録をする必要があります。税理士登録をすることで初めて税理士を名乗ることができ、独占業務が可能になります。では、税理士登録とはどのように進めれば良いのでしょうか。本記事では、税理士登録のやり方から、申請書類を書く際の注意点まで詳しく解説していきます。

税理士登録のやり方

税理士登録手続きについては、主に下図の流れに沿って進めます。

申請書の提出から税理士登録が完了するまでは、約3ヶ月程度かかるケースが一般的です。登録完了までの所要期間を加味した上で、申請手続きを開始しましょう。

提出する書類の準備・提出

税理士の登録申請では、日本税理士会連合会によって定められた申請書類を作成しなければなりません。用意した申請書類一式は、所属予定の税理士会を通じて日本税理士会連合会へ提出します。

税理士登録に際して用意する書類は、日本税理士会連合会のホームページからダウンロードできる所定のフォーマットだけでなく、勤務先や役所から入手する必要がある書類も含まれています。

税理士登録申請者が用意しなければならない書類の内容については、下記見出しにて詳しく解説しているため、ぜひそちらをご参照ください。

税理士登録において用意すべき書類は種類が多く、平日の仕事の合間に各所へ足を運んで入手しなければならないケースもあるため、スケジュールに余裕を持って準備を進めましょう。

税理士会との面接

税理士登録に必要な申請書類を提出すると、税理士会や日本税理士会連合会による「登録調査」が行われます。「登録調査」には「面接調査」が含まれ、所属予定の税理士会やその支部で実施されます。

「面接調査」については、申請書類の提出後に面接日程に関するはがきが送付されます。支部によっては1ヶ月に一度しか面接調査日を設けないケースもあります。登録完了日を先延ばしにしたくない場合はスケジュール調整を行い、早めに「面接調査」を受けるようにしましょう。

「面接調査」では、実務経験や開業予定地に関するヒアリングがあります。さらに、「税理士になろうと思ったきっかけ」や「現在の業務内容」「登録後にやりたい業務」など、これまでの経歴や今後の展望に関して質問されることも多いです。

開業登録の場合は「面接調査」に加えて「実地調査」が行われ、開業予定地の事務所環境としての適否についてチェックを受けます。

「面接調査」や「実地調査」は、落とすための審査ではなく、あくまで申請書類の記載内容に関する事実確認としての意味合いが強いです。
過度に不安視するのではなく、登録調査官の質問に対して自信を持って回答することを心掛けましょう。

税理士証票交付式

登録申請に関する一連の審査が完了すると、「税理士登録通知」とともに税理士証票交付式に関する案内が送付されます。 税理士証票交付式に出席することで税理士証票や税理士バッジを受け取ることができるため、開催日時を確認して必ず出席しましょう。

税理士証票交付式は税理士会ごとに、新規会員登録を受けた税理士が集まります。税理士法の解説や関連団体に関する説明、記念撮影、証票を受領した旨の書類提出などを行います。

交付式の後は懇親会が開催されるケースもあり、同じ時期に税理士登録を果たした「同期」との交流を深める貴重な機会となります。税理士同士のつながりを持つことで情報交換が可能となるだけでなく、互いに切磋琢磨し合える関係性の構築にもつながります。

登録時研修

日本税理士会連合会では、税理士登録を受けて1年以内の税理士を対象とした「登録時研修」を義務付けています。

登録時研修は「税理士制度」や「関連法規」「租税法概論」「業務に関する知識」などの科目で構成され、合計で20時間程度の研修を受けなければなりません。開催スケジュールなどの詳細内容は各税理士会によって異なりますが、令和3年10月1日からは日本税理士会連合会のホームページよりWeb受講が可能となり、会場での研修に比べてより受講しやすい環境が整備されています。

税理士登録申請者が提出する書類等の概要

税理士登録申請を行う場合に提出する書類については下図のとおりです。

ただし、提出書類については申請者の属性によって異なる場合もあります。書類作成の際は、日本税理士会連合会ホームページなどを確認し、作成漏れのないようにご注意ください。

税理士登録申請書

税理士登録申請書はすべての登録申請者が作成しなければならず、フォーマットは日本税理士会連合会のホームページよりダウンロードすることが可能です。

登録申請書は、黒色の万年筆またはボールペン(消せるボールペンは不可)で記入しましょう。訂正する場合は修正液などは使用せずに二重線を引き、当該箇所に押印するか、捨印を押印した箇所に「何字訂正」や「何字抹消、何字加入」と記入しましょう。

登録申請書は5通作成する必要がありますが、正本以外の4通についてはコピーでも問題ありません。ただし自署や押印についてはコピー不可であるため、正本作成時は氏名や押印欄が空欄の状態でコピーを行い、5通すべてに自署や押印、捨印を行いましょう。

登録免許税領収証書

登録免許税法の規定に基づき、税理士登録の場合は登録免許税として6万円を納付しなければなりません。

申請に際しては登録免許税の領収証書を登録申請書の裏面に貼付し、2箇所に割印を行います。なお登録免許税の電子納付は認められないためご注意ください。

写真

申請書類として提出する写真は提出日前3ヶ月以内に撮影したものとし、サイズはおおむね縦2.8cm、横2.4cmのものを3葉用意してください。3葉のうち1葉は税理士証票に貼付されます。

写真は上着及びネクタイ(男性の場合)の着用が必須であり、裏面には必ず氏名や撮影年月日を記入しなければなりません。

本籍の記載されている住民票の写し(マイナンバーが記載されていないもの)

税理士登録申請の際は、市区町村の役所にて住民票の写しを入手しなければなりません。具体的には申請書提出日前3ヶ月以内に発行された本籍地記載の住民票で、世帯全員が記載されたものを用意する必要があります。登録申請者が外国籍の場合、国籍などの記載があるものを提出しましょう。

登記されていないことの証明書

「登記されていないことの証明書」とは、登録申請者が成年被後見人や被保佐人、被補助人に該当しないことを証する書類です。従来は申請書類として提出が必要でしたが、令和元年12月14日以降の登録申請からは提出が不要となりました。

身分(身元)証明書(本籍地の市区町村が発行したもの)

身分(身元)証明書とは成年被後見人や被保佐人、被補助人に該当しないことや、破産宣告または破産手続き開始決定の通知を受けていないことを証する書類です。

住民票の写しと同様に、申請書提出日前3ヶ月以内に発行されたものを本籍地の市区町村の役所にて取得しましょう。

資格を証する書面

税理士登録を行う資格を有することの証明として、税理士試験合格者の場合は「税理士試験合格証書」のコピーを提出します。申請書類一式を税理士会へ提出する際は合格証書や通知書の原本確認を行うため、コピーだけでなく原本も忘れずに持参してください。

なお税理士試験合格者以外の場合は、「税理士試験免除決定通知書」や「弁護士資格認定通知書」「公認会計士試験合格証書」などの書類が必要となります。

履歴書

日本税理士会連合会が指定するフォーマットで、履歴書を作成しなければなりません。

「学歴」については昼夜の区分を明確にし、「職歴」に関しては無職期間も含めて1日も空きがないように作成しましょう。
「履歴書」と「登録申請書」の職歴欄は必ず合致するように記入しましょう。

「資格」欄には登録番号や合格番号についても記入し、特に税理士試験合格など「税理士となる資格」に関する内容は必ず記入が必要です。

誓約書

誓約書は、税理士法第4条「欠格条項」や第24条「登録拒否事由」に該当しないことを誓約するものです。日本税理士会連合会による所定のフォーマットで作成します。

税金に未納がある場合は、税理士法第24条第7号に規定する「税理士の信用又は品位を害するおそれがある者」に該当する疑いがあるため、税理士登録申請を行う前に完納しなければなりません。
引用:第2条《税理士業務》関係|国税庁

業務執行に関する誓約書

税理士法第42条「業務の制限」や第52条「税理士業務の制限」、第53条「名称の使用制限」を遵守することについて誓約するための書類です。

履歴書などと同様に、日本税理士会連合会による所定のフォーマットで作成しましょう。

直近2年分の確定申告書のコピー又は住民税の課税証明書

非違行為や租税回避行為の有無、適正な申告納税を行っているかどうかを確認するための提出書類です。確定申告を行っている場合は、確定申告書や収支内訳書または青色決算書のコピーの提出が必要となります。

確定申告書のコピーに税務署からの収受印がない場合は、税務署が発行する納税証明書(その2・所得金額用)または市区町村が発行する課税証明書を併せて提出しましょう。なおe-Taxによる電子申告を行っている場合は、収受印の代わりとしてメール詳細(受信通知)を提出することが可能です。

確定申告を行っていない場合は、住民税の課税証明書を提出しましょう。

実務経験を証する書類

税理士試験合格者や試験免除者の場合、税理士登録を行うためには通算2年以上の実務経験期間を満たさなければなりません。

その実務経験期間を証明する書類として、勤務先から入手した「在職証明書」や「印鑑証明書」、アルバイトなどの期間が含まれる場合は「勤務時間の積上げ計算書」が必要となるケースもあります。

実務経験を証する書類は勤務先や雇用形態によって提出すべき書類の種類も異なるため、自分自身の状況に照らし合わせて適切な書類を用意しましょう。

税理士登録にかかる費用

税理士登録の際に発生する費用については以下のとおりです。
■全国共通
・登録免許税:6万円
・登録手数料:5万円

■税理士会
・入会金:4万円
・会館建設費:2万円
・税理士制度発展募金:1万円
※上記費用に関しては、各税理士会によって金額が異なる場合もあります。

■その他諸費用
・登録研修時テキスト代等:1万円程度
・各税理士協同組合連合会費用等:数千円
・名札代:実費

登録時はこれらの支出が発生するため、全体で約20万円程度の費用負担が発生します。

税理士登録を行った場合は、登録時の費用だけでなく税理士会及び支部に対して年会費を支払わなければなりません。所属する税理士会や支部によって金額は異なりますが、一般的にはトータルで約10〜15万円の年会費が毎年発生します。

入念な準備をして、税理士登録をスムーズに進めよう

税理士登録申請については提出する書類が多く、勤務先や役所などから取得が必要なものも含まれています。申請書類の準備にも一定の時間を要するケースが多いため、スケジュールにゆとりを持って着手するように心掛けましょう。

税理士登録には登録費用や年会費の負担は生じるものの、社会的地位の向上やスキルアップのための研修を受講できるなどのメリットもあります。

何よりも、税理士登録することで独占業務に従事することが可能となります。クライアントへの貢献を通じて専門家としての使命を果たせるよう、向上心を持って働くことができるでしょう。

よくある質問

税理士登録の大まかな流れは?

まず申請書類を準備し、税理士会経由で日本税理士会連合会へ提出します。次に面接調査を含めた登録調査が実施され、登録通知が届きます。その後は税理士証票交付式に出席し、1年以内に登録時研修を受講しましょう。

税理士登録の際に必要な書類は?

申請者の属性によって申請書類は異なりますが、登録申請書や住民票、合格証書、履歴書、誓約書などの書類が必要です。また実務経験を証する書類として、勤務先から在職証明書や印鑑証明書などを取得してください。

税理士登録にかかる費用は?

登録免許税や登録手数料に加え、所属する税理士会やその支部への入会金など、全体で20万円程度の費用が発生します。また登録時以外にも、税理士会や支部への年会費として毎年約10〜15万円の負担が生じます。

【監修】税理士・中小企業診断士 服部 大

2020年2月、30歳のときに名古屋市内にて税理士事務所を開業。
平均年齢が60歳を超える税理士業界の数少ない若手税理士として、顧問先の会計や税務だけでなく、創業融資やクラウド会計導入支援、補助金申請など、若手経営者を幅広く支援できるように奮闘中。
執筆や監修業務も承っており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えられる専門家を志している。

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